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いま注目の「ダークストア」、店舗活用の活路となるか

現在小売業界でにわかに注目されているのが「ダークストア」です。そのコンセプト自体は数年前から存在していましたが、新型コロナウイルスの影響により、多くの実店舗が閉店に追い込まれているこの状況が、ダークストアの存在をより重要なものへと押し上げていると言えるでしょう。

EC、そして(特に採算が取れない)実店舗双方を運営する企業にとって、今後必要不可欠な存在になるかもしれないダークストアの現状について、国内外の状況も交えてお伝えしていきます。

【目次】

多くの業界で続く実店舗閉鎖

新型コロナウイルスの影響によって、世界各国で、多くの実店舗が閉店に追い込まれています。

不要不急の外出を制限されたことで、飲食店や百貨店、アパレル、旅行代理店など、その被害を被った業種は多岐に渡ります。特に、店舗を全国展開をしているような企業では、大規模な閉店を余儀なくされ、その被害は深刻であるように見えます。

たとえば、国内企業ではファッション大手のオンワードホールディングスでは、実に700店舗の閉鎖を発表して話題となりました。

海外に目を向けてみると、韓国ソウルの繁華街である明洞では空き店舗率が28.5%にまで達したという報道がありました。

コロナ禍における購買行動は、多くのカテゴリにおいて実店舗からオンラインに移行し、2020年の上期では、唯一実店舗への客足が途絶えなかったのは、生活必需品を取り扱うスーパーマーケットのみ、という状況も生まれました。

同時に、そのスーパーマーケットでも、買い物はオンラインで済ませる、というのが、世界標準の “ニューノーマル” になりつつあります。

多くの閉鎖された実店舗を抱える企業にとって、これら「閉鎖された店舗」という不良資産をどう整理するか、あるいは、全く違った活用法を見出すのか、というのは、今直面している非常に重要な課題だと言えるでしょう。

そして、後者、つまり実店舗の全く違った活用法として注目されているのが、「ダークストア」に他なりません。

店舗の活用方法で注目される「ダークストア」

ダークストアとは、簡単に言えばECからの注文に対応することに特化した実店舗です。実店舗でありながら、客を入れてその場で販売をする営業はせず、ECからの注文に対して、商品をピッキングし、梱包し、顧客へ配送するか、もしくはダークストアでのピックアップサービスを提供します。

つまり、ECのフルフィルメント機能に、店頭受け取り、あるいは返品サービスを付加したような業態の実店舗がダークストアと呼ばれているものだと考えるとわかりやすいでしょう。

なぜ、ダークストアが店舗の活用法で注目されているのかと言えば、それは、新たにフルフィルメントの拠点を作るのにコストをかけなくていい、という点が挙げられます。閉店された実店舗には、商品をストックするスペースと、注文された商品をピッキングしたり、あるいは店頭ピックアップに訪れる顧客に対応するリソースが既に揃っているからです。

そして、コロナ禍によって、世界中でECの利用が急激に増えたことも、ダークストアの重要性に小売業界が注目する一因となっています。

たとえば米国では、Amazon傘下のホールフーズ・マーケットや、同じくスーパーマーケットのクローガー、百貨店のメイシーズなどがこぞって閉鎖された店舗をダークストアとして活用する実験を行っています。

実は、ダークストアというコンセプト自体は以前から存在していました。その証拠に、国内でもイトーヨーカ堂は2015年からダークストアの「ネットスーパー西日暮里」を展開しています。

この背景には、いずれネットスーパーが実店舗を凌駕する存在になるという見立てが、国内外にあると言えます。

かつては、鮮度が重要な生鮮食品をECで購入することが定着するとは考えられていませんでしたが、注文を効率よく管理し、より短時間での配送を可能にするテクノロジーが実用可能となりつつある現状、もはやかつての常識は覆されたとも言えるでしょう。

そしてさらに新型コロナウイルスという未曾有の天災が、その見立てが正しかったことを証明し、そして奇しくも閉鎖された店舗の活用という解決策としても有効であるという事実を伴って、世界規模でダークストア増加を加速させたのです。

国内においても、少し前までネットスーパー事業は、スーパーマーケットの実店舗を展開する企業にとって、本腰を入れる存在ではありませんでした。しかし、日本でも例外なくECの売上は急増し、閉鎖店舗が増えている現状、ダークストアを取り入れることで、増え続けるECへの対応強化と、不良資産の有効活用を同時に実現することが可能になるかもしれません。

この場合、元々国外で生まれた「ダークストア」というコンセプトをどこまで日本向けにフィットさせられるか、といった視点も必要になってくるでしょう。

たとえば、米国などは車で移動することが前提となっているため、カーブサイドピックアップサービスが積極的に利用されますが、日本においては店頭ピックアップできる商品の量が少なくなりがちですし、その分宅配の需要が高まるため、より着実な宅配を実現するリソースやシステムが必要になる、といったことが考えられます。

小売の課題=物流の課題

人々の購買の軸足がオンラインに移行するにしたがって、小売企業にとっての課題は、ほぼ物流が絡んでくると言えます。

特に、閉鎖された店舗をダークストアとして活用しようという場合、Amazonや楽天といったECプラットフォーマーと同等かそれ以上の利便性、あるいは付加価値を提供できなければその目論見はうまくいかないと考えておいた方がいいでしょう。

もちろん、自社内でその仕組みを構築するのではなく、物流に特化したベンダーと手を組むことも有効です。

たとえば、スペインのデリバリー企業Glovoは、ウォルマートやカルフールなど大手小売企業と提携し、あらゆる商品の宅配を30分以内で完了するサービスを実現しようとしています。彼らはこれを「Qコマース(クイックコマース)」と呼んでいますが、もし、日本国内でダークストアの展開に取り組むのであれば、単に不良資産を活用するという企業視点だけでなく、「Qコマース」のような価値を顧客に提供できるかどうか、という視点をより重視すべきでしょう。

そしてもちろん、宅配だけでなく、店頭受け取り、あるいは店頭返品・交換といったニーズに応える仕組みも同時に構築する必要があります。

いずれにしても、現状の店舗をゼロからダークストア化することは、決して簡単ではありません。なぜなら、ダークストアの運営を開始する以前に、バックエンドシステムが予め統合されており、ECと実店舗の在庫を一元管理できることが大前提となるからです。

これは、以前からその重要性が提唱されてきたオムニチャネル化に他なりませんが、既にそこに時間とコストを投資して水面下で準備してきた企業であれば、比較的スムーズにダークストアの運営を始めることができるでしょう。実際、米国などのダークストア事例をみても、目に付くのは数年前からオムニチャネルやOMOの実現に投資してきた企業ばかりであることに気づくのではないでしょうか。

米国のグローサリー企業の間では、ダークストアとほぼ同じ目的で、営業している店舗にフルフィルメント機能を持たせる「マイクロフルフィルメントセンター」にも関心が集まっています。

この事象が示すのは、やはり、今後の小売企業はOMO化が必須である、ということではないでしょうか。

数年前、アリババが手掛けるフーマーフレッシュの登場がセンセーショナルに報じられました。フーマーフレッシュはまさにECの倉庫としての機能を持った実店舗ということが斬新なOMOの事例でしたが、それが、今やどの小売企業も実装すべき機能になりつつあることを、世界のダークストア事情が伝えていると言えそうです。

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