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変わっていく免税制度:小売店や免税店が今後取るべきアクションとは

  • 政府は、地方における免税店増加を推奨している
  • 免税の税制改革では、一般物品と消耗品の区別がなくなり、提出書類の記入が楽になるのが大きなポイント
  • モノ消費よりもコト消費の傾向を把握したマーケティング戦略が必要

免税店増加と免税システムの改正

免税店で買い物をした際に免除される税は、消費税です。国内で消費をせず自身が居住している国へ持ち帰る、つまり「国外へ帰るチケット」を所持している人のみが利用できるのはそのため。国内で消費をしないなら、消費にかかる税金は徴収しないというわけです。

免税店は年々増加傾向に

日本に居住している日本人にはメリットがあまりなさそうな免税店ですが、実は数年前から増加傾向にあります。
2017年10月の国内免税店数は、全国でおよそ4万2千店舗と観光庁は発表しました。

出典:国土交通省観光庁「都道府県別消費税免税店数(2017年10月1現在)について」
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news01_000265.html

首都圏、中京圏、近畿圏、いわゆる三大都市圏に約2万6千店、三大都市圏以外で約1万6千店と地域差がありますが、興味深いのは増加率。三大都市圏の増加率は10.6%、それ以外の増加率は10.9%とほぼ同等で、パーセンテージだけを見るならば、地方の方がわずかに上回っているという状況です。
観光庁は、2017年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」のなかで、2018年までに地方の免税店を2万店規模にまで増加させることを目標として掲げています。
2012年の調査以降、免税店は一貫して増加傾向にあることと、政府が掲げた目標を鑑みると、免税店の増加傾向は今後も続くとおもわれます。

2018年に免税システムは簡素化される

目標達成のため、政府は2018年の税制改革に免税制度の簡素化を盛り込みました。
これまで、免税を受けるためには一般物品のみ、もしくは消耗品のみで5,000円以上の買い物をする必要がありました。今回の税制改革により見直され、これらの物品の合算が可能となります。

また、申請についての手続きも簡単になります。従来の免税申請は、バッグや家電品といったかたちの残る一般物品と、食品や飲料といった消耗品を別々に申請する必要があります。この煩雑さゆえ、日本の免税システムは訪日外国人にとって不評でした。
しかし今後は、一般物品と消耗品を同梱の上、国内で開封できないように密封すれば、一枚の申請用紙で申請できるようになります。

税制改革による影響とは

ドラッグストアなどにメリット

この税制改革は、一般物品と消耗品を同時に買っていく訪日外国人を多く接客するドラッグストア業界からの声を反映させた形でもあります。

参考:国土交通省観光庁「訪日外国人消費動向調査『平成29年7月~9月期』報告書(P18)」
http://www.mlit.go.jp/common/001206329.pdf

ドラッグストアは、訪日外国人がお土産を購入する場所として非常にポピュラーな場所です。報告書によると、多くの訪日外国人が買い物をする場所として「コンビニエンスストア」、「ドラッグストア」、「空港の免税店」を挙げています。これらはいずれも一般物品と消耗品を同時に購入するケースが多い店舗であり、税制改革によってさらに消費を後押しできると考えるのも妥当といえるでしょう。

2020年へ向け、好景気の導き手となるか

免税店として訪日外国人に物品を販売する際は、店舗側にも必要な手順があります。
まず、購入者のパスポートを確認し、購入者記録票を作成します。さらに購入者宣誓書に購入者のサインをもらう必要がありますが、このサイン済み宣誓書は7年間保管しておかなければなりません。
とはいえ、国内の消費が冷え込むなかでインバウンド消費を獲得できるのは、店舗にとって大きな利点。税制改革により申請が簡素化されれば、さらにインバウンド消費の増加が期待できます。さらに、2020年のオリンピック時には多くの外国人が日本を訪れることが想定されるため、政府による何らかの後押しが継続しておこなわれることも充分考えられます。
こうした時流に乗るためには、免税店側も新たな対策をしていく必要があります。

■関連記事:免税POSレジで小売店のインバウンド対策~免税店になるには~

免税の税制改革に取るべきアクションとは

免税の税制改革が行われた際に、小売店、免税店はどのようなアクションを取ればよいでしょうか。

観光客に見つけてもらう

まず初めに取り組むべきアクションは「広告」です。税制改革により手続きが簡素化されると、それまであまり購買意欲のなかった訪日外国人客が買い物をするようになる可能性もあります。
また、今までは大手のドラッグストアや空港の免税店でしか買い物をしたことがなかったけれど、これを機会に免税の小売店でも買い物をしたい、と考える観光客も増える可能性があります。
そのため、日本を訪れる外国人の目に留まりやすい広告を考え、集客につなげていく必要があります。

ネット環境さえあれば世界中で閲覧できるウェブ媒体による広告や、英語、中国語、スペイン語といった多くの国や地域で話されている言葉による問い合わせ及び接客を掲げるなど、プロモーションの方法はいくつか考えられます。

消費の動向を掴む

現在、日本を訪れる外国人の消費傾向は「モノ消費」から「コト消費」に移行しつつあります。中国の爆買いのような傾向はほぼ横ばい、あるいは減少傾向。伝統的な日本家屋に宿泊する、日本酒の酒蔵や伝統工芸の製作工場を見学するなど、日本でしか体験できないことにお金を使う傾向が強まっているのです。
モノを売ってインバウンド消費を見込む免税店においても、この傾向をおさえておくのは決して無駄ではありません。日本独自の文化を付録的な要素として付け加えることで、店舗が広く周知され、この店で買い物をしたいと思わせることも可能です。
驚きと感動をあたえ、SNSで拡散したくなるような外観、ディスプレイといった要素もしかり。「お店で買い物をするという体験」が求められることを視野に入れたマーケティングが大切です。

国別の動向を見極める

「訪日外国人」とひとくくりにしても、国によって訪れる場所や消費傾向はさまざま。日本を訪れる外国人の多くはアジア圏からの旅行者ですが、日本を訪れる回数、目的、滞在期間などによって、それぞれの行動は十人十色です。インバウンド消費を「外国人」でひとまとめにするのではなく、国別の傾向を見極め、店舗に合ったマーケティング方法で効率良くそれぞれの国の旅行者にアプローチしていく必要があるでしょう。

まとめ

2018年から変更される免税制度。金額の引き下げと、品目の合算化によって少額の消費が増加する傾向が予測されます。
政府としては、オリンピックが開催される2020年までに免税店でのインバウンド消費を増加させ、景気にはずみをつけたいところ。特に三大首都圏以外の地域の免税店に関しては、出店数の目標を掲げていることもあり、今後も観光庁主導による免税店への後押しが続く可能性もあります。

免税店が増えれば、店舗間の競争も発生します。免税店が横並びで同じサービスを提供するだけではなく、他店との差別化をはかる必要も出てくるのではないでしょうか。販売の効率化をはかることで、回転率を上げる必要性も生じてくるかもしれません。
税制改革を追い風としつつも、小売店舗だからこそ可能な施策を戦略的に打ち出していくことが、今後の店舗発展の鍵といえます。

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