店舗運営のAtoZ全31回

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Lesson5 店舗のICT活用編

21セミセルフレジの活用で得られるメリット未学習

ここで学ぶ概要

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人件費の削減を主とした、大幅なコストカットができるとして普及が進んでいるのが、セルフレジというICTツールです。

「店舗のICT活用編」第4回目となる今回は、そんなセルフレジの中でも「セミセルフレジ」に焦点を当て、その概要や活用によって得られる可能性があるメリットについて、以下の項目に沿って解説をしていきます。

  • セミセルフレジとは
  • セミセルフレジの活用で得られるメリット
  1. レジ打ち作業の効率化と人員の削減
  2. 衛生面の強化
  3. 顧客様の生の声が聞ける・感じられる
  • まとめ

セミセルフレジとは

セルフレジには大きく分けて2種類あります。
商品バーコードの読込作業を従来通りスタッフの手で行い、別口の精算機による支払いをお客様に行っていただくシステムを、セミセルフレジと呼び、そのすべてをお客様が行うシステムをフルセルフレジと言います。

人員を割かずにレジ業務ができることから、大きな人件費削減につながるとして最初に普及していったのは、後者のフルセルフレジの方です。

ただ、フルセルフレジでは、慣れないお客様にはバーコード読み込みに時間がかかることも多く、かえってレジの流れが悪くなるケースがありました。

また、野菜や魚、パック詰めされていない総菜などといった、バーコードのついていない商品への対応や、

  • 割引商品の価格が反映されない
  • 商品の説明を聞くのが面倒
  • お酒やたばこなどの年齢確認

などに対する不満の声とともに、結局何かあればスタッフを呼ばなければならないという、店側、お客様側双方に発生するデメリットへの指摘もありました。

その点、レジ作業に慣れたスタッフが、商品読み取りを行うセミセルフレジでは、上記で触れたデメリット発生要素が大幅に少なくなるため、現在は、セミセルフレジの方に移り変わってきています。

セミセルフレジの活用で得られるメリット

今その普及が進んでいるセミセルフレジを活用すれば、主に以下の3点で大きなメリットが発生してきます。

  1. レジ打ち作業の効率化と人員の削減
  2. 衛生面の強化
  3. 顧客様の生の声が聞ける・感じられる

ここからは1つ1つ、どんなことがメリットとして得られるのかについて、詳しく見ていきましょう。

1、レジ業務の効率化と人員の削減

通常のレジ業務では、
(ア) 商品を受け取る。
(イ) バーコードをスキャンする。
(ウ) 代金をお預かりする。
(エ) レシート発行と釣銭があるときは一緒にお渡しする。
という作業を繰り返すわけですが、セミセルフレジではこのうち「ウとエ」をお客様にしてもらうことができるため、大幅にレジ作業が効率化されます。

言ってみれば、清算専門のスタッフをおいているのと同じことであり、お客様にとってみれば、会計にだけ集中していればいいため準備も早く、レジの混雑を大幅に解消できるメリットがあります。

また、ファーストフードなどの飲食店において広く採用されている食券販売機も、言ってみればセルフレジ、フロントスタッフを減らしたり、受注ミスによる商品ロスを大幅に少なくできるメリットがあります。

ただし、ドリンクやサイドメニューの追加注文について、お客様が再度券売機に行って会計をすることに面倒さを覚えることも多く、結果的に客単価が伸び悩んでしまう可能性も否定できません。

ですので、券売機を採用する場合では、

「追加オーダーは、お気軽にスタッフへお申し付けください。」

などといったアナウンスを、テーブルやカウンターの目立つところに表示していた方がいいでしょう。

【ここがポイント!】
~人員削減による経費節約にも有効~
セミセルフレジはフルセルフレジと異なり、開放しているレジに必ず1名のスタッフが常駐しなければならないため「人員削減」は不可能なように感じられますが、決してそういう訳ではありません。

例えばスーパーでは、品出しや商品管理といった店全体の業務をこなしながら、レジ業務も兼任していることが多く、設置しているレジのすべてを、開放しているわけではないのが通常です。

そして、各レーンでお待ちのお客様が増え会計が滞ってくると、店内放送で他業務に従事するスタッフを呼び、レーンを増やして対応します。

セミセルフレジを採用することで、レジ業務が効率化すれば開放するレーンが少なくて済み、結果的に店全体としての人員を少なくできるため、人件費の節約にも寄与してくれるのです。

2、衛生面の改善や売上金・釣銭管理の強化

これは、食品を取り扱う小売店で特に顕著となるメリットですが、お客様を含め不特定多数の手に触れるお金に、セミセルフレジではほとんど触れずにレジ業務が行えます。

お金に触れない状態での食品などの取り扱いによって、お客様に店舗の衛生面をアピールできることになるのも、セミセルフレジの活用による隠れたメリットになってきます。

また、直接スタッフがお金を扱うことがないため、お客様にとってみれば代金を渡しすぎることや釣銭間違いを、あまり心配しなくて良くなります。

さらに、店舗運営者からみれば故意にしろそうでないにしろ、不用意な売上金・釣銭の紛失が減り、いらぬ心配がなくなります。

そのため、売上金・釣銭の管理が非常に楽になるという、お客様にとっても店舗にとっても有益なメリットが出てきます。

【ここがポイント!】
~パソコンPOSからセミセルフPOSレジへ一気に移行するのもアリ~

取り扱う商品数が少ない小規模店舗や個人商店の場合、精算専用のレジスターに自前のパソコンPOSを組み合わせて、日頃の売上・商品管理やマーケティング戦略に利用するデータベースとして、運用していることもあります。

そして、業績がアップして多店舗展開を視野に入れた場合、やはり多くのデータを簡単に効率よく管理できる、POSレジの採用を検討するケースも出てきます。

この時、通常のPOSレジではなく、一足飛びにセミセルフ型POSレジを採用するのもアリで、多店舗展開に伴う人材の増加を抑えるとともに、金額も増えてくる売上金や釣銭の管理体制強化にもつながります。

顧客様の生の声が聞ける・感じられる

これは、通常のレジとセミセルフレジとの差ではなく、フルセルフレジと比較すると、その実感が沸いてくるメリットです。

フルセルフレジの場合、確かに数台のセルフレジに対して1~2名の割合で、その取扱い方法の説明や、問題発生時対処をするスタッフを配置していますが、通常のレジの様にお客様の動向をつぶさにチェックしにくくなります。

お客様は、商品をレジに持ってきた際、

  • なんだかあらためて見ると、お肉の色が悪い気がする。
  • やっぱり、あちらの商品にすればよかったかな?
  • この品物は、ちょっと買いすぎかも。

といった具合に、さまざまな思いを持ちながらレジでの清算を待っています。

ですが、フルセルフレジではそれをすぐに訴える相手が目の前にいませんから、お客様はそういった不安や後悔を、購入した商品とともに持ち帰ることになります。

一方セルフレジの場合、スキャニングをしているスタッフが、お客様の抱いた疑問や不安を聞き取ったり、その動向やしぐさから問題点を感じ取り、適切な対処をすることができます。

担当スタッフの優れた観察眼や、対応力も必要にはなりますが、レジにおける精算業務だけを簡素化し、お客様へのきめ細やかな接客という、リピーター創成の基礎を崩さなくて済む大きなメリットが、セミセルフの活用では得られます。

【ここがポイント!】
~セミセルフレジは国内小売店向けのシステム~
日本ではフルセルフレジよりも、店舗業務の効率化と細かいところに手が届く接客を両立できる、セミセルフレジを選ぶ小売店が多い傾向にあります。

ですので、セミセルフレジの導入を検討するときには、併せてスタッフの接客教育も強化して、その観察力や問題解決能力を磨き、より有意義にセミセルフレジが活用できる、お店の土台作りも行っていきましょう。

まとめ

導入にコストがかかるものの、店舗業務の効率化による人件費などの削減や、何よりお客様をお待たせせず、細やかな接客も実施できるセミセルフレジは、長期的にみれば非常にその活用によるメリットが大きい、優秀なICTツールです。

ただ、導入当初は精算機の使い方を説明するスタッフが必要であったり、決済方法についてクレジットカードや、電子マネーなどに対応していない機種も存在するというデメリットもあります。

導入を決める際には、ご説明したメリットに合わせてデメリット面もよく確認し、自分の店舗に合った機種をチョイスするようにしましょう。

ここがまとめポイント!

  • セルフレジには、すべてレジ操作をお客様が行うフルセルフレジと、設置した精算機による会計のみをお願いするセミセルフレジがある。
  • セミセルフを活用すれば、レジ業務の効率化でお客様を待たせることなく、しかも店舗全体の人員を削減できるメリットがある。
  • セミセルフレジでは、お金に触れた手で商品を取り扱わないため、店舗としての衛生面向上を訴えかけることが可能。
  • フルセルフレジではうまく察知できない、お客様の細かい心の動きを通常のレジ同様把握しやすく、適切な対処をすることで、きめ細やかなサービスをお客様に提供できる。
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【正解】1:セミセルフレジには、必ず1人は担当スタッフを配置しなければならないので、全く人員削減にはつながらない。

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