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ケイパビリティとは?自社の強みを見出して、新たな市場の獲得や売上アップをねらう

「新たに市場展開するためには、何をすればいいのだろう…」

と考えている担当者の方に向けて記事を書きました。

結論を言うと、新しい市場へ展開する前に自社のケイパビリティを見つける必要があります。

“ケイパビリティ”とは「企業の内部に強みを見出す考え方」です。

ケイパビリティをもとに“スピーディーに業務を遂行する力”などの強みを見つけることで、他社には真似できないサービス展開や新たな市場展開、売上アップの可能性が広がります。

とはいえ、いきなり自社のケイパビリティを見つけるのは難しいですよね。

そこで今回は、

の順に、ケイパビリティについて紹介します。

カタカナ語で難しく感じるかもしれませんが、概要をつかむだけなら簡単です。

まずはケイパビリティについて、大まかに理解しましょう。

ケイパビリティとは「企業の内部に強みを見出す考え方」

ケイパビリティ(capability)の意味を直訳すると、「能力」「才能」「特性」です。経営用語としては、「企業や組織が得意とすること、強みである部分を見出す考え方」を意味します。

例えば、

  • スピーディーに業務を進める
  • 高いクオリティの商品を生産する

などの能力を見つけることができます。

これらは他社と比べるものではありません。自社にとって将来何らかの可能性や見通しを与えてくれるものが当てはまります。

そして上記のような強みがあることで、他社には真似できない“競争優位性”を創出。これにより、さらなるサービス拡大や売上アップが期待できます。

経営に与える変化が激しくなりつつある現代において、このケイパビリティの重要性が高まっているのが現状です。

補足:ケイパビリティは防衛の用語として使われることもある

ケイパビリティは、防衛用語として使われることも。

この場合は物理的な能力だけでなく、「訓練やリーダーシップなどの軍事作戦能力」という意味もあります。

続いては、ケイパビリティと混同されやすい「コアコンピタンス」との違いを解説します。

ケイパビリティとコアコンピタンス(コンピテンシー)の違い

まずコアコンピタンスは、英単語として以下の意味があります。

  • コア(core):核心、芯
  • コンピタンス(competence):能力、適性、資産

つまるところ、コアコンピタンスは企業独自の技術です。「他社に真似されにくいもの」「顧客に利益をもたらすもの」が当てはまります。

またコアコンピタンス組織が持つ能力の中でも“能力の核”となる部分を指しており、事業で成果を出すためには欠かせない要素の1つです。

例えば具体例として、ソニー株式会社(以下、ソニー)の「小型化技術」があります。

テープレコーダーが発売された当時、どのメーカーの製品も「大きくて重い」という課題がありました。ソニーが開発したものも重さが45kgもあり、家庭用として広めることはなかなか難しい状況に。

しかしソニー創業者である井深大(いぶかまさる)元社長が「もっと小さくできないか」と言い続けたことにより、社員は小型化に注力。その結果ウォークマンが誕生し、大ヒットとなったのです。

このように企業独自の強みであり、他社がなかなか真似できない技術の力を「コアコンピタンス」と呼んでいます。

■コアコンピタンスについては、「諸刃の剣のコアコンピタンス経営」もぜひご覧ください。

ケイパビリティは「全体の力」、コアコンピタンスは「技術の力」

改めて違いを整理すると、ケイパビリティは「全体の力」、コアコンピタンスは「技術力」です。

ケイパビリティはある業務を進める能力、ある結果を生み出すことができる能力のこと。コアコンピタンスは業務を進めるために必要な技術力です。

先ほどのソニーの事例であれば、ケイパビリティは「社員が持つ、商品を小型化する能力」であり、コアコンピタンスは「電化製品を小型化する技術力」です。

またケイパビリティは外部から見えにくく、コアコンピタンスは外部から見えやすいという特徴があります。

ここまで、ケイパビリティについて解説しました。とはいえ、自社のケイパビリティを見つける方法はなかなかわかりませんよね。

そこで続いては、ケイパビリティを生み出す方法を解説します。

ケイパビリティを生み出すための方法3ステップ

ここからはケイパビリティを生み出すまでの3ステップを

  1. 自社が戦っている市場を理解する
  2. 他社に負けない自社の強みを洗い出す
  3. 強みを最大化して、戦略に活用する(ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー)

の順に、1つずつ解説します。

1. 自社が戦っている市場を理解する

まずは、自社が戦っている市場で求められているものを考える必要があります。というのも、いくらケイパビリティを洗い出したところで市場のニーズと合っていなければ成果は出ないからです。

戦略は「市場が求めているもの」と「ケイパビリティ」の組み合わせです。そのため、ケイパビリティだけを見つけても戦略を考えることができません。マーケットの方向を見極めることで、戦略がしっかりと機能して結果が出ます。

まず自社にはどのような役割があって、どのような成長ができるのかなど、ニーズを読み取りましょう。

次のステップでは、読み取ったニーズをもとに自社の強みを考えます。

2. 他社に負けない自社の強みを洗い出す

市場を理解したら、自社の強みを考えましょう。このときのポイントは、「他社と差別化できる能力であること」です。

能力がいくら優秀であっても、すでに他社が持っているものであれば強みにはなりません。自社にしかないオリジナルの強みを見つけることが必要です。

3. 強みを最大化して、戦略に活用する(ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー)

次は強みであるケイパビリティを最大化して、企業戦略にまで落とし込みます。このことを「ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー」と言います。

戦略がなければ、ケイパビリティを活かすことはできません。より現場で活きるように、方向性や計画を立てます。

「ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー」の意味については、最後の「覚えておきたい用語」でもう一度紹介しています。

続いては事例として、ケイパビリティによって差別化に成功した、アメリカのコンピューター市場を紹介します。

ケイパビリティの事例:アメリカのコンピューター市場

アメリカのコンピューター市場は、「Apple」と「DELL」の2社が大手です。とはいえ、同じパソコンを売っていても、2社のケイパビリティは同じではありません。

  • Apple:洗練されたデザインやシンプルで美しいパッケージ。操作のシンプルさ
  • DELL:スピーディーな納品と低価格化。質の高いカスタマーサービス

このようにAppleはパソコンの機能ではなく、デザインにこだわっています。そのために、ファッション業界のデザイナーを積極的に採用しているほど。

対してDELLは、早い納品や購入しやすい価格など、顧客の満足度に焦点をあてています。

このように同じ市場でも、ケイパビリティが異なればお客さまから支持されることは可能です。

最後に、ケイパビリティと一緒に覚えておきたい経営用語を2つ紹介します。

ケイパビリティと一緒におさえたい経営用語

ケイパビリティと一緒におさえておきたい用語として、

  • ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー
  • ダイナミック・ケイパビリティ

を紹介します。

ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー

「ケイパビリティ・ベースド・ストラテジー」とは、ケイパビリティを企業の戦略にまで落とし込む行動です。

ケイパビリティは、企業ごとに異なります。そのため、ケイパビリティを現場で活かすためには、しっかりと戦略を立てることが必要です。ケイパビリティを使って市場拡大や売上アップできる戦略を考えましょう。

ダイナミック・ケイパビリティ

「ダイナミック・ケイパビリティ」とは、環境の変化に合わせてケイパビリティを変革させる能力です。

これは3つに分けることができます。

  1. 感知:チャンスや企業を脅かす脅威を感知し、活用すること
  2. 捕捉:脅威を避けて、チャンスを活かすために組織の構造やプロセスを再活用すること
  3. 変革:経営資源などを変革させて、環境の変化に対応していくこと

ケイパビリティは時がたつとともに、古くなり時代遅れになることもあります。そのため一度考えたケイパビリティにこだわっていると、いつのまにか事業が衰退してしまう原因になることも。

売上アップのチャンスを逃さないためにも、ダイナミック・ケイパビリティの考え方は欠かせません。

まずは以上でご紹介した3ステップを参考に、自社のケイパビリティを考えてみましょう。これにより、売上アップや市場の拡大が期待できます。

ケイパビリティを意識して、他社と差別化したサービス展開を!

ここまでをおさらいします。

ケイパビリティとは、「企業の内部に強みを見出す考え方」です。コアコンピタンスと呼ばれる「企業の核となる技術力」とは異なり、「全体の力」を指しています。

そして環境変化の激しい今、ケイパビリティの重要性が高まっているのが現状です。ケイパビリティを高めることで、新たな市場展開や売上アップにつながります。

自社のケイパビリティは、3つのステップで生み出すことが可能です。

  1. 自社が戦っている市場を理解する
  2. 他社に負けない自社の強みを洗い出す
  3. 強みを最大化して、戦略に活用する

そして事例として、アメリカのコンピューター市場を紹介しました。

「デザイン」のApple社と「納品スピードと低価格」のDELL社では、同じPCメーカーでもケイパビリティが違います。異なるケイパビリティを持っているため、競合することなくどちらも消費者から人気を集めているのです。

まずは記事内でご紹介した3ステップを参考に、自社が置かれている市場の分析から始めてみましょう!

この記事を書いた人
黒田剛司

大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。

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