店舗運営のAtoZ全31回

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Lesson4 マーケティング編

17データドリブンマーケティングとは未学習

ここで学ぶ概要

この講座は約8分で読めます

周辺の市場を調査しデータを集め、その分析によって商品や販売方針を決定し、併せてブランディングを着実に進めていくことで、店舗の売上は向上していきます。
そして近年、このマーケティングを効率よく確実に進めていけると、関連書籍などが大ヒットしているのが、「データドリブン」というマーケティング手法です。

そこで、「マーケティング編」のラストとなる今回は、このデータドリブンマーケティングという手法がどういったものであり、どのように進めていけばいいのかについて、以下の項目に沿って解説をしてまいります。

  • データドリブンマーケティングの定義と進め方
  1. データ収集
  2. 収集したデータの「分析」
  3. 分析したデータの「見える化」
  • まとめ

データドリブンマーケティングの定義と進め方

データドリブンマーケティングとは、世間にあふれている膨大な情報の中から、自分のビジネスに役立つ情報をピックアップし、

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)

の4段階を繰り返す、「PDCAサイクル」を循環させながら、企業としての成果を上げていくマーケティング手法のことです。

そして、PDCAサイクルに入っていくには、まずデータをたくさん(1)「収集」しないことには話が始まらず、収集できたとしてもそれを(2)「分析」する必要があります。

加えて、それを誰しもが目で同じように理解できるように、(3)「見える化」していくことで、PDCAサイクルの第一段階であるプランニングに、ようやく取り掛かることができます。

ここからは、1~3それぞれで、どのように作業を進めていけばよいのかについて、詳しくお話をしてまいります。

1、データ収集

データの収集にあたり、まず覚えていていただきたいのが、市場にあふれている情報には、

  • WEBやデジタル書籍などで得られる「ビックデータ」
  • 地道なアンケートや聞き込みなどで得られる「スモールデータ」

という、大きく2つがあることです。

まずビックデータは、人口の増減や男女・年代分布、さらには業界全体での市場動向などがそれにあたります。
これらは、各市町村のHPをチェックしたり、ビックデータを提供している企業からのデータ購入などをすれば、今なら誰でも簡単に集めることができます。
こういった、「ビックデータ」が役立つのは、参入する業種や店舗の立地を決めるときなどで、FC店などでは事前に専門部署が徹底的に調査し、指示を出してくれることも多くなります。

一方スモールデータは、店舗周辺の人の流れやお客様のリアルな要望・ニーズ・店舗への評価などがそれにあたり、すでに営業している店舗において活用できるデータになります。

大きな流れを把握するために、パソコンなどでビックデータをかき集めるのも、決して無駄なことではありませんが、1店舗として役立つデータを入手したいのであれば、スモールデータの収集を重視するといいでしょう。

【ここがポイント!】
~スモールデータは「信頼性」が低い時もある~
すでに、営業を始めている店舗がデータドリブンの材料にするなら、スモールデータの方が有効であると述べましたが、アンケートや聞き込み調査で得たスモールデータの中には、真実ではないものも紛れ込んでいます。

飲食店などでよく見られる、食事後の感想アンケートを例に挙げると、

  • 美味しさ
  • 店員の接客態度
  • 店の雰囲気
  • 価格帯
などについて、「とても良い・良い・普通・少し不満・不満」などのように、段階評価式で答えてもらうアンケートなどを見かけます。
これはお客様側に立てばわかることですが、よほどのことがない限り最低評価を下すことはなく、若干甘めの評価を付けることも多くなります。

アンケートなどで得たスモールデータについては、少々下された評価を割り引いて厳しめに捉えて、次の段階である「分析」に進んだ方が良い場合もあります。

2、収集したデータの「分析」

続いて、収集したデータを「分析」していく段階に進んでいくわけですが、単にデータを整理し「分類」することだけと捉えていると、なかなか効果的なデータドリブンマーケティングができません。
膨大になるビックデータの場合は、エクセルなどを活用して分け、店舗の長期的なプランを思案するとき参考にできるよう、デジタルな数字データとして「分類」さえしておけば、1店舗のデータドリブンにおいては事足ります。

一方、スモールデータの場合は、まずはアナログ的に、アンケートや聞き込みした情報を1つ1つ、性別や年齢・家族構成・商品やサービスへの評価ごとに「分類」した後、調査項目やコメントに隠されたお客様の深層心理を「解析」しなければなりません。
そして、正確な解析をするには分類したデータに対して、いくつかの「仮説的な考え」を持っておくことが大切になってきます。

例えばアンケートにおいて、「再来店の可能性」について5点満点で問いかけたとして、その平均点が低かったとしましょう。
この評価について、

「商品やサービスに満足しなかったから、もう一度来店する気持ちが起きなかった。」

と単純にマイナス評価として捉えるのが普通です。
しかし真逆の考えをもって仮説を立てると、

「1度の来店で十分満足・堪能したから、再来店する必要はない。」

と捉えることもできます。
「仮説的な考え」を持っておくべきだ、ということをわかりやすくするため少々極端な例を挙げましたが、1つの質問に対する返答でも解析の仕方によって、大きくその後のプランニングが変わります。

アンケートや聞き込みで得たスモールデータは1つずつ丁寧に、じっくり時間をかけて読み込んでいくようにしていきましょう。

【ここがポイント!】 ~「コメント」を書き込んでくれたお客様は大切に~

この項目に関連して、アンケートで入手したスモールデータには、それを正確に分析できれば、店舗の売上向上に繋がる大きなカギがあります。
それが、簡単なアンケート項目の回答だけではなく、好意的な意見であれ、お叱りの言葉であれ、用意したコメント欄に言葉を残してくれたお客様への対応です。

好意的なコメントを残してくれたお客様は、当然リピーター候補となってきますので、割引クーポンのついたDMの発送などで、再来店を促していくようにしましょう。

反対に、お叱りの言葉を残してくれたお客様も、本文中で述べた「仮説的な考え」で解析をすれば、お店への期待感の表れと受け止めることができます。

興味のないお店のアンケートに答え、コメントをわざわざ残してくれることはあまりないので、指摘されたことに対する改善はもちろん、場合によっては手書きのおわび状などを差し上げると、店のファンになってくれることも少なくありません。

3、分析したデータの「見える化」

分類さえきちんとできれば、ビックデータについては有効活用できると述べましたが、それをスタッフと共有していくのであれば、視覚的にそれを確認できるようソフトを使って、グラフ化しておくと良いでしょう。

また、スモールデータもグラフ化すると良いですが、数字やグラフによって目で確認できても、それを解析していくスキルについて、すべてのスタッフに求めていくのは少々無理があります。

具体的なプランニングを進めるスタッフミーティングでは、見える化したグラフや表を用意するのと同時に、分析結果を言葉や文字にして加えることで、店全体でのデータへの理解力をアップさせるようにしましょう。

【ここがポイント!】
~「やって見せる」という方法もある~
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」
という山本五十六の名言をご存知だという方も多いと思いますが、データドリブンにおいても全く同じことが言えます。

店長や運営者は、自らの分析結果について言葉で伝えるだけではなく、自らやってみせることによる「見える化」もして、できるだけ多くのスタッフとともに、プランニングを進めていける環境を作ることも心がけましょう。
具体的には、スタッフにお客様役を演じさせ、アンケート内容に合ったクレームなどを声に出し、怒りの表情や態度をとらせそれをどう沈め解決するのか、店長自らスタッフに見せる「ロールプレイング」も、有効な「見える化」の1つです。
そして、この「見える化」を地道に続けることにより、スタッフの中に高いデータ分析スキルを身に付け、店長や運営者の右腕となりえる人材が、育ってくることもあります。

まとめ

データドリブンマーケティングは、膨大なデータを「集める、分ける、理解する、見える化する」という段階を踏んで、具体的な店舗戦略の考案に役立てる手法であり、今ではこの作業をすべて肩代わりしてくれる、優秀な解析プラットフォームも登場しています。

そして、店舗数が増えビジネスが拡大すれば、必要となるデータも併せて増え個人でのデータドリブンも大変になるため、そういった解析ツールの採用も、視野に入れていくことになります。

ただいずれにせよ、データ入手の過程で肌で感じたことや、お客様の言葉からにじみ出る心理を読み取る感性を磨いていくことも、店長や運営者には求められてくるでしょう。

ここがまとめポイント!

  • データドリブンとは、マーケティングを進めるうえで重要な、データ解析をしていくことである。
  • 市場調査で得られるデータには、対極を見極めるための活用する「ビックデータ」と、日常的な店舗運営に役立てられる、リアルな「スモールデータ」がある。
  • ビックデータは確実な分類をし、スモールデータはそこに詳細な解析を加える。
  • 分類・解析したデータは、あらゆる方法を駆使して見える化し、スタッフと共有していく。
小テスト程
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【正解】1:データドリブンマーケティングで利用するのは、WEBなどですぐに入手可能な、ビックデータだけである。

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