店舗運営のAtoZ全31回

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Lesson5 店舗のICT活用編

24勤怠管理システムとしてのICT活用未学習

ここで学ぶ概要

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スタッフ数が少なければ、エクセルなどによる手入力での管理もそう大変ではありませんが、スタッフ数や店舗数が増えてくると、非常に長い時間と手間がかかります。

そういった場合では、自動的に勤務状況の把握と給与計算などを行う、「勤怠システム」の構築を視野に入れることもあり、ICTツールをうまく活用すれば、比較的安価に勤怠システムを構築することも可能です。

そこで、「店舗のICT活用編」第6回目となる今回は、勤怠管理システムとしてのICT活用法について、以下の項目に沿ってお話をしてまいります。

  • 勤怠管理システムに必要な機能と活用するICTツール
  1. 出勤日・勤務時間計算機能
  2. 給与計算機能
  • 勤怠管理システムのデメリット
  • まとめ

勤怠管理システムに必要な機能と活用するICTツール

シフト表を作成する業務に関連して、勤務時間や残業時間、欠勤の管理に伴う給与計算などといった勤怠管理も、併せて行っていかなければなりません。

一般的に勤怠管理では、

  • 出勤日数
  • 欠勤日
  • 出勤時間
  • 退勤時間
  • 遅刻・早退の有無

を何らかの手段で把握をし、時給制のアルバイトスタッフであれば、勤務時間の合計に時給をかけることで給料計算をします。

また、月給制スタッフの場合では、あらかじめ定められた出勤日数と勤務時間に達していれば規定の金額を支給し、オーバーしているときは残業代を追加、不足している場合は月給をマイナスすることにより、基本的には給与計算は進みます。

しかし今では、ICT技術を活用したツールの登場により、この勤怠管理の中心である給与計算の正確性と、効率化ができるとして、タイムカードなどのアナログシステムに替わり、多くの店舗が採用をしてきています。

ここでは、ICTツールの活用によって勤怠管理システムを構築する際、備えておくべき機能について、解説をしていきます。

1、出勤日・勤務時間管理機能

まず第一に、スタッフがどの日に出勤したのか、シフトで定められたとおりに出勤をしたのかを把握することから、勤怠管理業務は始まっていきます。

昔は、スタッフ1人1人にあてがわれた「出勤表」を差し込むことで、出勤日時が印字される「タイムカード機」が、勤怠管理ツールとして広く普及していました。

しかし、スタッフ自身でカードを差し込むことになるため、うっかり忘れてしまうこともあり、正確な出勤日数や勤務時間が印字されないケースも出てきます。

この場合、実際の出勤日数と勤務時間が給料と食い違ってしまう可能性が否定できず、場合によってはスタッフと店との間に、不信感が生じてしまう可能性もあります。

一方、ICTツールと出退勤管理を連動させることにより、正確な出勤日と勤務時間の把握をすることができます。

例えば、スタッフに「個人認識コード」を付与したICカードを渡し、入退室管理システムと併用することによって、勤務時間の入力や報告の手間を省きつつ、正確な把握が可能となってきます。

また小売店においては、出勤直後に行うPOSレジスタの開設と、退勤前に行うレジ締め完了の際に、必ずICカードを通すシステムを構築しておけば、かなり正確な勤務時間の把握をすることができます。

なお、ICカードによる勤怠管理の進化版として、指紋や虹彩など生体認証による勤怠管理システムも開発されており、大企業を中心のその普及も進んでいます。

もちろん、膨大な導入費用がかかるため、1店舗での採用は今のところ現実的ではありませんが、最新鋭の勤怠管理システムの1つとして、ここでお伝えをしておきます。

【ここがポイント!】
~シフト設定や人件費の把握に役立てることも可能~
ICTツールを活用した勤怠管理システムでは、給与計算のためのデータ収集だけではなく、以降のシフト設定の材料として利用することもできます。

数人のシフト作成は、アナログでもそれほど苦になりませんが、10人・20人とスタッフが増えたり、多店舗展開をしているケースでのシフト調整は大変です。

勤怠管理システムとしてだけでなく、人員の過剰配置や不足を起こさないことを目的としたICTツールの活用も、同時に視野に入れておくといいでしょう。

また、パソコンに集積した出退勤管理データを、グラフなどで「見える化」できるソフトを併用すれば、店舗の売上実績と人員配置のバランスを、その場で分析することが可能になります。

つまり、店舗を運営していくコストの中でも大きなウェイトを占める人件費を、正確にリアルタイムで把握することができるため、その運営の健全化にICTを活用した勤怠管理システムは、おおいに役立ってくれるのです。

2、給与計算機能

正確な出勤日数と勤務時間が確認できれば、それをもとにスタッフ1人ずつ、電卓やエクセルなどを使って、給料計算をしていくことになります。

ですがこの給与計算についても、いちいちデータを引っ張り出して手打ちで計算するのではなく、数多くリリースされている給与計算ソフトを活用することで、一気に片付けることも可能です。

また、手打ちによる給与計算より正確性が高まってきますので、スタッフとの信頼関係の構築にも、ICTツールの活用による勤怠管理システムは寄与してくれるのです。

【ここがポイント!】
~クラウド型サービスを利用することによる一括管理のメリット~
パソコンさえあれば、ここまでお伝えした出勤日・勤務時間管理や、給与計算を簡単に行えるソフトは、世の中にたくさんあります。
そして、複数の店舗における勤怠管理を一括で行うことができる、クラウド型勤怠管理ソフトも存在します。

クラウド型勤怠管理ソフトでは、1つのパソコン端末の中だけで勤怠管理データを保存、利用するのではなく、ネット上のサーバーにおいて、データを管理・運用するシステムを構築できます。

そのため、複数店舗の勤怠データを本社が一括で管理し、市場調査結果や売上実績を反映したシフト調整など、マーケティング戦略上の正確な指示を出すことも可能です。

また、確定申告時に必要な財務資料の作成や、万が一労務問題が発生した際の労働基準局への報告などが非常にスムーズになるので、多店舗展開を視野に入れている場合はおすすめです。

勤怠管理システムのデメリット

勤怠管理システムは、店舗にとってその売上を直接向上させることが目的ではないため、「費用対効果」が見えにくい、というデメリットがあります。

また、スタッフ側からみれば勤怠管理システムの変更は、「運営サイドによる勤務管理の強化」と受け止められる場合もあり、戸惑いや抵抗感から職場の雰囲気が悪くなってしまう可能性もあります。

そのため、導入を後回しにするケースも増えてきますが、ここまで述べてきた通りICT活用しての勤怠管理システムの構築では、シフトの適正化と人件費のチェックなど付加価値が大きく発生します。

ですので、店舗の勤怠管理状況を見つめなおし、勤怠管理面だけでない「費用対効果」を望めるかどうか判断して導入の是非を決め、導入の際にはスタッフに対して経営者側の意図をしっかり説明するようにしましょう。

まとめ

今回解説をしたICT活用による勤怠管理システムは、それほど莫大な経費がかさむわけでもなく、パソコン1台と対応するソフトさえあれば、小規模店舗でも比較的簡単に導入することができます。

店舗の業者や規模とマッチした勤怠管理システムが築ければ、非常に大きなメリットを得ることができますので、最後にお伝えしたデメリットにだけ注意をして、ぜひその改善と構築に取り組んでみてください

ここがまとめポイント!

  • ICTツールを活用することで、勤務状況の正確な把握と給与計算までが可能な、勤怠管理システムを構築できる。
  • ICカードによる入退出システムや、POSシステムとの連動により、タイムカード管理より正確な勤怠管理データを入手することができる。
  • クラウド型勤怠管理ソフトを活用すれば、複数店舗の勤怠管理が可能なうえ、様々な用途に使用できる良質なデータが入手・分析できる。
  • 勤怠管理システムは、「費用対効果」が見えにくいがメリットは多岐にわたるため、自店舗に合ったICTツールを活用して、その構築や改善も検討すべきである。
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【正解】1:ICT活用で構築した勤怠管理システムは、給与計算をスムーズにできるだけであり、他の効果を望むことは全くできない。

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