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ナショナルチェーンとリージョナルチェーン:『全国チェーン』が『地域密着型』を欲しがる?それぞれの成長戦略

  • ナショナルチェーンとリージョナルチェーンを理解するためには、商圏や商勢圏といったキーワードを理解する必要がある
  • 大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」は生鮮食品を導入するなど「地域密着型」へ
  • 消費者のための「地域密着型」とは:イオンに見る認識のズレ

キーワードについて知っておこう

ナショナルチェーンとは

ナショナルチェーンは全国展開型の店舗>(飲食・小売業)のことで、全国チェーンともいいます。全国規模で戦略的な店舗開発をおこない、複数の地域へ出店することで、物流や管理を効率化。効率化によってコストを削減し、それぞれの地域で優位に立つ、ひいては全国的に優位な位置を獲得することを目標としています。

リージョナルチェーンとは

リージョナルチェーンは、ある特定地域のみに出店を絞ることで、その地域のニーズに合わせた商品やサービスが提供可能にしている店舗のこと。地域密着型の飲食・小売業の店舗をさします。

商圏と商勢圏について

ナショナルチェーン、リージョナルチェーンを理解するためには、「商圏」と「商勢圏」についても知っておくと便利です。

「商圏」とは

まず「商圏」は、1店舗の影響が及ぶ範囲のことです。これは店舗の規模には左右されません。街に一軒しかない飲食店であれば、小さな店舗であっても商圏は広くなる可能性があります。

商勢圏とは

「商勢圏」は、複数店舗の「商圏」をまとめた範囲ととらえると分かりやすいでしょう。特定の地域に集中して同系列の店舗を出店させ、影響を及ぼす範囲を広大にしたもの、つまりそれぞれの「商圏」を合わせたものが商勢圏です。

チェーン網を大きくするためには

当然のことながら、ナショナルチェーンは最初から全国規模で展開したわけではありません。商勢圏を拡大させながらそれぞれの店舗を連携させる販売網を確立し、大規模な店舗経営に発展させていったものです。
リージョナルチェーンの場合、商勢圏を獲得することはもちろんですが、その範囲には特徴があります。例外はありますが、一般的には隣接した商勢圏を確立するよりも、離れた地域同士で商勢圏を獲得した方が経営に対して有利にはたらくと考えられています。

ナショナルチェーンとリージョナルチェーンの取り組み

残る書店はチェーンのみ?

書店の敵はAmazonや図書館と思われがちですが、書店の経営自体にも変化がみられます。
個人経営の書店が減少し、これまで書籍の流通をつかさどってきた取次が、書店を子会社化、系列化する動きが高まっているとされますが、それでも強い販売網をもつナショナルチェーンとリージョナルチェーンは生き残るのではないかと関係者は予測しています。

参考:出版労連「【講演録】アマゾンと日本の出版流通(P6)」
http://syuppan.net/?p=1227&page=6

では、実際のナショナルチェーンはどのように強い販売網を得ているのでしょうか。2つの事例を見てみましょう。

事例1:買収によって商勢圏拡大をはかる米国スーパーマーケット

ほかのリージョナルチェーンを買収することで、広大な商勢圏を獲得することもできます。
その例として挙げられるのが米国最大手といえるスーパーマーケットチェーン「クローガー」。「クローガー」は、自社ブランドが出店していないエリアにおいては、その地域のリージョナルチェーン及びローカル店を買収した方がコストが安い傾向にあることを利用して成長しました。

参考:アメリカ部「全米最大のスーパーのクローガー(KR)の暴落『買収による成長戦略』」
https://www.americabu.com/kroger

リージョナルチェーンは、地域に密着したマーケティングにより、地元に暮らすカスタマーと親密なのがメリットです。そのため、「クローガー」は買収した店舗のロゴや看板といった目印をそのままにマルチブランド化する戦略をとりました。つまりリージョナルチェーンのメリットを保持したまま、自社「クローガー」の優位性を獲得したことになります。

事例2:ドン・キホーテのハイブリット型マーケティング

国内の事例としては、総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が挙げられます。
「ドン・キホーテ」はいわずとしれたナショナルチェーンですが、アクセスのよさと地域に密着したサービスを両立可能な店舗「地域密着型アミューズメント店舗『世田谷若林店』」をオープンさせました。「ドン・キホーテ世田谷若林店」では、大田市場から仕入れた生鮮食品を販売して、地域密着の集客を見込みます。

BtoBプラットフォーム業界チャネル「『ドン・キホーテ世田谷若林店』オープン!~生鮮食品を導入した「地域密着型アミューズメント店舗」~」
https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page?0&IMNEWS1=746398

生鮮食品と並行して、他店舗と同じように日用品や生活雑貨、化粧品といった商品も販売。環状7号線と世田谷通りに接する立地で、広域からも人を呼び込む戦略です。
「アミューズメント店舗」のネーミングに違わず、店内の内装にも特徴があります。都内でも比較的のどかで緑が多い「若林」のイメージを重視し、グリーンを配置したり噴水を設置した空間作りを披露。またベビーカーやカート、車椅子でも店内を回りやすいレイアウトを念頭に置き、幅広い世代から親しまれる店舗を完成させました。

「チェーン」という構造の今後は

これらの事例をみると、「クローガー」や「ドン・キホーテ世田谷若林店」のように、ナショナルチェーンとして全国規模の経営をしている企業であっても、リージョナルチェーン最大の強みである地元に合わせたこまかなマーケティングは魅力であることが分かります。
ナショナルチェーンの特徴は、「どの地域でも同じものが買える」ということです。これは、ネット通販が台頭する以前であれば、店舗数がすくない地方であればあるほど、その地域のシェアを獲得するにあたり有利にはたらく要素でした。しかし書店の情勢に代表されるように、ネット通販が当たり前になったことで「どの地域でも同じものが買える」ことはもはや魅力とはなり得ない時代に差し掛かっています。

ナショナルチェーンの地域密着型傾向は、こうした時代の動きとも深く関わっているのではないでしょうか。
一方、ナショナルチェーンのこうした動きについて、「本当に地域のためになるのか」と疑問視する声もあります。

参考:新Sあらたにす 朝日・日経・読売3社共同プロジェクト「学生は言いたい!『イオンは「地域密着型」になるのか』」
http://allatanys.jp/blogs/1759/

イオンは一貫して「お客様本位」を打ち出していますが、イオンスーパーが建つと、日本全国どこでも同じ景色になってしまうというのは巷でよく聞かれる話。本社主体だった従来の構造から大きく改革し、店舗に機能を移管させるとありますが、それが消費者の利益に合致する構造におさまるかどうかは、今後の動き次第といえそうです。

AEON NEWS RELEASE「お客様本位の商品分類とさらなる地域密着経営を推進」
https://www.aeonretail.jp/pdf/170223R_1-2.pdf

まとめ

ナショナルチェーンとリージョナルチェーンにおける個々の強みは、今後の経済や消費者の嗜好によって、今後、メリットにもデメリットにも変わっていく可能性をはらんでいます。
チェーンだからこそ保持できる広域の販売網をどのように活用するかによって、今後の浮沈が大きく変わるといえそうです。

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