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店舗経営者が「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」に注目すべき2つの理由

経済産業省とコンビニ大手5社が2017年4月に共同発表した「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」は、規模の大小を問わず多くの店舗経営者が、今後の展開に注目すべきものといえるでしょう。

「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」とは、2025年をめどに国内大手コンビニの全店舗でRFID技術を使ったICタグの導入(具体的には店舗で販売される商品すべてにICタグを貼り付け管理すること)を実現するための方針。ICタグを導入するメリットは、大きく分けて下記のように考えることができます。

・小売業界が抱える人件費問題、人手不足の解消
・お客様の側にとっても満足度の高い「セルフレジ」の実現
・食の安全(トレーサビリティ)の向上
・販売、物流状況管理の徹底化
・より高度なマーケティングの実現

以下、詳細について解説しましょう。

●メリット(1)人件費問題、人手不足の解消 ⇒ 満足度の高い「セルフレジ」の実現

ご存知の通り、現在コンビニで販売されている商品には、価格や商品名といった情報を格納したバーコードが貼り付けられており、バーコードを読み取ることで、テンキーに触れることなく個々の商品情報の入力ができるようになっています。

◆バーコードを使った商品タグによる「セルフレジ」の問題点とは?

コンビニの場合、レジのスタッフがリーダーを使いバーコードの読み取りを行うオペレーションが基本となりますが、大手スーパーなどでは既に、バーコードの読み取りをお客様自身が行う「セルフレジ」を導入している店舗もあるため、バーコードを使った運用でもスタッフ削減に役立つ「セルフレジ」は実現済みともいえます。

しかし、利用した経験がある方ならおわかりでしょうが、この種の「セルフレジ」でネックとなるのが、会計の作業をお客様自身で行う必要がある点。
これまでスタッフに任せていた作業を自分で行うというストレスに加え、場合によっては故意にバーコードを通さないといった不正も可能になってしまいます。
そのため、現状では「セルフレジ」といっても、お客様対応のスタッフを常駐させている店舗がほとんど。お客様が操作に慣れていないこともあり、一人当たりの会計に意外と時間がかかる場合も多く、規模にもよりますが、お客様の満足度を含む全体的な効率を考えると、有人レジと大差がないケースもあるようです。
このような難点を大幅に改善するのが、ICタグの導入なのです。

◆“RFID技術を使った” ICタグの導入で「セルフレジ」はどう変わる?

中でも、今回の「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」でキモとなるのが、“RFID技術を使った” ICタグを導入するという点。
大まかに説明すると、バーコードに対しRFID技術を使ったICタグには

・読み取りミスが少ない
・一度に複数のタグを読み取ることができる
・重なり合った(読み取り装置から直接見えない位置にある)タグでも同時に読み取ることができる

といったメリットがあります。
極端に言えば、商品が詰まった買い物かごをポンと置くだけで、瞬時に合計額を計算することが可能になるわけです。
さらに、ICタグが読み取り装置からある程度離れていても情報を読み取ってくれるので、故意に商品を隠し持っていても会計から逃れてしまう心配が少なくなります。

◆会計の時間が短縮されることで、お客様のストレスも軽減

特に大きいのが、お客様側のメリットでしょう。バーコードを使った「セルフレジ」のように自分で読み取り作業を行う必要がないばかりか、有人レジに比べても格段に素早く会計を済ませることができます。
技術的な可能性で言えば、電子マネーと連携させることで、合計額の計算と同時に支払いも完了させてしまうことも。
コンビニの場合なら、通勤時やランチタイムにありがちなレジの渋滞に苛立つことが、ほとんどなくなるかもしれないのです。

人件費や人材不足問題の解消にも大きく貢献してくれるICタグを使った「セルフレジ」ですが、こうした顧客満足度の観点は、思いのほか見逃せない要素といえるかもしれません。

●メリット(2)販売、物流状況管理の徹底 ⇒ 機会損失の少ないマーケティングを実現

ICタグ導入のメリットは「セルフレジ」に留まりません。
今回の「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」は、「セルフレジ」による効率化のほか、ICタグを使った店舗とメーカーとの販売、物流情報の共有も大きな柱としています。
バーコードを使ったPOSシステムでも情報共有は行われており、仕入れや搬入のタイミング管理に活用されていますが、RFID技術を使ったICタグを使うことで、より精密な情報共有が可能になるとされているのです。

◆情報が追記できるICタグを使うことで流通過程の履歴情報なども扱えるように

技術的な話で言えば、RFID技術を使ったICタグにはSDカードのように「情報を追記できる」という、バーコードにはない特性があります。
この特性を活かすことで、たとえば製造→卸→小売というような流通過程の履歴情報を付加していくことも可能です。
いわゆる「食の安全」を守るトレーサビリティ情報の管理に役立つのはもちろん、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」ではICカード内に格納または追加、更新する情報の種類と扱い方を工夫することで、特にコンビニでは社会問題ともなっている“廃棄ロス”の解消も目標としています。

◆より高度なマーケティングが可能になるICタグで、経営上の機会損失も減る可能性が

商品に付けたICタグが、経営者にとって機会損失を減らすだけでなく、新たな機会の発見につながる“攻め”のマーケティングツールとなる可能性を秘めているのも見逃せません。

従来のPOSシステムでも、いつ、どこで、どんな商品が売れたのかという情報を蓄積することはできますが、上記のようにICタグで扱うことができる情報の量や種類はバーコードに比べ多いため、分析次第では、より効果的な戦略を立てられるわけです。
技術的な可能性だけなら、商品購入前、さらには購入後のお客様の動向を把握することだって可能。小売店舗では商品の配列や動線の改善に、メーカー側では商品開発に…というように、ICタグから得られる情報が、大きな利益をもたらしてくれるかもしれないのです。

●実現までには様々な課題も…。IT大国ニッポンの未来にも影響を与える存在

このように、コンビニ業界以外にも大きな意味と可能性を示してくれる「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」ですが、達成目標となる2025年までにクリアすべき課題はいくつもあります。

◆ICタグ導入における最大の課題はコスト。読み取り装置の開発も重要なポイントに

最大の課題といえるのが、商品に貼り付けるICタグのコストです。
現状、RFID技術を使ったICタグは1枚10円~20円ほどのコストとなっています。
当然ながら、これではコンビニの商品すべてに貼り付けることは不可能。量産化や技術革新により、どれだけコストを下げられるかに、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」の成否がかかっているといっても過言ではないでしょう。
また、低コストが実現されたとしても、ICタグを誰が、どのように商品に貼り付けるのか、その手順やコストも無視することはできません。根本的な課題で言えば、ICタグを読み取る装置の開発もあります。

◆業界全体でのルール整備には時間をかけたいところ。目指すは世界標準

ハード以外の課題でもっとも重要なのが、ルールの整備でしょう。
ICカードに格納する情報のフォーマットを、すべてのコンビニで共通する必要があるのは言うまでもないこと。
さらに、どんな情報を格納するか、どのように運用するかといったルールの整備に関しては、単なるシステム構築だけでなく、お客様の個人情報にも深く関わる部分であるため、倫理的なルールのすり合わせも重要になってくるはずです。

このように様々な課題を抱えている「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」。経済産業省とコンビニ大手5社が共同で推進していることからもわかるように、実現させるためには莫大な費用と時間を要する、一種の社会実験であると考えることもできます。

予定通りに進むかどうか、今のところ何とも言えないようですが、ICタグの低価格化や関連技術の進歩など、実現までの過程で生まれた産物は、確実にその他の業種にも恩恵や影響を与えるはず。
さらに言えば、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」が達成された暁には、ノウハウ全体を商品として、海外に輸出することもできるでしょう。
皆さんのビジネスだけでなく、日本の未来にも影響を与える可能性が高い「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」。
その動向に、注目していただきたいところです。

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