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「オーディオアド」でスマホがカバーできない時間をフォロー!

かつて、オーディオアドと言えばそれはラジオCMのことであり、すなわちマス広告の一つでした。しかし、今、テクノロジーの進化に伴って音声コンテンツの在り方が多種多様になったことにより、オーディオアドは大きな可能性を秘めたデジタルマーケティングの手段として注目を浴びています。

なぜいま、音声コンテンツがアツいのか?そして流通小売業が有効にオーディオアドを活用する秘訣とは?本稿で考察していきます。

目次:

オーディオアド市場のポテンシャル

オーディオアド市場の盛り上がりを裏付ける事象の一つとして、今年の5月に電通グループ3社(株式会社電通、株式会社電通デジタル、株式会社CARTA HD)が音声広告配信サービス「Premium Audio広告」の提供を開始したことが挙げられます。

これは従来のデジタル広告と同様、音声によって構成された広告コンテンツをデジタル上の音声プラットフォームで配信するサービスで、代表的な配信先はradikoとSpotifyとなっています。

参考:https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0508-009808.html

オーディオアドが成長を見せているのは国内に限ったことではなく、世界的な潮流と言えます。例えば、ニューヨークを拠点とする非営利団体、「Interactive Advertising Bureau」が発表した「IAB Internet Advertising Revenue Report」によれば、アメリカでは2018年度、トータルで2251万ドル(約2400億円)のオーディオアド収益がありました。これは前年度と比較すると約23%の成長率です。

出典:https://www.iab.com/wp-content/uploads/2019/05/Full-Year-2018-IAB-Internet-Advertising-Revenue-Report.pdf

オンラインにおけるオーディオアドがまだ黎明期と言えるような状況であることを考えると、市場のポテンシャルは計り知れません。

オーディオアドが急速に伸びつつある背景には、オンライン音声コンテンツの進化と、人々のライフスタイルの変化があることは言うまでもないでしょう。

音楽はストリーミングでの聴取がメインに

まず大きな変化として挙げられるのは、人々が音楽を聴くスタイルはストリーミングがメインになってきた、ということです。

かつてはラジオやケーブルテレビの音楽専門チャンネルなどで新曲のPVに触れた消費者が、お気に入りのアーティストのアルバムをCDショップで買い求めるのが一般的でしたが、インターネットやスマホの普及に伴って「楽曲を1曲ずつダウンロードする」というスタイルを経て、今ではデバイス自体に楽曲データを保存しないストリーミングが主流です。

Apple社のiTunes、そしてPremium Audio広告の配信先にもなっている「Spotify」などを音楽ストリーミングのプラットフォームは、人々がいつでもどこでも好きな音楽を(アーティストごとに、プレイリストで、など)好きなスタイルで聴くことを可能にしました。

Spotifyの場合、利用の仕方はふた通りです。一つは毎月定額の利用料を支払うことで楽しむサブスクリプション利用。そしてもう一つが、無料で音楽を楽しむ代わりに、定期的に音声広告が挿入される形で、これがPremiun Audio広告の配信先となっている部分です。

ポッドキャストの活況

音楽ストリーミングに加えて、ポッドキャストの活況もオーディオアド市場の成長に一役買っています。

ポッドキャストは2005年にiTunes上に初登場し、次世代のラジオコンテンツとして期待されていましたが、はじめは一部のオーディオブロガーとそのリスナーだけが楽しむニッチな存在でした。それが15年の時を経て、今ではアメリカ人の1/3が毎月視聴し、リスナーは1週間に6時間以上をポッドキャストのコンテンツに費やすまでになったのです。

一般人のオーディオブログから、本格的に作り込まれたドラマ、ビジネス界の著名人の素顔を垣間見ることができるカジュアルなトークコンテンツまで、コンテンツの幅が広く、それらを自分のタイミングで気軽に視聴できるのが人気の理由であり、その楽しまれ方はまさにかつてのラジオ的です。

前述のSpotifyがポッドキャスト関連のスタートアップ企業を立て続けに買収している(「Gimlet Media」、「Anchor」、「Parcast」)ことなどからも、ポッドキャストには引き続き要注目と言えるでしょう。

ラジオを復権させたradiko

そして日本では、radikoの普及によって一時期は“オワコン”とまで囁かれたラジオの存在感が再び高まっています。

radikoは日本のラジオ局がオンエアする番組をPCあるいはスマホアプリを通じて聴くことができるサービスです。従来のラジオ番組はオンエア時間を逃してしまえば再放送以外その番組を聴くすべはありませんでしたが、radikoに搭載されているタイムフリー機能では過去1週間分の番組がいつでもどこでも聴取可能です。

また、従来のラジオは自分が今いる地点のエリアをカバーしている放送局の番組しか聴くことができませんが、radikoでは毎月定額の利用料を支払えば全国92局の民放ラジオ局の番組が聴き放題になります。

スマートスピーカーの普及

音声コンテンツやそれを配信するプラットフォーム以外の環境として、スマートスピーカーの普及率が年々高まってきているのも大きな要因の一つと言えるでしょう。アメリカではすでに4人に1人がスマートスピーカーを所有するまでに至っています。

一方で、日本国内におけるスマートスピーカー所有率は6%程度に止まっているのですが、逆に言えばスマートスピーカー市場、そしてオーディオアド市場としても国内はまだまだブルーオーシャンであり、今後その規模は右肩上がりになっていくものと予想されます。

オーディオアド「5つの利点」とは

市場規模としてポテンシャルが高いことはわかるけれど、オーディオアドが実際広告コンテンツとしてどれほどの効果があるのかと疑問視する方もいらっしゃるかも知れません。それには、オーディオアドが持つ特性を考えることが近道です。

オーディオアドには、他のコンテンツ(テキストや画像、もしくは動画)には備わっていない、いくつかの特筆すべき特長があるのです。

1:「ながら聴取」が可能

今の時代、あらゆる消費者行動の起点はスマートフォンになっており、様々なサービスやコンテンツもそれを前提に作られている部分があります。しかしながら、スマートフォンではどうしてもカバーしきれない(=消費者がスマートフォンを見ることができない)時間というのはまだまだ存在します。例えば、運転中、料理中、あるいは仕事の作業中などがその時間に該当するでしょう。

しかし、音声コンテンツであれば、そのような時間であっても、消費者はメインの作業に集中すると同時に、コンテンツに耳を傾けることができるのです。

これはオーディオアド=ラジオCMだった時代から変わらない、オーディオアドの最も大きな利点です。

2:よりパーソナルなコンテンツになる

例えば車を運転しながら、あるいは仕事中にラジオを聴いたことがある方は、そのコンテンツがすごく身近に感じられた経験があるのではないでしょうか。パーソナリティの語りが自分に向けられているように感じたり、ゲストを交えてのトークもテレビで観るよりも本音で、まるで自分もその場で一緒になって話しているような距離感に思えたりするのが音声コンテンツの特長です。そのような臨場感や没入感は、オーディオアドでも存分に活かすことができます。

3:低予算で高クオリティのクリエイティブが制作可能

これもラジオCM時代と同様の利点の一つですが、オーディオアドは視覚的な作り込みが必要がありません。つまり、たとえ制作費が低予算でも、消費者の想像力を活かすことでどんな場面でも再現することが可能です。

「ここは宇宙です」というナレーションが入れば、ユーザーの脳内には宇宙空間が広がります。喋り方次第でナレーターはどんな職業の人間にもなることができます。

過去に広告賞を受賞したラジオCMなどを聴くと、ドラマ仕立てのものやコント風のものなど、CM自体が極上のエンターテインメントとして楽しめるコンテンツの多さに驚くかも知れません。

ちなみに、2019年のカンヌライオンズ音声部門でグランプリを受賞したのは、Amazon Echoを使ってユーザーがストーリーを選択しながら進められるインタラクティブなオーディオアドでした。これは、アメリカで人気のSFドラマ「Westworld」のキャンペーンで、ドラマの登場人物が豊富に登場するだけでなく、1万種類以上のセリフ、60種類のストーリー展開が用意されたという壮大なもの。ここまで来るとさすがに莫大な制作費になると思いますが、それだけにもはや広告自体も本編と並んで“メインディッシュ”と言えるほどのエンターテインメントに仕上がっています。

4:広告を聴くという前提が受け入れられやすい

実際、radikoのオーディオアドの完全聴取率はなんと98%というデータもあります。これには、そもそもコンテンツ自体が身近に感じられるという要素以外にも、radikoは「ながら聴取」をしているリスナーが多いことや、無料で利用するには広告も聴く必要があるという前提が、視覚を使うプラットフォームよりも受け入れてもらいやすいという特性を持っているためと考えられます。

同様のことが、Spotifyの無料会員についても言えるでしょう。特に、特定のアーティストに入れ込むのではなく、好きな雰囲気の曲をプレイリストで聴くようなタイプのユーザーにとっては、無料で利用するためであれば途中に広告が挿入されることも受け入れる、という前提が成り立っています。

5:ターゲティングが自由自在

ラジオCM時代からの利点に加えて、オーディオアドをより魅力的にしているのが、デジタル配信ゆえに聴取者を細かくターゲティングできる、ということです。

性別や年齢、聴取エリア、端末指定(PC、スマホ)、聴取時間、あるいは年収、職業、ライフスタイルなどのセグメントや、聴取している番組のジャンルなどを指定してクリエイティブを配信することができるため、細かなターゲティングも可能となっています。

例えば、スーパーやドラッグストアなどであれば、エリアごとに違ったタイムセール情報を、来店してもらいたい消費者の特性に合わせたインフルエンサーをナレーターと起用して告知する、といった活用の仕方が考えられます。

ユーザーの行動データを取得してリターゲティングも可能なため、オーディオアドに接触した消費者に対し、キャンペーンのLPリンクなどをプラットフォーム上に表示することも可能です。

ユーザーの聴取体験を阻害しない配慮は必要

利点も多く、消費者の容認度も比較的高いオーディオアドですが、メインコンテンツの聴取体験を阻害しない配慮は必要と言えます。

Spotifyなどでは「このコンテンツを視聴すると、30分間は広告なしで音楽を楽しめます」といった注釈が入った広告が挿入される場合がありますが、本質的には広告自体を「能動的に聴きたいコンテンツ」にするのが理想的です。コンテンツの作り方次第では商品やサービス、ブランドに対するエンゲージメントを大きく高めたり、コンバージョンに直接寄与させることも十分に可能でしょう。

さいごに

ラジオCMとデジタルアド、両方の利点を兼ね備えたオーディオアド。スマートスピーカー市場が今後さらに伸びていくであろうこれからの時代、その可能性にはまだまだ伸び代がありそうです。

動画や画像、テキストでのマーケティングコミュニケーションに行き詰っていると感じているのであれば、次の一手としてオーディオアドの導入を考えてみるのも面白いかも知れませんね。

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