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毒にも薬にもなるカニバリゼーション

国内の人口減少により経済規模は縮小しています。限られたパイを企業同士が取り合う中で、競争に負けた企業は倒産の道を辿ります。企業の競い合いは自由市場では当然起こりますが、その中には自社の商品同士で競い合う場合があります。

  • カニバリゼーションは共食いを意味する
  • ターゲティング、差別化、部署間の問題がカニバリゼーションを引き起こす
  • 意図的にカニバリゼーションを起こすこともできる
  • 上手に使えばカニバリゼーションは武器になる

カニバリゼーションとは?

自社商品が自社商品の市場を食ってしまう現象をカニバリゼーションと呼びます。いわゆる共食いです。
これだけ聞くとカニバリゼーションはネガティブな印象しか残りませんが、活用次第ではポジティブな側面もあります。

べーシックなカニバリゼーション

自社の既存商品がシェアを取っている市場に自社の新商品が参入することで自社の既存商品シェアを奪ってしまう、新たな販売チャネルが既存の販売チャネルのシェアを奪ってしまうことなどが該当します。カニバリゼーションは既存の資産を食ってしまうのです。
ここからはカニバリゼーションを分かりやすくするために例を挙げて紹介していきます。まずは基本的なカニバリゼーションです。

ベーシックなカニバリゼーションの例

ここに大手菓子メーカーA社があります。このA社の主力はポテトチップス醤油味60g(120円)で、ポテトチップス市場の40%を占めています。顧客層は20代男性です。
A社は市場シェア拡大のためターゲットをヘルシー志向の20代女性に設定して、オリーブオイルで揚げたヘルシーポテトチップス醤油味40g(100円)を新発売しました。容量を減らした分、価格も低くしました。
しかし、いざ販売してみると、ポテトチップス醤油味60gを普段購入しているお客様の切り替え購入は多数ありましたが、ヘルシー志向の20代女性からの購入はほぼありませんでした。
結果としては、安価な新商品が既存シェアを食ってしまうことで市場シェアが35%に低下してしまいました。

まさにカニバリゼーションです。なぜこのような事象は起こるのでしょうか。その主な原因を挙げてみたいと思います。

●ターゲティング間違い

ペルソナが雑になっているので、ターゲットがあいまいになってしまっていますし、そもそもヘルシー志向の20代女性がポテトチップスを食べるのかも疑問です。
適切なターゲティングを行わないとカニバリゼーションが発生しやすくなります。特に特定カテゴリー(自動車メーカー、携帯メーカーなど)で事業を行う企業は商品ごとのターゲットが被りやすくなります。

●差別化があいまい

商品の差別化があいまいだとカニバリゼーションを引き起こします。仮にターゲットが既存商品と重複するものだったとしても、商品価値が違うならば消費者はそれぞれ購入してくれるかもしれません。iPodとiPod shuffleが良い例です。
しかし、差別化があいまいで、かつ新商品の方が優れていたら、もはやカニバリゼーションの発生は必然でしょう。

●企業内の意思疎通のなさ

市場を自社商品で奪い合える企業は相当な大企業です。従業員は数百~多くて数万人を抱え、部署は多数あります。商品企画の部署も一課、二課などと分かれていて、それぞれで新商品の開発を行っていたりします。
このような状態の企業では、部署間で情報共有ができていないと、誤って同じような商品を開発してしまうことがあります。嘘のような話に聞こえるかもしれませんが、大企業であればあり得る話です。
A社の例でも企業内で意思疎通ができていなかったのかもしれません。もし事前に共有していれば誰かが指摘したかもしれない例です。

このようにカニバリゼーションは商品発売後に突然発生するのではなく、実は商品企画の段階ですでに発生し始めています。

市場シェア維持のカニバリゼーション

ネガティブなカニバリゼーションがある中でポジティブなカニバリゼーションもあります。カニバリゼーションを戦略的に使えば、自社の市場シェアを維持することが可能です。

市場シェア維持のカニバリゼーションの例

大手お菓子メーカーA社は、ポテトチップス醤油味60gがポテトチップ市場の40%を占めています。しかしこの商品だけでは徐々に消費者が味に飽きてしまい、いずれシェアを大きく減らす可能性があります。現にSNSでは、ポテトチップス醤油味60gに対する飽きの声が聞こえ始めました。

そのため、A社は40%の市場シェアを維持するために、ポテトチップスコンソメ味60g、ポテトチップスマヨネーズ味60g、ポテトチップス明太子味60gを次々に発売しました。製法は同じで味付けだけ変えた商品です。
すると消費者は醤油味だけでなく、新商品を試しに購入し始めました。だからと言って新商品だけに留まるのではなく、味に飽きればまたポテトチップス醤油味60gに戻ってきます。そして次第にこの4商品を回して購入するようになりました。ポテトチップス醤油味60g のシェアは低下しましたが、A社全体のシェアは40%を維持しています。

このように市場シェア低下を防ぐために、戦略的にカニバリゼーションを起こさせることで、自社の売り上げを維持し、他メーカーが市場参入する隙を与えません。
ポテトチップス=ポテトチップス醤油味60gからポテトチップス=A社にすることで自社のシェアを維持する戦略を取っています。積極的な防衛策になります。

攻撃的なカニバリゼーション

少し変わった視点のカニバリゼーションとして、攻撃的なカニバリゼーションがあります。今まで紹介してきたカニバリゼーションは、自社商品同士によるものですが、自社商品の市場投入で他社にカニバリゼーションを起こさせるというものです。

攻撃的なカニバリゼーションの例

B社はチョコ菓子市場でトップシェアを誇りますが、最近アイスクリームメーカーC社がチョコ菓子市場に参入しようとしています。
C社はアイスクリーム市場でシェア1位を誇る大企業なので、B社としてはC社参入を防ぎたいところです。そのため、あえてB社からC社商品と競合するアイスクリームを発売することで、C社は対抗措置として新しいアイスクリーム開発をせねばならなくなります。
既存アイスクリームと新規アイスクリームでカニバリゼーションを起こさせることでC社に混乱が起きるよう画策するのです。

キーワードカニバリゼーションの問題

このように、物販におけるカニバリゼーションが事例として多数挙がっておりますが、最近はウェブマーケティングの世界でもカニバリゼーションは注目されていて、とりわけSEO対策でカニバリゼーションが発生しやすくなっています。
それがキーワードカニバリゼーションです。SEO対策の基本は適したキーワードを盛り込んでウェブページを書くことですが、グーグル検索エンジンはページごとに順位ランク付けをします。

そのため複数のページに共通したキーワードを使ってしまうと、ページ同士が競い合う形になってしまい、ページランクにとってもマイナスです。一つのキーワードに関する記事は1つのページにおさまるよう文章を書いた方が良いでしょう。

上手に使えばカニバリゼーションは武器になる

企業経営の側面から見ると、カニバリゼーションは一概にネガティブ要素だけではありません。自らのシェアを維持・拡大するためにカニバリゼーションを活用できますし、他社にカニバリゼーションを起こさせるよう画策は他社に混乱をもたらせ、自社の売り上げを防衛します。

戦略的にカニバリゼーションを活用できるようになれば、それは大きな武器になります。

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