店舗運営のAtoZ全31回

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Lesson6 業務改善編

29スマートデバイス活用による業務改善未学習

ここで学ぶ概要

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皆さんは、「スマートデバイス」と聞いて、一体どんなものを想像されるでしょうか。

普段使っているものならば、スマートフォンやタブレットなどがその代表であり、基本的には液晶タッチパネルによって操作ができるデバイスを指して、スマートデバイスと呼んでいます。

そして、このスマートデバイスを活用することにより、業務改善を進めている店舗もたくさん存在し、見事に成功を収めている例も目立ってきました。

そこで、「業務改善編」第4回目となる今回は、スマートデバイスの具体的な活用例を紹介しながら、どのような過程で業務改善がなされていくのか、以下の項目に沿って解説してまいります。

  • スマートデバイス活用による業務改善
  1. 飲食店での活用
  2. 小売店での活用
  3. その他の店舗における活用
  • 未来型スマートデバイスとは
  • まとめ

スマートデバイス活用による業務改善例

スマートデバイスと一言で言っても、店舗の業種が異なればその活用方法も変化していきます。
そこで以下では店舗の業種を

  • 飲食店
  • 小売店
  • その他の店舗

の3つに分けて、それぞれにおける具体的な活用例と改善が期待できる業務について、お話を進めてさせていただきます。

1、飲食店での活用

あらゆる業種の中で、最も早くスマートデバイスを採用し、その普及が進んでいるのが飲食業界です。
最初に挙げられるのが、注文をタブレットのタッチパネル操作によって、メニューと数量を確定させる受注システムへの活用例です。
主に、チェーン展開しているファミリーレストランや居酒屋などで採用されていますが、この受注システムでは、

  • 受注作業の迅速化
    受注ミスによる食品ロスの減少

といった面で、業務改善を進めることができます。

また、回転すしチェーンなどでは、各テーブルにスマートデバイスを配置し、お客様自ら操作をして発注するシステムを、採用している店舗も多く見られます。

こちらの場合は、フロントスタッフの数を大きく減らすことも可能であり、人件費の大幅な節約という効果が望めます。

さらに、いずれのシステムでもPOSシステムと連動させることにより、

  • 販売時点データの入手と分析
  • レジ業務のスピードと効率アップ
  • 在庫管理業務の正確性向上

という、マーケティング活動だけでない、各種店舗業務の改善につながるメリットも発生してきます。

【ここがポイント!】
~お客様との接点減少に配慮する~
飲食店におけるスマートデバイスの活用では、携帯デバイスにしろ卓上デバイスにしろ、お客様とフロントスタッフとが、コミュニケーション不足に陥ってしまう可能性があります。

ですので、携帯デバイスでの受注時は、タッチパネル操作に集中しすぎるのではなく、お客様の動向をよく観察して、肥満や不具合がないか観察・対応をするとともに、受注内容の復唱によってお客様に注文が通ったことを、確実にお伝えするようにしましょう。

また、卓上スマートデバイスを用いた注文では、注文するメニューに合わせて「個数」も入力することになります。

ですが、回転すしのように「1皿2貫」といった具合に、誰しもが注文点数当たりの分量について把握できている場合は問題も少ないのですが、「1個単位」がどの程度の分量なのかわかりにくいメニューも存在します。

注文デバイス上に、分量が把握しやすい料理の画像を表示したり、目安となる数字を記載したメニュー表を添えてあげるなどの工夫をしておくといいでしょう。

また、お客様からのメニュー内容への問い合わせに対応できる、商品知識豊かなフロントスタッフを、店舗の規模に合わせて配置するようにしましょう。

2、小売店での活用

スーパーや、コンビニなどの小売店に「客」として訪れた際、スタッフがレジから離れて、何やら携帯デバイスを操作している姿を見かけたことがあるでしょう。

これこそまさに、小売店におけるスマートデバイスの活用です。こういった小売店では陳列している商品残数をタッチパネルで入力することでデータ化し、POSシステムと連動させ、在庫管理・発注業務の改善を進めているのです。

ただし、こういった専門スマートデバイスを用いた、在庫・受注システムの導入には、大きなコストがかかります。

ですが、手持ちのスマホやタブレットといった、ありふれたスマートデバイスとパソコンを活用することにより、規模が小さい店舗でもシステム化を進めることは可能です。

【ここがポイント!】
~おすすめ在庫管理アプリ~
今では、スマホやタブレットにダウンロードすることにより、店舗外にいても在庫管理業務が可能な、

  • スマート在庫管理 開発元:ZAICO.inc・・・利用料無料なうえ、パソコンでアカウント登録すれば商品ごとにQRコードを付与・管理できる機能もあるため、発送業務の円滑化にも利用できる。
  • 在庫管理Pro 開発元:atStage.inc・・・月額360円という低価格ながら、バーコード読み込みによる商品登録・管理ができる機能満載なうえ、在庫データをSDカードに保存できるバックアップ機能も完備。30日無料体験版もアリ。
  • かんたん在庫管理 開発元:(株)フジコンシステム・・・月額使用料は税込378円、在庫状況はもちろん期間別入出庫実績・在庫推移なども確認できるため、長期的な販売戦力を立てるときにも役立つ。

といった、「クラウド型在庫管理アプリ」もリリースされ、非常に低コストで導入することができます。一度試してみてください。

3、その他の店舗における活用

飲食店や小売店だけで、スマートデバイスは活用されているのかと言えば、決してそうではありません。

例えば製造業では、スーパーやコンビニ同様の在庫管理・配送管理システムを構築しているところも多く、原材料を保管する倉庫内における入力端末として、スマートデバイスは活用されています。

また、外回りの営業マンにタブレットを持たせ、商品やサービス内容の説明から、具体的な見積りの提示、契約に伴う電子署名などに活用するなど、「ペーパーレス化」による販売促進・受注業務の改善を図ることもできます。

さらに、商品をお客様にお届けをする配送スタッフも、転送されるリアルタイムでの配送スケジュール確認や、再配送依頼票・配送済証明レシートの発行など、配送業務の効率化にスマートデバイスはフル活用されています。

【ここがポイント!】
~電子会議もスマートデバイス活用例の1つ~
前回解説させていただいた電子会議も、実はこのスマートデバイスをフルに活用することで実現される、有効な業務改善方法の1つです。

多店舗展開をしているケースで電子会議の効果は高まってきますが、スタッフの総数が多くなると、全スタッフにスマートデバイスを支給するのは、非常に大きなコストが必要です。

そんな時は店長や運営者に加え、副店長やバイトリーダーなどといった、店舗運営の中核を担うスタッフ限定でスマートデバイスを支給するのも手です。

主要スタッフによる、販売実績の共有や意見交換がスムーズできる体制を整えておけば、企業全体の業務改善も望めますので、コスト面が気になる場合はその検討を進めてみてはいかがでしょうか。

未来型スマートデバイスとは

ここまで紹介・解説をしてきたものは、既に広く普及しているスマートデバイスでしたが、現在ではさらに進化した未来型スマートデバイスも登場し、様々なビジネスシーンでその活用による業務改善も進んでいます。

ここでは、そんな業務改善につなげることが可能な未来型スマートデバイスを、いくつか紹介したいと思います。

カスタマーディスプレイ

カスタマー(お客様)に商品代金や合計金額を提示する、レジスタと連動したディスプレーのことで、従来型ではデジタル数字による価格表示や、カタカナでの商品名表示がなされていました。

現在では、お客様に漢字やひらがなによる、明確な商品名・価格の提示と、アルコール・タバコなどの販売際の年齢認証が可能な、タッチパネル式のカスタマーディスプレイもあり、スーパーやコンビニではすでに導入が進んでいます。

また、売上データ管理が容易なパソコンPOSにUSB接続できる、コンパクトでリーズナブルな商品や、タブレットPOSなど他のスマートデバイスと、Bluetooth接続可能な商品もリリースされ、店舗におけるレジ業務の改善に一役買っています。

ウェアラブルデバイス

持ち運びできるスマートデバイスのうち、手で持つのではなく体に身に付けることで利用できるものを、ウェアラブルデバイスと呼びます。

最もスタンダードなものとして、時計の様に手首にはめて利用する「リストバンド型」が有名で、歩数・心拍数・消費カロリーを測定できるものは、主に健康管理やダイエットに役立つツールとして最も普及が進んでいます。

ビジネスシーンにおいては、近年その必要性が増している介護ビジネスでの活用が顕著で、心拍数や血圧などといった、介護対象者のデータをスタッフが共有することにより、リアルタイムで対処可能な、体調管理システムを構築することができます。

また、さらに1歩進んだ未来型スマートデバイスとして、「Google Glass(グーグルグラス)」や「MOVERIO」などといった、「メガネ型」と呼ばれるウェアラブルデバイスがあります。

この、メガネ型ウェアラブルデバイスでは、離れた場所からメガネ部分に様々な情報を送り「見える化」できるとともに、搭載カメラによる装着者の視線でとらえた情報の共有も可能です。

この機能を活用すれば、製造業や物流業においてこれまで帳簿とバーコードリーダーで行っていた、倉庫内におけるピッキング業務をハンズフリー化でき、作業効率のアップや作業ミスの軽減につながるとして注目を集めています。

まとめ

全5回にわたった業務改善編も今回で終了となりますが、数多くある店舗業務を改善する方法は多岐にわたり、どれか1つを実践するだけで即座に業務が改善し、併せて店舗の利益が向上するというものではありません。

複合的に業務改善を進めていくことで、店舗のミライは明るく開かれていきますので、自らの店舗の業務状況を良く見極め、その改善に活用できるICTツールの導入を検討していきましょう。

ここがまとめポイント!

  • 飲食店においては、主に受注業務の効率化と人件費削減に、スマートデバイスは活用されている。
  • 小売店においては、商品の在庫管理と不足商品の発注システムに、スマートデバイスは組み込まれている。
  • 製造業では、原材料を保管する倉庫内において、在庫数量の入力端末として、スマートデバイスは活用できる。
  • 営業スタッフの販売促進ツールとしてや、配送スタッフのデータ管理や伝票発行ツールとしても、スマートデバイスは活用されるなど、数多くの業種において業務改善に寄与している。
  • 未来型スマートデバイスを活用することで、効率よく業務改善を目指すことができる。
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【正解】2:スマートデバイスは、飲食店だけで活用されており、他業種ではほとんど役には立たない。

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