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キャッシュレス・消費者還元事業とは?ポイント還元の仕組みとメリットを解説

政府が、消費税率引き上げにともなっておこなう対策として発表している「キャッシュレス・消費者還元事業」。どのような仕組みで実施され、中・小規模の事業者は具体的にどういった対策をとるべきなのでしょうか?

実施の時期や還元事業の仕組みについて調べてみました。

【目次】

キャッシュレス・消費者還元事業とは

キャッシュレス・消費者還元事業は9ヶ月のみの限定的な支援事業で、加盟店のみがキャッシュレス決済に応じてポイント還元を受けることができるようになります。

キャッシュレス・消費者還元事業の実施時期

キャッシュレス・消費者還元事業が実際されるのは、消費税が10%に引き上げられる2019年10月1日から2020年6月までの9ヶ月間です。
あくまでも9ヶ月間という限定的な措置であり、期間が経過した後は、決済事業者それぞれの手数料などが適用されることになります。
加盟店の仮登録受付は2019年3月12日から20日までの期間に実施され、それらをふまえた実施内容の改定が4月12日に公表されました。

キャッシュレス・消費者還元事業の内容

キャッシュレス・消費者還元事業とは、加盟している中小・小規模の小売店やサービス事業者、飲食店を対象におこなわれるものです。
加盟店で消費者が何らかのキャッシュレス決済手段を用いた時に、消費者へ支払いの一部を還元することで、事業者と消費者の双方にキャッシュレス化を推進させるねらいがあります。

キャッシュレス・消費者還元事業の対象となる支払い方法

キャッシュレスとは、現金を使わない支払い方法全般をさします。クレジットカードやSuicaをはじめとした交通系ICカードがこれまでは一般的でしたが、ここ数年で電子マネーやアプリ決済などさまざまな種類のキャッシュレス決済サービスが台頭してきました。
キャッシュレス・消費者還元事業が「キャッシュレス決済」と定めているのは、次の方法です。

  • クレジットカード
  • デビットカード
  • 電子マネー
  • QRコードなど電子的に繰り返し利用できる決済手段

スマホやアプリを使う決済は、QRコードを読み取るものが大半なので、世に出ているキャッシュレス決済サービスのほぼすべてが該当すると考えてよいでしょう。
なお、これらは原則として日本居住者を対象としており日本円でチャージ可能な決済サービスであることを前提としています。

消費者還元率は個人店舗とチェーン店で異なる

消費者にとって注目したいのが、還元率でしょう。
どの店舗も一律同じというわけではなく、個別の店舗は5%、フランチャイズチェーン店は2%と還元率は店舗によって差があります。
いずれもポイント還元であり、現金がそのまま戻ってくるわけではないことは共通しています。そのためこの事業は、別名「ポイント還元事業」ともいわれています。
店舗側は「現金還元」や「キャッシュバック」といった表現を使って宣伝することはできないようになっています。
しかし例外として、店舗側の事前申請によって次のような還元の方法がとられるケースもあります。

例外1. 即時利用可能なポイントやクーポンを発行し購入金額にポイントを充当する
例外2. 金融機関から引き落とされるキャッシュレス決済の場合に、ポイントを引き落とし金額と相殺する
例外3. 決済から1ヶ月以内に消費者の口座に発行ポイントを付与する

加盟店の手数料や負担も個別店舗とフランチャイズに違いがある

この事業は、キャッシュレス決済推進をねらいとしているとともに、消費税増税にともなう経済対策も同時に目的としています。
そのため、中小・小規模事業者に対しては、消費者に還元する5%分を政府が負担、なお、負担ゼロで端末を導入できるなどインフラ整備にも優遇措置がもうけられています。さらに加盟店手数料率は3.25%以下に引き下げられ、その3分の1を国が負担します。

この補助の対象となる中小・小規模事業者の定義については、次の項にまとめました。
フランチャイズチェーン店の場合、端末費用や加盟店手数料の補助はなく、消費者還元分の2%の原資のみが補助されるかたちになります。

キャッシュレス・消費者還元事業のスケジュール

この事業は4月中旬に中小店舗や決済事業者に向けた広報がおこなわれ、概要や仮登録決済事業者が公表されます。そこから5月中旬に、決済事業者経由で中小店舗の登録をスタートさせ、各店舗へ端末の設置やキャッシュレス化に向けた準備が進められていくことになります。
事業の対象となる中小店舗が公表されるのは7月下旬の予定で、ここから消費者へ向け本格的なPRがなされていくスケジュールになっています。
消費者への周知徹底はHPや地図アプリ上での公表にくわえ、各地域でのポスターやフライヤーの配布、説明会の開催など、さまざまな世代をカバーできる宣伝方法が予定されています。
10月の制度開始に向けて、9月頃からは中小店舗による消費者へのPRもそれぞれでおこなわれていくことは予想されています。

2019年4月現在、116社のキャッシュレス事業者が仮登録済み

キャッシュレス・消費者還元事業の要といえるのが、キャッシュレス決済を扱う決済事業者です。政府はあくまでキャッシュレス化を推進するものであり、実際にキャッシュレスシステムについて総括しているわけではありません。この事業がより多くのキャッシュレス方法に対応するためには、日本でサービスを提供している事業者が1社でも多く事業に加盟することが必要になります。

2019年4月時点ですでに仮登録をしている事業者は116社。コイニー株式会社を筆頭に、ソニーペイメントサービス株式会社、株式会社リクルートライフスタイルなど、主要な事業者が登録をしています。このまま5月まで受付を継続し、追加申請をすべて完了させた時点で、仮登録から正式登録にステータスが変わる予定です。

ちなみに、キャッシュレス決済事業者は、A型とB型に事業区分が分けられていることをご存じでしょうか?

A型決済事業者は、消費者を対象に決済サービスを提供する事業者のことです。
一方でB型決済事業者は、中小・小規模事業者を対象にキャッシュレス決済サービスを提供する事業者のことをいいます。
両方を兼ね備えた事業者はA型決済事業者兼B型決済事業者と定義されます。

現在、仮登録をしている事業者それぞれがどのタイプであるかは、経済産業省「キャッシュレス・消費者還元事業」サイトに掲載されているPDFから確認できます。

参照:PDF「仮登録決済事業者リスト(116社)」
https://cashless.go.jp/assets/doc/kessai_karitouroku_list.pdf

キャッシュレス・消費者還元事業の対象となる中小・小規模事業者の定義一覧

キャッシュレス・消費者還元事業について概要をおさえたところで、実際に優遇を受けられる加盟店の定義についてみてみましょう。
なおこの情報は、経済産業省による「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要(4月12日(金)時点)」のデータを参照したものです。

参照:経済産業省「キャッシュレス・消費者還元事業」
https://cashless.go.jp/

対象の中小・小規模事業者の定義

キャッシュレス・消費者還元事業の対象となる中小・小規模事業者の定義は次の通りです。

  1. 製造業その他:資本金あるいは出資の総額が3億円以下の会社、もしくは常時働く従業員300人以下の会社や個人事業主
  2. 卸売業:資本金あるいは出資の総額が1億円以下の会社、もしくは常時働く従業員100人以下の会社や個人事業主
  3. 小売業:資本金あるいは出資の総額が5千万円以下の会社、もしくは常時働く従業員50人以下の会社や個人事業主
  4. サービス業:資本金あるいは出資の総額が5千万円以下の会社、もしくは常時働く従業員100人以下の会社や個人事業主
  5. 旅館業:資本金5千万円以下、もしくは常時働く従業員200人以下の場合
  6. ソフトウェア業/情報処理サービス業:資本金3億円以下、もしくは常時働く従業員300人以下の場合
  7. 事業協同組合/商工組合/農業協同組合/消費生活協同組合など
  8. 社団法人/特定非営利活動法人:主な業種と同種の中小・小規模事業者と比べて従業員数が少ない場合

これらは原則条件です。上記の条件に当てはまる場合でも、「過小資本企業」に該当すると判断された時には補助の対象にはなりません。過小資本企業とは、加盟店に登録を申請する直近の過去3年分か、もしくは各事業年度の課税所得の平均額が15億円を超えている中小・小規模事業者をさします。
なお、フランチャイズチェーンの加盟条件も、上記を満たた場合のみとなります。

対象外となる事業者の定義

現時点で補助の対象からはずれている事業者は以下の通りです。

  • 国/地方公共団体、公共法人
  • 金融商品取引業者/金融機関/信用協同組合
  • 保険会社
  • 仮想通貨交換業者
  • 保険医療機関/介護サービス事業者/社会福祉事業
  • 学校/専修学校
  • 宗教法人
  • 法人格のない任意団体

また、認可を受けていなかったり料金の明示がなされていなかったりする風俗営業や、暴対法に抵触する暴力団に関連する事業、補助を受けるにはふさわしくないと見なされた事業なども対象からは除外されます。

補助の対象外となる取引

補助の対象となる事業者であっても、一部対象外となる取引もあります。
コンビニで切手をSuicaで購入しようとして断られた経験はないでしょうか?切手や印紙のほかにも自動車や住宅などが補助の対象外となっています。

  • 有価証券/郵便切手/印紙
  • 商品券/プリペイドカード
  • 自動車(新車/中古車)の販売
  • 住宅(新築)の販売
  • 宝くじなどの公営ギャンブル
  • 給与/賞与

政府の事業は消費者のキャッシュレスへの不安を払拭できるか

日本は、世界の先進国と比較するとキャッシュレス化が遅れているといわれています。
その原因として、現金への信頼が厚く、新しい決済方法がなかなか浸透しないことが挙げられます。

  • 現金という目に見えるお金がないと使いすぎてしまうのではないか
  • 金銭をやり取りする上での情報漏洩が心配だ
  • 金庫やレジのように、セキュリティが可視化されず不信感がある

キャッシュレス決済を使いたがらない層の中には、現金を使わないやり取りにこのような感覚をもっている人も少なくありません。こうしたとらえどころのない不安を払拭することが、キャッシュレス化を推し進めるポイントの一つになるかもしれません。

環境づくりのコストを補助して使える店舗を増やす

そして、日本のキャッシュレス化を進めることができないもう一つの大きな理由に、キャッシュレス決済のための環境づくりが中小事業者や店舗の負担になっているという現実があります。キャッシュレス決済の種類が統一されないと、対応するサービスの数だけ端末を用意しなければならなかったり、従業員への研修が必要になったりするため、キャッシュレス決済の導入に前向きになれないという現状がありました。
また、キャッシュレス決済では、決済事業者に対して各社が定めた手数料を支払う必要があることから現金支払いのみを受け付けている店舗も少なくありません。手数料は各社によって異なりますが、例えばクレジットカード払いの場合、およそ決済料金の3%ないし5%を支払うシステムが一般的です。
今回の政府によるキャッシュレス・消費者還元事業は、コストの面から二の足をふみがちな事業者の費用を一部負担することで、キャッシュレス化を推進しようとするものです。

キャッシュレス決済に積極的な消費者だけが多くなっても、使える店舗数が限られていれば、使用は広がりません。キャッシュレスサービスを活用する消費者と、使える場と商品を提供する事業者とショップ、この両者がそろって初めてキャッシュレス化はすすむといえるでしょう。

まとめ

キャッシュレス・消費者還元事業は、増税による冷え込みを緩和し消費を後押しすることが期待されています。
現段階では決済事業者の仮登録を受け付けているといういわば準備段階のため、実際にどうなるかは今後の動きや公表される情報に注目したいところです。

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