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店内監視カメラで「購入しない来店客」の行動分析:POSを補う解析ツール

POSは、顧客情報と購買履歴を紐づけて記録するなど、マーケティングや売上増のために有効なシステムです。
しかし、POSレジは購入してこそその価値を発揮するものであり、何も買わない顧客までカバーすることはできませんでした。これを補う店舗内カメラ(監視カメラ)の活用法が注目されています。

POSと監視カメラを使った分析システムの併用で、互いのカバーしきれない部分を網羅し、行動分析をより深化させましょう。

【目次】

来店分析とは:店舗の動線分析はなぜ重要か

リアル店舗にとってなぜ動線分析が必要なのか。それはECサイトなどのオンラインを考えると見えてきます。
オンラインの場合に蓄積されやすい次のデータは、オフラインである実店舗にとっても有益であり、マーケティング戦略において重要なものです。

ユーザーがどのような順番で商品をサーチしたか

ECサイトでは、ユーザーがチェックした商品を記録しておくことができます。
ファッションアパレルならば、類似のアイテムをいくつかチェックするユーザーが多い、色違いを検討するユーザーはどの色をもっともよくチェックするかなど、今後の商品展開において参考になりそうなデータを集めることが比較的容易にできます。

カートに入れておいたけれど決済まで進まなかった商品や、購入しなかったけれど「お気に入り」にしていた、など購入に至る以前の閲覧履歴は貴重なデータ。
リアル店舗でこのデータを取得しようとすれば、店内にカメラを設置して動画を分析したり、商品にトラッキングIDをつけて動線分析をしたりする必要があるでしょう。

それにより、試着室にどのようなアイテムを持ち込んだか、また店内を巡る際にどのような順路をたどったかなど、ユーザーの行動をデータとして可視化することができます。

ユーザーがどの商品をどれくらいの時間見ていたか

商品を選ぶのにかける時間は人それぞれです。欲しいものは直感的に決めるユーザーもいれば、気になっているからこそ比較検討の時間を長くとるという人もいるでしょう。
ですが、そうしたデータも多く集めることができれば可視化した時にターゲット層の傾向がみえてきます。
商品を見ている時間も、POSレジ対応だけでは取得できないデータのひとつです。

リアル店舗とオンラインのデータを組み合わせることで新たな道が拓ける

こうした情報のデータ化が有益であるポイントの1つに、実店舗データとオンラインデータの統合的な活用があります。
ECサイトを展開しているブランドであれば、実店舗とECサイトの顧客関連データの紐づけ、相互活用はいうまでもありません。

また、ECサイトをもっていない、Amazonなどのモール型ECをまったく使用していないという場合でも、FacebookページやインスタグラムといったSNSを開設している店舗は多くなっています。
自店舗がSNSを開設していなくても、訪れた顧客がブログやツイッターなどで紹介したことをきっかけに一気に認知度が高まるというケースもあります。

つまり、リアル店舗がオンラインとの接点をまったくもっていないという状況はどんどん少なくなっているということ。こうした現況においては、オフライン(実店舗)とオンラインのデータを別のものとしてとらえるばかりでは充分に効果的なマーケティング施策を講じることはできないでしょう。

店内が無人でも購買データを取得できる:Amazon Go

店内カメラとネットワークシステムを用いて実店舗の顧客行動を分析する最先端の姿といえるのが、AmazonによるAmazon Goをはじめとしたレジレスコンビニ、通称「無人コンビニ」です。
Amazon Goは、店内に設置された無数のカメラとセンサーが入店した人の行動を読み取り、QRコードによって決済までを済ませてしまう仕組みはとても画期的です。「持参したバッグに欲しい商品を入れて店を出るだけで自動的に会計される」という仕組みは、大きな驚きをもって迎えられました。

しかし、Amazon Goは顧客に新しい購買体験を提供すると同時に、実店舗で人がとる行動データを蓄積、分析するという目的をもって開発、登場した店舗スタイルです。
買い物をする時、店内で人はどのように行動するのか、そのデータを収集するもっとも効率の良い方法がAmazon Goということもできます。

POSと行動分析

POSレジが行動分析においてまったく力不足かといえば、もちろんそうではありません。POS(Point Of Sales)は、日本語で「販売時点情報管理」といいます。
この名称のとおり、POSレジシステムは、消費者が商品を購入してお金を払った段階で情報が記録されます。
ショップカードとの連携によって顧客の購買関連データを蓄積することができるほか、チェーン店の各店舗間の販売データを一括管理し、比較することもできます。

ネットワークにつながっていることによって、取得した情報を解析するためにAIを活用したり、別種のデータと組み合わせたりすることが可能になるため、POSはレジや売上管理の効率化だけでなくマーケティングにおいても有益です。

一方、顧客が商品を購入した時点で情報の管理が可能になるため、購入しない消費者はデータに残すことができません。さらに、顧客が店舗をどのような順路で辿ったか、どの商品に興味を示し、買い物をすませるまでに何の棚を見回ったのかといった顧客の行動分析はPOSではカバーすることができません。

店内の監視カメラは来店客の行動分析をおこなうツールになる

ショップ内に監視カメラを設置するというと、万引き抑止やトラブル防止のみが目的と思うかもしれませんが、店内カメラには顧客の動線分析をおこなう役割もあります。
また、店内で働く店員の動線や接客応対の様子をチェックして顧客満足度アップや、業務効率化分析にそのデータを反映させることも可能です。

従来、監視カメラの設置は「万が一、悪質なクレーマーが来店しても公正な証拠として使える」、「もしも、万引き犯が万引きを認めなかったら証拠として警察に確認してもらえる」、「もしも、店舗付近で事件や事故が起こった時に近隣者として映像協力できる」など、ネガティブな事柄が起こった時の備えや防犯対策の一環としておこなわれています。
これらも監視カメラの設置理由として重要なものですが、店舗の売上や顧客満足度をアップさせるというポジティブな要素のために活用できるのであれば、設置の意義はより深まるといえるのではないでしょうか。

アロバが発信するマーケティングツールとしての監視カメラ

映像プラットフォームソフトメーカーであるアロバは、顧客の年代や性別、感情までも解析する監視カメラのマーケティングツール「アロバビュー コーロ」を開発、提供しています。
これは、防犯・監視カメラの録画システムを活用したもので、画像から来店する消費者の顔を認知し、年代や性別をデータとして蓄積していくことが可能です。使用可能なネットワークカメラは、パナソニック、キヤノンをはじめとする主要メーカーのおよそ450機種のカメラで、複数台の映像管理を統合することもできます。

さらに、顔のシワや口角といった30ケ所以上のポイントを計測、表情を読み取ることで、来店する人の「喜ぶ」、「困る」という感情をデータ化します。
これまで、購入しない来店客つまりPOSを使うことのない消費者に対して、店舗側は充分な分析をおこなうことができませんでした。しかし、監視カメラのマーケティングツール「アロバビュー コーロ」をPOSと併用することで、何も購入しない、つまりPOSを通すことができない顧客のデータも取得できるようになります。

監視カメラのマーケティングツールでできること

監視カメラのマーケティングツールを活用することによって、以下のデータを可視化することができるでしょう。

  • 来客数のカウント
  • 新規客/リピーター客の判別
  • 来店客の滞在時間
  • 来店客の属性
  • 来店客のリアクション

このツールの導入でもっともメリットといえるのが、会員カードがなくても来店客の属性をデータ化できることと、購入シーン以外の部分の顧客満足度を把握しやすくなることです。

会員カードは導入にコストがかかるだけでなく、カードを持参してくれなかったり、紛失再発行により顧客データが重複してしまったりと、効率的にデータを取得できないことも少なくありません。ポイント制度などによってリピーターを獲得しやすい会員カードですが、顧客データの取得という意味では難点があるのも事実です。
「アロバビュー コーロ」のような監視カメラのマーケティングシステムの方が、漏れのないデータ取得とその可視化という点においては優れているといえるでしょう。

また、繰り返しになりますが購入者だけが「顧客」ではありません。売上増のためには、来店したけれど何も購入しない人、つまり見込み客をどの程度、購入する客にできるかどうかが重要です。店舗の滞在時間や、滞在時の表情分析、動線のチェックは、見込み客を取り込む上での大きなヒントになるでしょう。アロバビュー コーロは、アパレル小売店、飲食店など100ケ所以上ですでに活用が始まっています。

また、期間限定の売り場やイベント会場などで、ターゲティング層の来場数や、楽しんでもらえているかどうかをチェックするような用途としても活用できるとアロバは提案しています。

https://www.arobaview.com/service/koro-2/

監視カメラの行動分析:顧客のプライバシーは守られる

表情の分析や画像による顧客データの抽出、可視化ときくと、個人情報の取り扱いについて心配になるかもしれません。
アロバビュー コーロの場合、人の表情は静止画として生成されてマイクロソフトのクラウドサービスによって解析がおこなわれます。
生成された静止画は解析が済んだら消去され、解析データから特定個人を復元することはできない仕組み。プライバシー保護にしっかり対応しています。

監視カメラの行動分析でスタッフの接客姿勢もチェックできる

カメラの計測システムが想定しているのは、あくまで来店客のデータ取得と解析ですが、導入企業の中には、スタッフの接客姿勢を見るために活用しているというケースもあります。

  • 笑顔で接客できているか
  • 効率的な動線で稼働しているか
  • 接客姿勢が売上とどのような相関関係にあるか

スタッフをカメラで行動分析すると、これらのような項目のチェックも可能になります。このデータは人事評価と組み合わせたり、売上増のためのマーケティング戦略に役立てたり、さまざまなシーンで活用可能になるでしょう。

日本の企業や店舗は、今後取得したデータの積極的かつ深い活用が課題とされており、データを横断的に使用することが成長戦略の鍵のひとつとされています。
監視カメラひとつとっても有効活用する道はたくさんあるといえそうです。

店内カメラの行動分析:蔦屋家電+

カルチュア・コンビニエンス・クラブグループの蔦屋家電エンタープライズでは、ショールーム型の店舗である蔦屋家電+(ツタヤカデンプラス)で、AIを活用した店内カメラと行動分析を導入しています。
家電品や日用品、食品と展示、販売するこの店舗では、カメラ画像が0.3秒で顧客の特徴を分析し、即座にその画像を削除するというプライバシーに配慮したシステムが採用され、来店客はそれに了承した上で入店します。
店内での顧客の動きは座標値であらわされ、展示品を試したり棚から商品と手に取ったりといった動作が行動データとして蓄積、分析されます。

https://store.tsite.jp/futakotamagawa/

店内カメラの行動分析:PARCO

PARCO(パルコ)では、小売店舗向けの来店客解析サービスであるABEJA Insight for Retailを導入して、来客数の人数カウント、属性判定をおこなっています。
PARCO_ya上野点店では、テナントの区画ごとに200台以上のカメラが設置され、性別や推定年代をデータ化。このデータとショップごとの売上を小グオすることで、テナントごとに来店客の買い上げ率を可視化できる仕組みを整備しました。
このデータはダッシュボードで閲覧できるようになっており、売上アップのための施策づくりだけでなく、シフトや休憩時間の調整などスタッフ側の効率化にもつなげることができるようになっています。
PARCOでは、もともとショップカードやショップアプリの導入によって来店客の行動を把握する取り組みがなされていましたが、アプリを使わない層のとりこぼしなどの課題を抱えていました。カードとアプリ、そして店内カメラを組み合わせて使うことで、とりこぼす顧客データを減らし、取得データの正確性を高めることに成功しているといえます。

https://parcoya-ueno.parco.jp/

まとめ

監視カメラの映像は、効果的な分析、解析によって貴重なデータとなります。日本は、ビッグデータや蓄積された顧客関連データの効果的な利用があまり得意でないといわれる企業や店舗が多くありますが、行動分析によって今まで取得していたデータがさらに有益なものとなるはずです。

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