店舗運営のAtoZ全31回

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Lesson2 実店舗編

7店舗の運営とミライを左右する人材系業務未学習

ここで学ぶ概要

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価格や、スペックの決まっている商品と異なり、十人十色の特徴や性格を持っている人材を管理・育成する仕事は、一番難しくデリケートな業務です。

そこで、実店舗編のラストとなる今回は、人材系業務の種類とその進め方について、以下の項目に沿って解説してまいります。

  • 人材系業務の種類と進め方
  1. スタッフの募集・選抜
  2. 教育による人材育成
  3. シフトの作成と労務環境の維持
  4. 朝礼・終礼・ミーティングの実施
  • 副店長・サブリーダー候補の育成法
  • まとめ

人材系業務の種類と進め方

人材系業務といっても幅広いため、ここでは種類ごとにその進め方や、業務を遂行するにあたり注意していただきたいことなどについて、詳しく触れていきます。

1、スタッフの募集・選抜

まずは、求人情報誌・メディアへの掲載や、店頭の張り紙などによって募集することから始めましょう。

たくさんの希望者が集まれば、面接によって優秀な人材を取捨択一することも可能ですが、少子化と高齢化の影響をうけて、現在日本では「人手不足」の傾向にあります。
店舗の知名度や給与体系、拘束時間によって応募の数は変わり、規模や業態によって必要なスタッフの数も異なりますが、残念ながら選り好みできるほど多くの人材が集まることはない、と考えたほうが無難です。

ただ、求人を出すメディアにも専門性の高いものや、ターゲットとなる年齢層に違いがあるため、うまくチョイスして少しでも応募者が集まるように、店長や運営者は知恵を絞りましょう。

【ここがポイント!】 ~採用後に育てていく手もあり~

本文中でも触れたとおり、現在は大企業であっても人手不足にあえいでいることから、個人商店などでは求人募集をしても、なかなか希望者が現れないケースも多くなります。

運良く現れてくれた希望者については、とりあえず採用して以下で述べていく「教育」によって、使える人材への成長を促すという方法を、場合によっては店長・運営者は取る必要もあるでしょう。

2、教育による人材育成

人材が無事確保できれば、店舗運営における業務に合わせて、教育と訓練を施す必要があります。
コンビニや、ファミリーレストランなどといった、フランチャイズチェーンの場合では、FC本部に人材教育専門の部署があり、普段の身なりや勤務態度などへの細かい指摘と、訂正などだけで済みます。

一方、個人営業の店舗では、店長や運営者自ら教育に当たる必要がありますが、忙しい業務の合間を縫って行うスタッフ教育では、その成果が出てくるまで時間がかかります。

すぐに成果が出ないことを事前に認識しておき、徐々にレベルアップしていくのをじっくりと見守りましょう。
せっかく応募してきてくれた貴重な人材ですので、モチベーションを保ちつつスキルアップをサポートしましょう。

シフトには若干の余裕を持たせておいたり、スケジュ

【ここがポイント!】 ~経験者を募集すれば手間は省けますが…~

求人情報誌などを見ると、たまに「要経験」という記載を目にすることもあり、確かに経験者を採用できれば、上記で述べた時間のかかる人材育成の手間を、大きく省くことも可能です。

ただし、希望者は一層集まりにくくなるため、給与条件などをアップする必要があり、人材取得のコストと、人材教育のコストのバランスを取ることが重要になってきます。
また、応募者が経験者だった場合は、自店と前職のマニュアルの違いなどをすり合わせていく必要もあります。

3、シフトの作成と労務環境の維持

2~3名程度で回している、小規模店舗の場合ではそれほどでもありませんが、中規模以上の店舗でスタッフ数が二桁以上になってくると、日々のシフトを作成するのも大変な作業になります。

営業時間が長く、「早番・中番・遅番」の設定も絡んでくると複雑化し、よくチェックをしながら作成しないと、シフトの空白や重複を起こしてしまうこともあるので、注意が必要です。
また、適切なシフト作成によって労働時間が不当に長くなったり、休みが少なくなるなどといった労務環境の悪化を防ぐのも、店長や運営者の大切な業務です。

スタッフは、決められたシフトに沿って出勤・業務を行う義務があり、それに対して給料が支払われているので、店長や運営者はシフト作成だけでなく、その遵守をさせるのも仕事のうちです。
ただし、スタッフにも都合があり、休みたい日も出てくるでしょうし、急用が発生することや体調不良になることも当然あります。
いずれの場合でも、それらを無視してシフトを作成しその遵守を求め続けると、労務環境がみるみる悪化し、スタッフ全体の士気低下につながります。

店長や運営者はスタッフの状況や体調を正確に把握し、欠勤や早退を許可・指示することも、店舗をうまく運営するために必要な、人材系業務の1つになります。

【ここがポイント!】 ~基本的には店長・運営者がカバーすべきですが…~類

これはあくまで心構えの話ですが、店長や運営者はシフトを組む「権限」があるのと同時に、時にはシフトの空白を自らでカバーしなければならないこともあります。
ただ、いかに責任のある店長や運営者といえど、カバーする回数が多いと負担が増えてしまいます。

シフトには若干の余裕を持たせておいたり、スケジュールに余裕のあるスタッフに代役をお願いしたりして、しっかり休養できる日を確保することも大切です。

4、朝礼・終礼・ミーティングの実施

朝礼・終礼・ミーティングは、店長や運営者が抱く店舗の方針を、スタッフ全員に伝えるための重要な業務です。
朝礼では、接客用語の復唱などとともに、1日ごとの店舗・個人における販売目標などを共有して、これから始まる業務に対する、スタッフのモチベーションを保つ場にしましょう。
終礼は、その日の店舗実績を確認するとともに、一定の成績を上げたスタッフを評価する場として、活用するといいでしょう。

またミーティングでは、店舗の運営方針や実績を再度確認する場として、

  • 当月度売上への評価
  • 次月度売上目標の設定
  • 改善点の提起と意見交換方

などを行うことになりますが、できれば店舗に所属する全スタッフが集まれる日時を設定して、最低でも月一回程度は実施しましょう。

さらに、新しい商品展開などを考えているケースでは

  • 新商品・新メニューなどの説明
  • 販売・調理方法のレクチャー
  • 来店客への販売・提供を模したロールプレイング方

を行うことにより人材教育の機会として、ミーティングを活用することもできます。

【ここがポイント!】 ~指導は個人的に評価は大勢の前でが基本~

接客マナーや、勤務態度などがいたらないスタッフを見つけても、来店客や他のスタッフがいる前での指導は、極力避けたほうが無難です。
指導したスタッフのプライドを、いたずらに傷つけてしまう可能性があるからで、一連の問題を片づけた後そのスタッフを個人的に呼び、威圧感の無い穏やかな口調で、わかりやすく丁寧に指導するよう心がけましょう。

一方、スタッフを褒めるときには、朝礼・終礼・ミ―ティングの機会に合わせて、みんなの前でしっかりと名指しで評価してあげると、より一層奮起してくれることも多くなります。

副店長・サブリーダー候補の育成法

人材系の業務で、最も高レベルかつ困難になるのが、店長を補佐する副店長・サブリーダー候補を見出し、育てることです。
売上を伸ばす勝てる店舗になるには、優秀なサブが必ず存在するともいわれており、

  1. 店舗NO,1の売上スキル
  2. 店長不在時の代行スキル
  3. 部下・スタッフの育成スキル

などが、副店長やサブリーダーには必要となってきます。

正直、1番についてはセンスが問われ、副店長やサブリーダーに適した人材を見つけるには、店長・運営者の観察力と、人材の特性を見抜くスキルが必要になります。
そして、販売スキルの高いスタッフを見いだせたら、2・3を徐々に経験させながら教え込んでいくのが、その育成法となります。

また、複数のアルバイトがいる店舗の場合店長とアルバイトとの間に、「バイトリーダー」を据えるのも良い方法です。

店長や運営者からのトップダウンでは、なかなか伝わらなかった業務指示が、同じ立場であるバイトリーダーを介することで、スムーズになることもあります。
さらに、アルバイトながら「役職」に就いたことで責任感が芽生えれば、そのまま副店長・サブリーダー候補にできるまで、一気に急成長をすることもあります。

まとめ

人材系の業務は、ここで紹介したもの以外にも実に多岐にわたり、スタッフ同士の人間関係の調整をしたり、時には人生相談に乗ってあげたりするのも、店長や運営者の役目です。
いずれにせよ、店舗の財産である人材をうまく育て、コントロールしていくことが、事業成功への第1歩となってきます。

ここがまとめポイント!

  • 貴重な求人への応募者を手放さず、一度は試してみるのも良い。
  • スタッフ教育は成果を急ぎ過ぎず、じっくりと時間をかけて行うべき。
  • シフトは、空白や重複が無いよう正確に作成し、状況に合わせて調整する必要がある。
  • 士気をアップさせるため、朝礼・終礼・ミーティングは実施すべき。
  • 普段からスタッフの成績や特性に着目し、副店長・サブリーダー候補を探しておくと◎。
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【正解】3:シフトに空白が出たときは、できる限り店長や運営者がカバーするべきである。

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