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ファミマによる「マルチポイント」導入。小売業界でスタンダード化するキッカケとなるか?

去る2019年11月26日、大手コンビニエンスストア「ファミリーマート」が、従来から採用していた「Tポイント」に加えてドコモの「dポイント」、そして楽天の「楽天スーパーポイント」も同時に扱うマルチポイント化をスタートさせました。

このニュースは、これまでに培われてきた主な共通ポイントと企業の相関図を書き換え、マルチポイント化が新しいスタンダードになる可能性を示唆するものと捉えることができるのではないでしょうか。

目次:

本質的に“コンビニエント”な状態を作る

ファミリマートは、もともと2007年11月から、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下CCC)Tポイントプログラムに参加し、当時子会社だった「ファミマクレジット(現在はポケットカードに吸収合併)」からクレジット機能が備わった「ファミマTカード」の発行などを行ってきました。12年間、共通ポイントはTポイント一択という状態が続いていたのです。

そんな中2019年に入ってすぐに、dポイントおよび楽天ポイントを導入する旨のリリースが発表され、今回の導入に至りました。このマルチポイントへの移行の背景には、コンビニ系モバイル決済サービス「ファミペイ」の存在があります。

モバイル決済サービスを提供すれば、ファミリーマートは顧客との新たな接点を作った上で集客に活かせるだけでなく、独自に顧客の購買・行動データを入手することもできます。これからの時代において選ばれるコンビニになるためには、どちらも必須の要素と言えるでしょう。

ところが、これまで採用してきたTカードおよびTポイントで得られる顧客データは、CCCが掌握しており、ファミリーマートがそれらのデータを活用したい場合はCCCに対価を支払う必要がありました。その点が今後を見据えた時にファミリーマートのボトルネックになっていたとも言われています。

ファミリーマートとしては、当面独自の共通ポイントを展開すること自体にはこだわりはなく、より顧客にとって汎用性の高いものをファミペイ上で利用可能な状態を作ることで、本質的に“コンビニエント”な状態を作ることこそが大切である、という考えを持っていたと言えるでしょう。
実際、株式会社ファミリーマートの代表取締役高柳浩二会長は、今回のマルチポイント化を、これまで自社ポイントを展開してこなかった「後発者利得」であると語っています。

他社の動きは今後どうなる?

ファミリーマートのアクションは、当然、共通ポイントを導入する小売業および飲食業に波紋を呼ぶことになるでしょう。

実際、2016年からここまでTポイントを単独採用してきていた大手牛丼チェーンの吉野家が楽天スーパーポイントの導入を決定し、マルチポイントに移行しています。

さらに、ここまで楽天スーパーポイントを単独採用してきていたミスタードーナツは、11月11日よりdポイントの導入を開始しました。

実は、もっと以前からマルチポイント採用していた企業も複数あります。

大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドは2017年からdポイントと楽天スーパーポイントを開始しています。

大手コンビニのローソンでは、ロイヤリティマーケティングが展開するPontaポイントをdポイントと交換できる仕組みを持っています。

牛丼チェーンのすき家は、楽天スーパーポイント、dポイント、Pontaポイントと最も多い3種類のマルチポイントを採用しています。

このように俯瞰して見ると、マルチポイントがスタンダードとなる流れは必然であると感じられます。共通ポイント界をリードし、大きなシェアを保ってきていたTポイントは、これまで加盟企業がマルチポイント化することに対して否定的でしたが、この流れに抗うことは難しく、今後は苦しい立場になるかもしれません。

なぜなら、楽天スーパーポイントもdポイントも、共に利用できる範囲が広く汎用性が高い上に、マルチポイント化に対してもポジティブな両社の営業努力によって加盟店は加速度的に拡大しているからです。

ヤフーもTポイント依存のリスクを回避する動き

Tポイント苦戦という状況は、Tポイントと提携し、独自のキャッシュレスサービス「PayPay」を展開するヤフーの動向にも色濃く現れていると言えます。

ヤフーは、これまでキャンペーンなどで付与していた期間限定のTポイントを、「PayPayボーナス」あるいは「PayPayボーナスミニ」の付与という形に変更したのです。これには、Tポイントへの依存を弱め、今破竹の勢いで伸びているPayPayを戦略の中心に据えるという意図があると考えられます。

そもそも共通ポイントを導入するメリット・デメリットとは?

上記項目でも見てきたように、今後顧客から選ばれる企業となるためには、これまで閉じられた関係で展開してきた共通ポイントの縛りを解放し、消費者にとってより使いやすい状況を整えることが必須であると言えます。

マルチポイント以前に、そもそも小売店や飲食店が共通ポイントを導入するメリットはどこにあるか、ここで改めておさらいしておきたいと思います。

自社で買ってもらう理由付け

最もシンプルなメリットは、自社の店舗、あるいはECを利用してもらうキッカケとして機能するという部分です。他所で貯めた共通ポイントが利用できる(=割引で購入できる)のは、クロージングの際に最後の一押しとなり得ます。

客単価の向上

共通ポイントの還元率いかんでは、自社のチャネルでの大量購入を促進にも繋がります。どうせ同じ商品を購入するのであれば、還元率が高い共通ポイントを獲得できるチャネルを利用しようというのが消費者心理というものだからです。

発行元との協力関係で効果的なキャンペーンが可能

共通ポイントの発行元は、そのほとんどが強大なプラットフォーマーです。それらの企業が展開する大規模なキャンペーンは認知率も高くなる傾向があり、そこに乗っかってプロモーション施策などを構築することで顧客の購買を効果的に促進することも可能になるでしょう。

このようなメリットがある反面、共通ポイント導入には、手数料や発行元からのデータ提供料などのコスト面や、共通ポイントが持つ“マス向け”なイメージによって、独自のブランドイメージが崩れるなどのデメリットも、当然ながらあります。そしてそのデメリット面は、マルチポイント化することでより大きくなるでしょう。

そのため、共通ポイントやマルチポイント化にあたっては、自社のブランドイメージや事業規模とのバランスを慎重に考慮する必要があると言えます。

さいごに

マルチポイント化は現状における最適解かもしれませんが、究極的には、全てのポイントが共通して貯まる、使える状態が、消費者にとってはベストな状態であるはずです(そしてそれは、決済手段においても同様です)。
2019年11月末時点で400万ダウンロードを達成したファミペイアプリは、「決済」と「ポイント」が同じアプリ上で完結することでも消費者にとって利便性の高いアプリといえます。

共通ポイントおよび決済業界の戦国時代はいつまで続き、どのように天下が統一されていくのでしょうか。2020年からは、ますます目が離せない状況となりそうです。

参考:https://www.family.co.jp/company/news_releases/2019/20191209_01.html

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