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ビーコンとは:スマートフォンと連動するインストアテクノロジーへの応用

  • ビーコンとは、bluetooth信号を発信する発信機。iBeaconは省電力で稼働でき、サイズもコンパクトなのが魅力である。
  • 専用アプリと連動させることで、店舗に近づいた特定のスマホだけに情報を発信できる。
  • 発達しすぎたインストアテクノロジーは、消費者に抵抗感を持たれることも。ほどよい匿名感のあるビーコンは、店舗と顧客の距離を保つツールとなる。

ビーコンの概要

ビーコンとは

ビーコンは、信号を発信して位置を知らせる発信機です。車に取りつけて、道の渋滞状況を分かりやすくするビーコン、雪山で雪崩に埋まっても位置を特定できる雪崩ビーコンなど、活躍の場面はさまざま。
マーケティングにおいて注目を集めているのは「iBeacon」と呼ばれるビーコンです。
iBeaconは、bluetoothを使った発信機。半径数十メートルの範囲において、数秒ごと一回の発信をおこないます。
サイズは最小でコインくらいで、大きくてもタバコ程度と非常にコンパクトなのがメリットです。大掛かりな工事をせずに店舗への導入が可能で、フレキシブルに活用できるのが魅力とされています。

省電力、低コストなiBeaconの仕組み

iBeaconは、iPhoneのiOS7から標準搭載されたBluetooth Low Energy(BLE)を活用した技術、及びAppleの商標です。BLEは2.4GHz帯の電波を利用し、ボタン電池一つで最大1Mbpsの通信をおこなうことができます。
BLEを使い、ID情報の一種である「アドバタイズメント・パケット」を発信することで、特定のスマホのみに通知を送ることができるという仕組みです。発信側(店舗側)は、ビーコン端末の対応アプリと連動させることで、さまざまなマーケティング活動が展開可能になります。

Apple「iPhone、iPad、およびiPod touchのiBeaconについて」
https://support.apple.com/ja-jp/HT202880

ビーコンにできることその1:位置情報の把握

ビーコンはレーダーの一種なので、bluetoothをオンにしているスマホ端末の位置情報をキャッチすることができます。
店舗に設置すると、店を訪れた消費者がどのような動線で買い物をしたかを確認することが可能。ショッピングモールやイベントスペースでは、「顧客が買い物をしやすい構造になっているか」、「トイレやインフォメーションセンターなどの場所が分かりやすいと認識されているか」などを調査することができます。
もちろん、bluetoothをオフにしている消費者の位置情報を知ることはできません。
位置情報の把握は、bluetoothのオンにしているスマホ端末のみ、可能となっています。

ビーコンにできることその2:スマホアプリへのプッシュ通知

位置情報サービスを応用するかたちで可能になるのが、このプッシュ通知です。
事前にメール登録をしておけば、店舗に入った消費者のスマホにだけクーポンを配布したり、タイムセールの案内を送ることができます。性別や年齢、嗜好といった情報を事前に取得しておけば、対象に合わせた情報だけを選択して送信することも可能。

メンズ、レディース、キッズ向けのセール情報を一括で送信すると、メールの文面が長くなったり画面が見づらくなったりして、読み飛ばされてしまうことがよくあります。また、セールスレターの配信時期によっては、「先週、店で買い物をしたのに。今頃クーポンを送ってこられても、タイミングが悪いよ」と感じる消費者もいます。
こうしたニーズのすれ違いを解消できる可能性を持つのが、ビーコンとスマホアプリを使ったマーケティングです。
ID情報と送る内容を紐付けすることで、無差別的にクーポンや案内を送付するのを防ぐことができます。

基本の機能を組み合わせて最適なサービスを提供

ビーコンの基本的な機能である「位置情報」、「プッシュ通知」を組み合わせて活用すれば、店舗の近くにいる顧客に効果的なプロモーションをおこなうことができます。
留意すべき点は、bluetoothにつないでいなければ情報は何も得られないといういう一点のみ。
ビーコンを活用したマーケティングをおこなう際は、顧客にもbluetoothをオンにした状態で利用してもらうよう、よくアナウンスするのが重要です。

ビーコンで進化するインストアテクノロジー

インストアテクノロジーにおける「不気味の谷」

オムニチャネル・パーソナライゼーションサービスの大手である「リッチレリバンス(Rich Relevance)」は、一つの興味深い調査を実施しました。
買い物に関わるさまざまな新しいテクノロジーを実際に使ってもらい、それらが与える影響を調べたのです。

米国と欧州、2,000以上の企業を対象に調査をおこなった結果、指紋スキャンなどのテクノロジーは「クール」と感じる一方で、顔認識ソフトなどに対しては「気味が悪い」と感じる消費者が多かったことが判明したとのこと。
決済がタッチ一つで完了する指紋スキャン、実際に服を着替えなくてもたくさんの衣装が試せるバーチャル試着・スマートミラーは、買い物をより便利に、そして楽しくさせてくれるテクノロジーだと多くの人に認識されました。
その反面、店内に入った瞬間に顔をスキャンして認証がなされるようなシステムは、監視されている、行き過ぎだと感じる傾向が強かったとされています。
ロボットやAIにおいて存在する「不気味の谷」が、インストアテクノロジーにおいても存在することは間違いないでしょう。

Forbes「バーチャル試着は歓迎?買い物を便利にする『インストアテクノロジー』」
https://forbesjapan.com/articles/detail/12753

自分に合った情報やサービスを受け取りたいという欲求と、個人を特定されすぎたくないという要望は人として自然な感情ですが、マーケティングの観点からは実現が難しいことでもあります。これを解決するのが、ビーコンです。
ビーコンがあれば、顔認識システムで来店を監視しなくても、顧客一人一人に合わせた情報の配信や接客が可能になり、紐付けられた情報からよりシームレスな買い物体験の提供が実現します。

インストアテクノロジー:ビーコンの可能性

飲食店におけるインストアテクノロジーとビーコン

カフェや飲食店にビーコンを設置すると、店舗の近くを通る顧客にメッセージやクーポンを配信したり、混雑のピーク時間をデータとして取得できるようになります。
また、ビーコンを活用した注文アプリも、人件費削減や客単価の増加、リピート率の上昇が見込めるテクノロジー。カード情報の紐付けやApplePayの利用によって、メニューの閲覧、注文、決済をアプリですべておこなうことができます。
注文がどのテーブルからなされたのかは、ビーコンの信号をたどれば良いので、ホールで働くスタッフも無駄のない動線で動けます。

宿泊施設におけるインストアテクノロジーとビーコン

ホテルにおいても、ビーコンを活用することでスムーズなチェックインやルームサービスの注文が可能になります。ビーコンによって、オンラインで顧客の状況を閲覧できるので、一人一人に合わせた情報提供や案内が実現。繁忙期はチェックインカウンターに列ができてしまうというホテルは、混雑を解消するツールになることでしょう。

まとめ

省電力とコストダウンによって、活用の機会が広がるとみられるビーコン(iBeacon)。国内外にはさまざまな取り組みが散見されるものの、それらはまだ段階的な導入にとどまっています。
ビーコンによって、インストアテクノロジーはさらに自由度の高いマーケティングのツールとなり、新たな活用方法が次々と発表されることでしょう。
顧客が理想とするシームレスな購買体験を実現することによって、企業や店舗に人が集まり、売上アップにつながっていくと考えられます。

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