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電子レシートの活用法。ペーパーレス化で何が変わる?

スマホやタブレットの普及により、紙で伝達されてきたさまざまな情報のペーパーレス化が進んでいます。その波は、レジでの精算時に必ず顧客に手渡すレシートにも及びつつあります。それが電子レシートと呼ばれるもので、一部の生協やスーパーが導入しているだけでなく、タブレットPOSの機能にも採用され始めています。今後、チェーン規模や業態に関わらず導入企業が増えるでしょう。
紙のレシートが電子化することで、どんなメリットが出てくるか。顧客と店舗、それぞれの立場からみて、次の3点が挙げられます。

効率化:顧客の家計管理を支援、店の用紙コストを削減
プロモーション:販促情報を効果的に伝達するツール
コミュニケーション:顧客の評価・意見を収集し、返答も可能

店はコスト削減、顧客には手間の削減・・・だけ?

顧客にレシート情報を提供する方法はさまざまです。

東芝テックの「スマートレシート」のように専用アプリを使用するものもあれば、メールやSMSとして届くタイプではSquareのPOSレジアプリに組み込まれた「Square メッセージ」、エイジア社とジェイモードエンタープライズ社による「レシートメール」などがあります。レシート印字機械のメーカーであるスター精密の「All Receipts」は、紙のレシートに印字されたQRコードを読み込む方法と、店頭端末からビーコンでレシート情報を取得する方法の2種類を用意しています。

レジでの精算時に必ず発行されるレシートは、財布やバッグの中でかさばったり、後でポケットの中から思いがけず発見されるといったこともしばしばでしょう。電子化することでそういった煩わしさから解放されます。
ペーパーレスによるすっきり感に加え、電子レシートのサービスの中には、購入商品を自動で項目別に振り分けてくれるものがあります。毎日の買物で家計簿をつける人にとっては、とても助かるサービスでしょう。スーパーやコンビニなど来店頻度が高い業態では、「この店で買物をすると家計管理が楽になる」と思われることで、常連客の獲得につながるかもしれません。

店舗にとっては、レシート用紙と印字代の節約になります。全国ではレシート用紙として年間5万4000トン、A4用紙にして135億枚も消費されているそうです。小さな用紙ではありますが、毎日の積み重ねで相当なコストになっています。
電子レシートを導入するにあたり、店には経費削減という明確な目的があるものの、顧客にとってのメリットが財布がかさばらない・家計管理が楽ちんという便利さだけでは、浸透は難しいと思われます。

店は用紙代を削減する見返りとして、顧客にも利益を還元する必要があります。電子レシートそのものをプロモーションツールと位置づけ、積極的に活用することで顧客の利用も促進されるでしょう。

レシート情報に基づき、クーポンを個別配信

電子レシートは購入履歴を提供するだけでなく、電子クーポンを配信したり、電子スタンプを付与する機能が備わっているものもあります。レシートを確認するついでに販促情報を見てもらい、次回の来店につなげることが狙いです。

クーポンで提示する内容は、顧客の購買履歴によって内容が変わることが重要です。「この商品を購入したあなたには、こんな商品はいかがでしょう」とか、「この商品をあなただけにお安く提供します」といったターゲティングされたクーポンの方が、利用される確率が上がります。
購入履歴に基づいたレコメンドだからこそ、顧客にとっても有用なクーポンになる可能性が高まるわけですが、なかには個人情報の取り扱いに不安を覚える人もいます。

個人情報への配慮も普及のポイント

東芝テックは17年3月、ディスカウントストアのトライアルとの協業で、電子レシートの利用客が店に提供する情報を任意でコントロールできる仕組みを実験しました。経済産業省も加わったこの取り組みは、購買データをマーケティングのリソースとして活用する際、事業者ではなく個人にデータ利用の選択権を与えるものとして注目されました。開示する情報を自分でコントロールできるという安心感への配慮も、電子レシートの普及には必要かもしれません。

参考:世界初、個人情報保護機能を搭載した電子レシートシステムの実証実験を開始(東芝テック株式会社 プレスリリース)
https://www.toshibatec.co.jp/release/20170201_01.html

クーポン発券サービスはインタラクティブな交流のきっかけに

クーポンでお得情報を提供することは、電子レシートを利用してもらうための前提です。ただ、この機能そのものは紙のレシートでも実現していることです。
コンビニのレシート下段はさまざまな告知スペースとして活用されていますし、スーパーのレシートも同様です。

カタリナ マーケティング ジャパンが提供する「レジ・クーポン」のように、全国の主要スーパー、ドラッグストアが導入済みのクーポン発券サービスも存在します。レジ精算のときに必ず手渡され、そのために顧客の目にふれやすいレシートは、訴求力が高いメディアとして既に活用されています。
電子レシートに付随するクーポンやスタンプ機能も、それ自体は紙から置き換えたものに過ぎません。電子レシートの真価は、これら紙の代替機能にあるのではなく、顧客と店舗がスマホ上でインタラクティブに交流できることにあります。

顧客の意識調査を効率的・高頻度に

Squareの電子レシートに搭載されたメッセージ機能の場合、顧客はその日の買物について店のサービスを評価したり、感想を送信できたりします。店は顧客からのメッセージに返信することで1対1のコミュニケーションが実現します。
これは、スーパー店頭でよく見かける掲示板の機能を取り込んだものといえます。「お客さまの声」を用紙に書いて投函すると、店長などの返答が書かれて貼り出される掲示板。あれをデジタル化した機能です。

利用客の意見・要望を吸い上げ、それに対応したことを伝えるために掲示という方法を取るわけですが、ほとんどが個人的な感想や要望だったりするので、投書した本人以外が掲示板をみても、あまり意味を持たない内容がほとんどです。自分の筆跡が掲示されるのに抵抗を感じる顧客もいるでしょうし、誰もが投書をしてくれるわけではありません。スマホと電子レシートを活用することで、店に意見を伝えることのハードルが下がります。

Squareのメッセージ機能は、顧客本人と店側で完結するコミュニケーションであり、第3者は閲覧できないそうです。また、投稿者は店からの返信を希望しないという設定もできます。より気軽に意見を言えることで、店としては実際に利用してもらった顧客の率直な意見を集められることになります。
店舗のサービスを評価したり、意見や要望を伝えられる機能は、電子レシートの全てに搭載されたサービスではありません。しかし、必要な機能として普及すべきものです。
店舗の規模や業種に関わらず、足を運んでくれた顧客が自分たちの商品・サービスをどのように考えているかを知ることは大切です。スーパーでは、買物客に直接ヒアリングしたり、座談会を開催して生の声を集めようと努めます。先にふれた投書箱を設置する目的も同じです。

ただ、投書するのは利用者にとって手間ですし、ヒアリングや座談会を頻繁に行うわけにもいきません。スマホで答えられるアンケートであれば、場所や時間を選ばず投稿できるので、調査の対象者とアンケートの実施頻度を飛躍的に増やせるでしょう。日々の買物で顧客の評価・意見を聞き、さらに定期的な座談会などで深掘りする・・・。このような使い分けにより、店舗のサービス改善につながるはずです。

まとめ:電子レシートを介して、店と顧客が交流する未来

電子レシートは、店舗業務の効率化や顧客の利便性を高めることだけが目的ではなく、購買履歴に基づいてクーポンを届ける効果的な販促ツールというだけでもありません。顧客が店を利用するたびに、店と顧客のインタラクティブなコミュニケーションを可能にします。もっとも、現状では全ての電子レシートにコミュニケーション機能が備わっているわけではありません。しかし導入する店舗にとって、利用客の意見を集められる魅力は大きいはずです。電子レシートの導入が広がるなかで、必須機能として求められていくでしょう。

この記事を書いた人
宮川耕平

流通業界紙で12年にわたり記者として勤務。スーパーやコンビニなどの小売業のほか、食品、酒類、流通に関連するIT分野を幅広く取材。キャッシュレスやペーパーレス、働き方改革をテーマに活動中。

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