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飲食店のサブスク(サブスクリプション)は未来を拓くか

サブスクは、サブスクリプションの略称で2019年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートもされている、注目ワードです。
サブスクリプションは、利用期間に対して料金を支払うビジネスモデルで、定額課金サービスを意味します。これまでは音楽聴き放題、動画見放題など、インターネットサービスのビジネスモデルというイメージがありました。

しかし、サブスクは飲食店にとってもさまざまなメリットがあるため、導入する店舗が出始めています。
今回は、サブスクのメリットについて、またサブスクのサービスを提供している飲食店(企業)の事例など、詳しくご紹介していきます。

目次:

サブスク(月額制・定額制)の仕組み

代表的なサブスクといえば、音楽が定額で聴き放題のApple Musicや、定額制の動画配信サービスHuluなどではないでしょうか。いずれも月額(あるいは年間)の利用料を支払って、その期間、好きなだけ音楽や動画を楽しめるサービスです。
サブスクの特徴として、「継続的に」顧客に対してサービスや製品を提供してニーズを満たすというものがあります。
食品宅配を手がけるオイシックスは、2019年6月から新たに月額1,280円で特定商品3点を無料、かつ野菜と果物を20%引きで購入できる「プライムパス」をリリースしました。単発の注文ではなく、継続的に消費者が欲しい商品を手にできるというのが、サブスクのかたちです。
このような収益モデルは、収益が継続的に入ってくるストック型というビジネスのひとつです。

こうした月額制、あるいは定額制の料金体系は、近年インターネットサービスで人気を集めており、その流行が飲食店にも徐々に普及し始めています。
まずは実際にどのようなサービスが提供されているのか、事例を見てみましょう。
その上で、サブスクのメリットとデメリットを総合的に振り返り、今後どのような展開をみせるのか、考えてみたいと思います。

提供されている飲食サブスク事例

USAGIYA:お茶のボトリングサービス

専用ボトルとパスポートを使って「パブリックな茶の間」づくりをコンセプトとしたサービスを提供しているのが、日本茶のティースタンドUSAGIYAです。
30日有効のパスポート(1,000円)と専用のクリアボトル(1,300円)を購入することで、日本茶を毎日無料で入手することができます。
USAGIYAはこのボトリングサービスを、新たなコミュニティの創生の場と位置づけています。ボトリングしに立ち寄る消費者と従業員が集う場から、新しいカルチャーを作り出せるというのが、USAGIYAの理念。ほかのメニューの併せ買いではなく、新しい価値の創出を実現しようとしているサブスクモデルです。

http://www.usagiya-tea.jp/bottling/

always LUNCH:定額制ランチ提供サービス

オールウェイズランチは、月額料金を支払うと定額で加盟店のランチが毎日食べられるシステム。手がけているのは大分市のITベンチャー「イジゲン」です。
10月から福岡市と京都市でサービスをスタートさせ、12月2日からは東京・渋谷でも利用ができるようになりました。全国の提携している店舗で利用可能で、旅行やビジネスで他の都市でもサブスクリプションサービスでランチを食べることができます。

加盟店は現在およそ30店舗で、ユーザーは、専用Webページにあるパス(定期券)を提示して1日1回ランチを自由に食べることができます。
こうした定額制ランチは、提供する加盟店にとっては、店舗のPRや安定的な集客につながるシステムであり、ユーザーにとっては少しでも節約したい日々のランチをお得に食べられるシステム。そのため、加入者は想定より早いペースで増加中とのことです。

オールウェイズランチの定額利用料は月額5,980円(※2019年12月現在)ですが、今後価格の変動がおこなわれる可能性があると発表されています。
店舗側のメリットとして、ピークを避けた時間での提供や、対象メニューを絞ることで無駄のない店舗運営を行うことができます。

https://always.fan/lp/lunch/

favy:100店舗以上で使える飲み放題定期券

株式会社favyは、食マーケティングの総合企業です。favyが提供を開始したのは定額制で飲み放題になる「飲みホー定期券」というサービス。
株式会社レインズインターナショナル CWカンパニーが展開している

  • 北海道
  • 甘太郎
  • にじゅうまる
  • 三間堂
  • いろはにほへと
  • 一瑳

6業態138店舗を横断的に利用できるサブスクです。
販売開始は2019年9月24日で、増税によって外食が10%になっても居酒屋をお得に楽しもうというプロモーションになっています。

飲みホー定期券
  • 月額4,000円で1ヶ月飲み放題
  • 同伴者には1,000円で同様の飲み放題を提供

1回の来店につき、300円以上の料理を2品以上注文する必要があったり、別途お通し代があったりしますが、外飲みが習慣化しているという消費者にとってはお得なプランといえます。
一方で、店舗にとっても定期券があることによってリピーターが増加し、料理の注文によって売上が上がるため、来店者数と売上のアップが見込めるサービスといえます。

favyはほかにも「串カツ田中」にサブスクツールを導入して、「田中で飲みPass」サービスキャンペーンを展開しています。「串カツ田中」の店舗では月額500円の会員券で、ドリンクが何杯でも199円で購入できるシステムになっています。

コーヒーマフィア:毎日1杯無料

favyが運営しているコーヒースタンド、コーヒーマフィアでは、「定額会員コース」という名称でサブスクを実施しています。
会員コースは2つの定額料金から好きな方を選べるようになっていて、サービスの内容がそれぞれ異なります。

3,000円会員
  • 通常300円のラージサイズコーヒーが1来店につき1杯無料
  • 対象ドリンクを240円引き
6,500円会員

・すべてのドリンクメニューが1来店につき1杯無料

コーヒーを1杯提供することによって来店頻度をアップさせ、パンや軽食メニューをついでに購入するよう促すサブスクです。
外で朝食を食べる人やコーヒーブレイクが日常のルーティンに組み込まれている人にとっては、使いやすいサービスをいえるのではないでしょうか。

http://coffeemafia.jp/

nomocca:最大5人まで使えるサブスク

「nomocca」は、コミュニケーションを創出するためのツールとして開発されたアプリです。月額980円で、毎日1杯の無料ドリンクを飲むことができます。
グルメレビューサイトでも、最初のドリンク1杯無料クーポンをつけている店舗は少なくありませんが、サイトからの予約が使用条件であったり利用期限があったりと、思い立った時にスマートに使うのが難しいという点がネックになっています。
「nomocca」のアプリを使うことで、加盟店どこでも毎日1杯の無料ドリンク提供を受けることができます。このアプリの特徴は、1枚のチケット(アプリ)で、最大5人まで利用できることでしょう。この点は、コミュニケーションの創出を念頭においたアプリ開発ならではといえそうです。

https://nomocca.net/

welnomi:毎日1杯無料

「welnomi」も、月額料金を支払うことで、毎日1杯が無料で飲めるアプリサービスです。
月額500円で、登録している1店舗につき1日1杯のドリンク提供が受けられます。なお、アプリには多くの店舗が登録されていて、異なる店舗をはしごして複数のドリンクを飲むことも可能です。
なお、アプリは2019年11月25日現在iOSのみの対応で、Androidアプリは開発中となっています。

・welnomi
https://welnomi.jp/

飲食店におけるサブスクのメリット

実際のサブスクサービスを並べてみると、一見消費者にとってお得なサービスで、店舗は損をするように感じられるかもしれません。
しかし、サブスクのビジネスモデルを導入することによって、売上UPと顧客データの取得、活用といったメリットを得ることができます。

飲食店サブスクのメリット:リピーターを獲得できる

サブスクは、定額という料金体系のため基本的に「来店すればするほど消費者がお得に飲食できる」仕組みになっています。
この仕組みによって、今まで週に1回しか利用しなかった顧客がサブスクサービスに加入することで、週2~3回の頻度で利用するようになる可能性があります。

また、A、B、Cと複数のコーヒーショップを何となくローテーションで利用していた消費者が、ドリンクをお得に飲めるサブスクを実施している店舗のみを利用するようになる、というケースも想定されます。つまり、3分の1の頻度で来店していた顧客を丸ごと取り込めることが可能になるというわけです。

飲食店サブスクのメリット:顧客データを取得できる

飲食店は、会員カードや専用アプリを作らないと顧客データを取得しづらいという特性があります。
長年通ってくれるお客さんでも、どこに住んでいるかはおろか、本名すら知らない。居酒屋や隠れ家的なお店ではそういったことは珍しくありません。

サブスクは、こうした飲食店の「ファン」ともいえる顧客のデータを取得し、営業や運営に活かせるというメリットがあります。
例えば、顧客のSNSのアカウントに紐づけるだけでも、店舗側は顧客について多くの情報を得ることができるでしょう。

飲食店サブスクのメリット:過剰な営業活動を低減して安定した収益に

サブスクは、いわば「前払い方式」です。ユーザーは、一定期間分の料金を先に支払うことによってサービスを受けることができるからです。これはつまり、過剰な営業活動を展開しなくても安定した収益を上げられることを意味します。
季節ごとのキャンペーンを実施したり、月ごとのクーポン付与をおこなわなくても安定した売上を確保できることは飲食店にとって大きなメリットになるのではないでしょうか。

飲食店におけるサブスクのデメリット

どんなサービスにもデメリットはあります。サブスクは可能性が広がる反面、しっかりとプランニングをしておかないと店舗が損益をかぶってしまうリスクがあるため、導入段階で充分な検討が必要になります。

飲み放題、食べ放題プランを設定する時と同様、店舗が赤字にならないような料金設定とルールづけは必須となります。
例えば、30日間のサブスクを提示する場合、「利用者の何%がフルに30日利用したら赤字になってしまうか」というデッドラインを知っておく必要があります。サブスクの加入者が増えたりユーザーの利用頻度が増えたりしたら、料金を上げる、サービス内容を一部変更するなどしておけば、人気になればなるほど赤字がふくらむという事態は避けられるでしょう。

もうひとつのデメリットは、プラン悪用のリスクやトラブル、クレームが発生する恐れがあることです。
サブスクは、ひとつのプランを不特定多数の顧客に使われると本末転倒です。サブスクプランに加入しているユーザー本人だけが利用できるように、

  • 会員カードの譲渡、貸与の禁止(利用は本人に限る)
  • アプリのスクショ提示は不可

など、適切な使用を促すルールづくりをし、会員向けに周知していかなければなりません。
不正利用であらぬトラブルが発生したり、見当違いのクレームを受けたりしないよう、最初にユーザーの活用シーンを想定しておくとよいでしょう。

また、サブスクの導入から収益を上げるまでには時間がかかるのが普通で、爆発的に売上が増えるわけではありません。長期的な視野をもって取り組む必要があります。

サブスク導入で飲食店もリターゲティングを

リターゲティング広告は、デジタルマーケティングで使われている広告手法です。消費者の購入履歴にマッチした広告を表示するテクノロジーで、商品情報を、その商品を必要としている人、欲しいと思っている人にダイレクトアタックできることが強みです。
これは、購入履歴を一覧で取得できるEC業界だけに可能な手法のように感じられますが、飲食店もサブスクを導入することによってリターゲティング的な手法のレコメンドが実現できるでしょう。
たとえば、サブスクのサービスでよく注文するドリンクのデータを取得して、傾向や嗜好によって好みのドリンクをオススメしたり、来店パターンを活かしたDMやお知らせを配信したりするといったことです。

まとめ

サブスクは、ワードが2019年の流行語大賞にノミネートされるなど注目が集まっているビジネスモデルです。
新しい購買のあり方ととらえられがちですが、飲食店は従来飲み放題や食べ放題プランを実施してきました。その点からみれば、サブスクの「定額で利用し放題」というアプローチと飲食店は親和性があると考えられます。
流行語大賞を獲得すれば、まだサブスクモデルの認知度が上がり、新たなサービスが登場してくるかもしれませんね。

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