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地方創生、観光客誘致。国内外にアピールするアンテナショップの今

東京都内では銀座や日本橋のような商業エリアでは、もはやお馴染みともいえるアンテナショップですが、最近では地方都市にも他の地方からアンテナショップを誘致しにくることも増えてきており、各地で様々なアンテナショップを見かけるようになってきました。

アンテナショップが増えているということは、順調に効果を上げているのかと思えば必ずしもそういうわけでもなく、特に一等地に店を構えているものは大きな赤字を出しながらも、認知度の向上も今ひとつであるという実情もあります。

アンテナショップは効果が出るかどうか分からないのに、どうして出店が相次いでいるのか、そして地方創生につながるアンテナショップのあり方はどのようなものかを、以下のポイントで考えてみます。

  • 増加の一途を辿るアンテナショップ
  • 必ずしも期待する効果をあげているとは限らない
  • アンテナショップの役割をとらえなおすべき時期にきている

アンテナショップを取り巻くデータ

アンテナショップの定義としては、地方自治体が主体となって設置した施設であり、常設であることが挙げられます。運営そのものは民間団体やNPOが行なっていることが多いようです。

年々増え続けるアンテナショップ

こちらの資料によると、ここ10年のうちにアンテナショップの数は全国で二倍近い数にまで増え続け、国内外から人が集まる都内では銀座・有楽町を中心に計50を超えるアンテナショップが設置されています。

過半数の店舗において年間1億円以上の売り上げを出し、北海道のアンテナショップに至っては年間10億円もの売り上げを出しているなど、一見するとアンテナショップは効果的な数字を出しているようにも見ることができます。

出典:平成28年度自治体アンテナショップ実態調査報告(一般財団法人 地域活性化センター)
https://www.jcrd.jp/ 

アンテナショップの主な目的は知名度の向上

前項の資料によると、アンテナショップを各地方自治体が展開する理由として一番多いのが、特産品や各自治体のPR、観光案内、地域情報発信のような知名度の向上です。
こういった目的に沿った効果も実感できているようで、8割超のショップが前向きな回答をしていることがアンケート結果から見ることができます。
アンテナショップで販売したことがきっかけとなり、百貨店などほかの小売店で取り扱いが始まった商品も多くあるといいます。

具体的な取り組みとしても集客に意欲的なアンテナショップが多く、SNSやHPを活用したインターネットでの宣伝や、外国人向けのパンフレット設置や語学力のあるスタッフの設置、免税対応など、自治体をグローバル展開していきたいという思いが伝わります。
各店舗にwifi設備も充実させるなど、物理的な集客に効果的と思われる施策にも積極的です。

また観光だけでなく地方移住に向けた動きもあり、移住相談コーナーや移住者に向けたパンフレットの設置など、定住者の確保もアンテナショップを通じて行われていることがわかります。
地方への引越しを考えている人だけでなく、企業に対しても積極的なアプローチを心がけています。

アンテナショップの抱える問題

このように、一見すると精力的な自治体の活動ときちんと成果を上げているかのようなデータを見ると、アンテナショップが効果的な地方創生の手段であるように思えてきますが、ほとんどのアンテナショップが多くの課題を抱えている店舗であることも見逃してはなりません。

コストパフォーマンスをあまり考えないアンテナショップ

一つ目に、アンテナショップはどれだけの売り上げを上げてもほとんど利益は生まれておらず、大半のアンテナショップは赤字経営で賄われている点です。

赤字になる主な原因は立地です。集客を見込んで一等地にアンテナショップを誘致してしまうと、銀座や有楽町の一等地だと月額で200~300万円もの金額が家賃としてかかるため、これだけでも相当なコストになっています。ここに人件費等のコストを入れると、年間1億円程度の売り上げでは雀の涙ほどしかまかないきれず、足りないぶんは税金から補填されているというのが現状なのです。

知名度の向上が大事であることはわかりますが、わざわざ一等地に設置して元がとれるほどのブランド力があるのであれば、それこそアンテナショップを家賃の高い場所に立てなくとも十分に知名度はあると言えますし、それ以上をわざわざアンテナショップで望む必要もないはずです。

つまり、特産品や地域の知名度を上げたいがために一等地にアンテナショップを置いてしまうのは、根本的に矛盾をはらんでいることに自治体や運営する団体・企業が気付くべきなのです。

都会に店を構えてお客さんに足を運んでもらうと、ついつい効果が出ているような実感を得てしまいがちですが、その方法の費用対効果は必ずしも優れているとは限らないのです。

本当に地方の人は国内外からの来訪者を望んでいるのか

もう一つ大きな課題として、各自治体がアンテナショップを出店するだけで地方創生に携わっている感覚になってしまっている点です。

とりあえず都心に大きな店を構えてみたり、とりあえず特産品を置いてみたり、とりあえず外国人向けの案内を置いてみたりなど、「とりあえず」のアクションでは集客は見込めないでしょう。
実際にどれほどの結果を見込んで行動しているのか、アクションを改善してより良くしていく気はあるのか等、明確なビジョンはあるのか不明なショップ運営では、外国人観光客や国内観光需要に対して積極的とはいえません。

実際問題として、地方が思ったほど活性化しない、外部からの人間が集まらない原因として、地元民の閉鎖的な態度が大きいという話は広まりつつあります。地方創生を意気込んで足を運んでみたものの、まるで地元民には歓迎されなかったという体験談は、地方創生に興味を持つ人が増えたぶん、よく聞く話になってきました。

地方の知名度を上げたい、国内外からの注目を集めたいと考えるならば、アンテナショップにお金をかける前に、まずは自治体や地方創生を任された企業が、地元民と一致団結して地方を活気づけるムードを作る必要があるでしょう。

アンテナショップは地方活性化の一翼を担うか

それではアンテナショップは全く必要ないのかと言えばそういうわけではなく、本気で地方の活性化につなげるならば、今までアンテナショップにつぎ込んでいたコストを見直し、地域内外で同時並行的に資金を投入する必要があるということです。

個性豊かな「道の駅」などの観光物産品を扱う店舗との連携や、海外への情報発信など、アンテナショップが行える施策はまだまだあると考えられます。

アンテナショップはまさに文字通り、都会と地域を結びつける中継局としての役割にフォーカスを置くべきでしょう。特産品や観光案内ばかりではなく、もっと企業の誘致や移住の相談など、本格的な地域交流の場として機能させ、そのためには何も銀座の一等地に店舗を構える必要はないのです。

今や口コミとインターネットの時代ですから、何も店舗をそんな高級な場所に構えなくとも、広告の打ち方次第である程度の集客は見込めるはずです。ショップの場所は一等地にこだわらず、もう少しリーズナブルに移すだけでも、大幅なコストカットに繋がるはずです。

アンテナショップは確かにコストパフォーマンスの低い施策であるかもしれませんが、実際に店舗を構えているインパクトは大きいものがあります。うまく実店舗であるキャラクターを活かすことができれば、今よりもはるかに効果の高いアンテナショップを設置することは十分に可能でしょう。

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