店舗運営のAtoZ全31回

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Lesson2 実店舗編

6店舗運営に必要な経理系業務未学習

ここで学ぶ概要

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経費削減への意識は、店舗の運営を安定させる大切なことですが、使うべき時に使うべきところにはキチンと経費を振り分けないと、店はうまく機能しません。

そこで、実務編第4回目となる今回は、経費つまりお金を有効に活用し管理する「経理系」の業務について、以下の項目に沿ってお話をしていきます。

  • 経理とは
  • 店舗運営に関わる主な経費の内訳と管理・活用術
  1. 店舗維持費
  2. 商品の仕入れ・材料費
  3. 宣伝広告費
  • 確定申告への備え
  • まとめ

経理とは~本当はお金の管理だけではありません~

経理という仕事について、お金の出し入れを管理をするのだけが、その役目だと思っている方も多いはずです。
しかし、経理とは「経営管理」の略であり、企業においてはお金に関わる「財務管理」の他に、

  • ヒトの管理・・・従業員の労務、人事管理
  • モノの管理・・・社屋や社用車のメンテナンス手配
  • 情報の管理・・・社内情報のセキュリティー、広報活動

などをすべてこなし、経営トップの方針を手助けするのが経理という仕事で、その業務の幅広さから、「総務」と呼ばれることもあります。

しかし、店舗という小さな組織の中では、やはりお金に関する業務が大きなウェイトを占めてきますので、以下では幅広い経理系業務の中でも「財務管理」にフューチャーして、解説を進めて参ります。

店舗運営に関わる主な経費の内訳と管理・活用術

店舗を運営していくうえで、必要となるお金を「経費」と呼び、管理をする専任担当者を配置することもできますが、それこそ経費がかさむためそうもいかないこともあります。
仮に担当者を置ける場合でも、店長・運営者であれば以下で解説していく経費の種類と管理状況、さらにそれらを有効活用する術を知っておく必要があります。

1、店舗維持費~ランニングコスト~

店舗を稼働ししていくためにかかる、日常的な経費を「ランニングコスト」と呼び、

  • 店舗家賃・駐車場地代
  • 人件費
  • 水道光熱費
  • セキュリティー費用

などがその主なものになります。

このうち、家賃や駐車場の地代については、開業時に不動産として一括購入しているのであれば、継続してかかるランニングコストではなく、「イニシャルコスト」として経費計上する必要はありません。

ですが、ローンを組んでの購入で毎月の返済があれば、それもランニングコストに含めておくべきでしょう。

人件費や水道光熱費は、

  • 稼働時間・日数を調整
  • 空調・照明などのこまめなオン・オフ

などにより若干削減も可能ですが、基本的にはあまり節約をする方法がない、「最低限の経費」となります。

店舗維持費についてはいつもどのぐらいかかり、どれだけの売り上げを出せば黒字化するのかを把握しておくことは、店長や運営者にとって常識です。

【ここがポイント!】 ~自己資本に沿わない店舗を所有すると経営が立ちいかないこともある~、

ここで触れた店舗維持費は、店舗の規模によって左右されるもので、一度店舗が動き出せば本文中でも述べた通り、大きく削減することは難しくなります。
よってここは開業前に綿密な経営戦略を練り、売り上げ予想や準備可能な運転資金に、マッチした規模の店舗選びが重要となります。

読みを誤り、身の丈に合っていない大きな店舗を所有すると、ランニングコストの修正・削減がどうしてもしづらくなってしまいますので、店舗の規模決定には十分な計画性を持つようにしましょう。

商品の仕入れ・材料費~学習することが大切~

この仕入れ・材料費に関しては、売る商品や提供する料理などを作るには必要不可欠なものであり、売り上げが伸びれば自然とその総額も増えるので、店舗にとってはいいことのようにも思えます。
ただ、以前お話した在庫管理と関連して、過剰仕入れによる売れ残り・材料の廃棄といった、無駄な経費増大を防ぐ必要があります。

そして、帳簿上での在庫量と実際の在庫量が、完全に一致しているか精査するのも、経理における財務管理の重要な業務になってきます。
全く売れ残らない、パーフェクトな仕入れ管理が理想ですが、それはあくまでも理想であり、なるべく理想に近づけるような仕入れのために経験を積んだり、システムを活用したりすることが重要です。

想定していた販売数を下回ったり、天候による来店客の減少で食材が余るなど、様々な理由で売れ残ってしまうこともあるでしょう。
ただし、それは仕方ないとしても翌月の仕入れ・材料購入において経験を活かさず、全く同じことしているようでは、店舗の経営が安定していかないこともあります。

つまり、店舗における仕入れ・材料費の管理では、帳簿・パソコンなどで過去を見直し「学習」することが大切であり、月間・通年の動きに合わせた仕入れ・材料購入にかかる総経費を、店長や運営者は判断・決定しなければなりません。

【ここがポイント!】 ~仕入れ・材料購入先の変更がやむを得ないケースもある~

店長や運営者の中には、仕入れ・材料購入先を変更する、もしくはそれを上層部に進言する権限を持っている方もいるはずです。

同じ品物でも、取引先によって価格が変動するのが当たり前ですから、会社としての付き合いなども絡みはしますが、時には冷静な経営判断を行い仕入れや材料購入先を変更し、経費を抑える方法を取らざるを得ない時もあります。

3、宣伝広告費~今や時代はSNS・インターネット~

宣伝広告費は、各メディアへの広告掲載費やチラシの作成費、看板やのぼりなどといった販促ツールの購入費などがそれにあたります。
宣伝広告を縮小してしまうと、うまく集客に繋がらないこともありますが、広告をたくさん打てば必ず来店客が急増するという訳でもないので、店長や運営者にとってどの程度支出するかを決めることが難しい経費です。

しかし、今流行りのTwitterやフェイスブックなどといったSNSは、無料で店舗の情報を不特定多数に向けて発信できるため、これを利用しない手はありません。
また、少し頑張れば自分でブログや、店舗の紹介サイトを作成し情報発信こともできるので、大きな宣伝広告費をかけられない店舗の場合は、是非とも利用することをおすすめします。

【ここがポイント!】 ~その広告方法は正しい?~

同じ経費を使うにしても、店舗の業態に合った広告を打たないと、経費の無駄使いになりかねません。

例えば新聞広告ですが、今の若い世代の方はそれほど新聞を契約しておらず、30代の新聞購読率は1割にも至っていません。
スーパーのチラシならともかく、若い世代がターゲットである店舗の場合、新聞広告を打っても無駄な経費を使うだけになりかねませんので、店舗の客層に合った宣伝方法をチョイスするべきでしょう。

反対に、本文中でおすすめしたSNSやインターネットならば、若い世代へのアピール度も上がってきますが、年配世代に対して効果があるかは疑問です。
もし、ご自身の経営する店舗のターゲット層が近隣地域であれば、少々アナログですが、自分たちでチラシを手作りして、自らの足で周辺にポスティングを実施する方法も有効です。
様々な世代の目に触れる機会も増えますし、何より新聞広告より経費を大幅に節約することができます。

確定申告への備え~収入を左右する重要な業務~

店舗運営する店長や、オーナーにとってあまりにも基本的なことなので、あえて上記ではいちいち触れませんでしたが、ここまで紹介したすべての経費について、

  • 支出を記載した帳簿
  • 証明する領収書

などを、きちんと管理・保管することが必要です。

なぜなら経費はすべて、毎年2月中旬~3月中旬にかけて行われる確定申告において、法人税・所得税の控除対象になるからです。
上記が揃っていないと、無駄に税金を支払う羽目になり、せっかく頑張って得た利益が目減りしてしまうのできちんと自ら保管するか、経理担当者を置いている時には管理の徹底を指示しておくようにしましょう。

まとめ

今回は、経理という広い業務の中でも、特に重要な財務管理に絞って解説しましたが、増やすにしても減らすにしても、適切な経費の使い方に留意しつつ、最後に述べた確定申告への準備も併せて行うことが、店長や運営者には必要となってきます。

ここがまとめポイント!

  • 経理とは経営管理のことで、店舗運営業務ではその中でも財務管理がメイン。
  • 削減が難しい店舗管理費は、事前の計画性が重要になる。
  • 商品の仕入れ・材料費は、在庫管理業務と密接にかかわってくる。
  • 宣伝広告は、店舗の業態・ターゲット層に合ったチョイスをすべき。
  • 収入を決める、確定申告への備えを怠らない。
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【正解】2:仕入れ・材料費の管理は、在庫管理が雑でも帳簿上で十分可能である。

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