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これから求められる店舗の変革。ECとの連動をいかに達成するか

新型コロナウイルスの影響により、多くの実店舗が閉店を余儀なくされ、対照的にECの需要加速が目立つことになった2020年前半。この事象は、決して、これからの時代に実店舗が必要なくなったことを意味しているわけではありません。

むしろ、これまでその重要性を説く記事や講演は数あれど、結局一部の小売企業でしか本気で取り組まれて来なかった「オムニチャネル」や「OMO」といった、つまり“実店舗とECの連動”が、今後のあらゆる小売企業にとって自分ごとであることが浮き彫りになった、と捉えるべきでしょう。

本稿では、本質的な実店舗とECの連動について、事例なども交えながら考察していきます。

目次:

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店舗とECの関係はどう変わる?

2020年、世界的に、多くの小売企業の実店舗が閉店に追い込まれました。それは中小規模の企業だけでなく、大手企業においても同様です。米国ではMacy’sやNordstromといった有名百貨店の時価総額は123億ドルも減少したと伝えられています。

しかし、すべての小売企業が、やむなく実店舗を閉鎖した、と捉えるのは少し短絡的かもしれません。

一部の企業では、コロナ禍の影響を受けるずっと以前から準備を進めてきた上で、戦略的に現存する実店舗を閉店し、これからの時代に求められるECと完璧に連動した実店舗を再構築する、というケースもあるのです。

今でも、ECで購入した商品の受け取り場所として、実店舗が指定できるサービスを展開している企業はありますが、それは目指すべき連動の、ほんの一部の機能でしかありません。

冒頭でも述べたとおり、コロナ禍でECの需要が伸びたという事実は、実店舗の不要には繋がりません。いや、ECとの連携があらゆる面で完璧な実店舗の重要度は、むしろ今後ますます増していくでしょう。

これにはいくつか理由があります。

実店舗とECの特性

まず、実店舗とECとでは、得意な部分と不得意な部分が全く違うからです。実店舗の場合は、

  • 商品に直接触れて体験できる
  • 商品をその場で受け取れる
  • 目的とは違った商品との出会いがある
  • 商品、内装、スタッフ、そこを訪れる他の客など、五感でブランドの世界観を体感できる
  • 営業時間に縛りがある
  • 物理的な距離がある顧客は来店しづらい

などの特性があります。

一方でECの特性は、

  • 好きな時に好きな場所から商品を購入できる
  • その場で他ブランド商品、口コミなどを検索して比較検討できる
  • 商品がその場で手に取れない 、試着や試用が難しい

といった部分です。

あらゆるチャネルで利便性が進化しつつあるこれからの時代の顧客は、その時に一番本人にとって便利、あるいは望ましいチャネルを選んで購買行動を起こすようになります。つまり、自社のチャネルを整備する場合、「実店舗だけ」でも「ECだけ」でも片手落ちになる可能性がある、ということなのです。

実店舗も「オンラインチャネルの一部」

もう一つは、今や実店舗も、実は「オンラインチャネルの一部」である、ということです。

センサーデバイスやAIが目覚ましい進化を遂げるこれからの時代、実店舗内における顧客の様々な購買行動は、データとして蓄積することができるようになります。つまり、従来のオンラインチャネル同様、顧客行動を定量的に分析することが当たり前になりつつあるのです。

加えて、実店舗の顧客とECの顧客を同一人物として捉えることができれば、そのデータを用いて実店舗、ECどちらのチャネルでも、顧客ごとにより価値の高いサービスを提供することも可能になります。

実店舗を有効活用するには

ここで、本質的なEC連動型の実店舗構築を目指している事例を、いくつか紹介します。

オンワード

オンワードホールディングスは、2021年下期(9月〜2月)から、自社ECである「ONWARD CROSSET(オンワード・クローゼット)」と連動したオムニチャネル型店舗の出店を開始することを発表しています。

オンワードは、2019年、2020年併せて国内1,400店舗を閉鎖する構造改革を行っており、2021年下期は攻勢に出るフェーズであると捉えています。新たな実店舗はその旗印となる位置付けのものです。

新しい実店舗の名前は、自社ECと同様「ONWARD CROSSERT」となる予定で、複数ブランドを扱う店舗となるため、ブランド単独店と比較するとかなり大きな面積を持っており、出店立地は、まだ明らかにされていませんが、都心ではなく、「アクセスの良い郊外の大型立地」とされています。

EC連動型店舗として、自社ECで蓄積した会員情報や商品情報などが連携された状態で、ショールーミングストア機能なども含んだ、これからの時代の需要に即した価値を提供指定くようです。

2021年を皮切りに、この新型店舗を急ピッチで増やし、2022年の後半には数十店舗体勢を構築する予定となっています。

ユナイテッドアローズ

アパレル大手のユナイテッドアローズは、コロナ禍以前から、実店舗とECを連動させる様々な施策を積極的に取り入れている企業のひとつです。

たとえば店頭において試着した商品を購入しなかった顧客には、試着商品の品番メモを渡すことで、後ほどECサイト等でじっくり比較検討ができるように取り計らったり、あるいは自社ECからの指定の実店舗でのクリック&コレクトや商品取り置きをオーダーすることも可能となっています。

ここで挙げたユナイテッドアローズの施策は、O2O的なアプローチが多いですが、これらは、最先端のテクノロジーを活用したOMOを実現した店舗でも十分に参考になるものだと言えるでしょう。

セブン&アイ・HD

セブン&アイ・HDは、2015年から、いち早くオムニチャネル型のECサイト「オムニセブン」を展開しています。最大の特徴は、オムニセブンのサイトで購入した商品を、全国の指定のセブンイレブンで24時間、送料無料で受け取れる、という、クリック&コレクト型のサービスです。

セブンイレブンほど、誰にとっても身近になり得るほどの店舗数がある業態であれば、ECの弱みのひとつである、不在時の商品受け取りという課題を、実店舗で補完することが可能になるわけです。

百貨店やショッピングセンターがECと連動するためには

自社商品を売るのではなく、実店舗が集まる「場」としての機能を持つ百貨店やショッピングセンターもまた、その在り方に変革を求められています。

今や百貨店やショッピングセンターでの売上に、ECの売上が迫っており、いずれその比率は逆転する日が来るかもしれません。しかし、だからといって、百貨店やショッピングセンターがECを敵視するのはいただけません。

百貨店やショッピングセンターが次世代をどう生き抜くかについて考えた時に、テナント料に依存しないビジネスモデルを構築できるかどうか、という部分が大きいでしょう。

そのためには、たとえば、気軽に百貨店・ショッピングセンターを訪れることができない「テナントを横断した形のEC」を構築し、そこで顧客が望むサービスを提供する。そのECでは、各ブランドの自社ECにはない付加価値を乗せる、といったことを考える必要があります。

そして、ここまで述べてきたように、「実店舗もオンラインの一部である」という認識を持って実店舗・EC両方の顧客を分析し、その結果に基づいて、実店舗でもECでも「人が集まりたくなる場所(=訪れる理由がある場所)」を目指さなくてはならないでしょう。

ショッピングモールにおけるひとつの実店舗展開例として、まだ再オープンのインパクトが記憶に新しい「渋谷パルコ」が挙げられます。新生渋谷パルコは、まさに「そこを訪れる理由」をとことん突き詰めた集合型のショッピング施設であると言えます。

詳しくは、以下の記事なども参考にしてみてください。

世界へ発信する唯一無二の次世代型商業施設が誕生!渋谷PARCO体験レポート

「店舗」は実店舗とは限らない?バーチャル店舗の可能性

店舗とECの連動、という意味では、新たな可能性として浮上しているのがVR店舗です。たとえば、スポーツ用品販売のアルペンが手掛けるオリジナルブランド「TIGORA」は、この秋に初の直営店「TIGORA by SPORTS DEPO」をららぽーと立川立飛にオープンさせましたが、10月には、ECサイト内に立川の実店舗をそのまま再現したバーチャル店舗も続けてオープンさせています。

また、コスメティックブランドのコーセーは、昨年末、銀座にオープンさせたコンセプトストア「Maison KOSE」のバーチャル店舗をオンライン上で再現しています。

両者に共通しているのは、実際の店舗を訪れられない顧客も、VRによって店内の様子を(ある程度自由に)歩き回って見ることができるのと、VR上に配置されたポイントをクリックすることで表示される動画コンテンツを視聴したり、商品をECサイトで購入することができる、という点です。

ただ、正直なところ、「VR店舗」という話題性を除けば、データ量が大きいためかデバイスに負荷がかかって動作が極端に遅かったり、実際に商品を購入するのであれば、結局最初から直接ECサイトを訪れた方が利便性が高かったり、と、VR店舗があることが強みになるかどうかは疑問符を付けざるを得ません。

たとえば、ブランドの世界観を詰め込んだ旗艦店の世界観を、物理的な距離があって実店舗を訪れることができない顧客に対してVRで提供する、という使い方は今後の可能性としてあるかもしれません。しかし現状では、ブランドのトンマナを表現してくれるフォトグラファーにクオリティの高いスチールを撮影してもらい、その画像を掲載した方がその目的は達成しやすいと思います。

今後、5Gが普及することでもっと大容量のデータを容易に取り扱えるようになったり、ウェアラブルデバイスなどが普及して、深いVR体験を求められることが当たり前になった時に、もっとVR店舗の価値が高まっていくのではないでしょうか。

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