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撮りたくなるような買物体験? そごう千葉店JUNNU(ジュンヌ)が新スタイルに挑戦!

百貨店くらい広い商圏を必要とするマーケットが新しく誕生する余地は、現代の日本にはほとんどありません。むしろかつては成立していた商圏が環境の変化によって維持が困難になり、各地で既存店の整理が進んでいます。

ただ、百貨店が成立する地域が少なくなったからといって、必ずしも業態そのものが時代遅れになったわけではありません。百貨店のニーズは存在します。この業態が成り立つ地域では、現代のニーズに合わせて既存店の機能を見直す取り組みが続いています。

JR総武線・京成線が乗り入れる千葉駅前の「そごう千葉店」は、本館と別館のJUNNU(ジュンヌ)で構成します。
2005年に20~30代女性に特化したファッション館として誕生したジュンヌですが、2017年9月15日には生活全般にわたる体験型の商業棟としてリニューアルしました。ファッションの売上構成比を改装前の85%から50%に引き下げる計画のもと、ファッション系のショップは絞り込み、代わって生活雑貨や体験型のサービス、書店、カフェやレストランを大幅に拡充しました。
現在の顧客ニーズに合わせてどのようなリニューアルを行ったか、以下のポイントでまとめます。

  1. フォトジェニックなコト体験
  2. 体験型のジュンヌ館と物販の本館による相互補完
  3. テナントと共に新しい売場編集に挑戦

写真に撮りたい! をテーマにコト体験を提案

新生ジュンヌは、楽しいショッピング体験を実現するためにコト発想の仕掛けやショップ、サービスを数多く揃えました。どんなコトか? 共通しているのは写真を撮り、SNSにアップしたくなるような体験を提供することです。
地下1階から4階まで、5フロアの館内を回る際のスタイルとして「ショッピング with ドリンク」を提案します。文字通り、飲み物を片手に買物を楽しんで欲しいということです。
スターバックスやベリーズ、アップル アンド ジンジャーなど各フロアにテイクアウト可能なカフェを配置しました。休憩スポットで飲むだけでなく、ドリンクを手にしたまま館内を自由に回遊できます。1〜3階の売場にはドリンクをちょっと置くための台座を合計50ヶ所設けました。パーチ(止まり木)と呼ぶ小型の台座は、ドリンクを乗せた姿を枝にとまる小鳥に見立てているようです。気になった商品が見つかったら、ドリンクをパーチに置いて商品を手に取るといった使い方を想定しています。

地下1階から地上4階の5フロアで構成、2階エスカレーター正面に配置したカフェ「APPLE & GINGER」

千葉店長の豊田隆信執行役員は、「ドリンクと一緒に買物を楽しむという新しいショッピングスタイルを目指します。館内にさまざまな体験や商品があるように、ドリンクの種類も豊富に揃えました。ドリンクもファッションの1つととらえ、お客さまの好みにあったものを選んでいただければと思います」と話していました。
また、売場内の柱周りに合計18ヶ所の撮影スポットを設けました。「ジュンヌ シューティング」と呼ぶこの仕掛けは、アート作品や千葉の地域情報などをポップに展示します。ドリンクを片手に撮影したり、お店の人に頼めば、試着や小物を手にした際の写真映えも確認できる場合も(?)あるそうです。館内での体験をどんどんSNSで表現して欲しいというスタンスです。

Whip スイーツ作りは食べるため? 撮るため?

テナントのサービス専門店も、フォトジェニックな体験を提供します。なかでもABC Cooking Studioが運営するスイーツ作りの体験ショップ「Whip(ホイップ)」は、インスタ映えする空間で、手軽にスイーツ作りを楽しもうというコンセプトです。

利用者は、作りたいメニューに応じて料金を払い、材料や器具はお店のものを使用します。各自にカウンタースペースが割り当てられ、作り方は備え付けのiPadで確認しながら取り組みます。完成後、洗い物はすべて店に任せて終了です。
スイーツを作る工程も出来栄えもフォトジェニックですが、別料金で個室を借りれば、食べるシーンもインスタ映えするものに仕上がります。スイーツ作りは1500円から、個室は1時間2000円で、6名まで利用できます。クッキングスタジオに併設してすでに3店舗がこのスタイルで運営しています。利用客は高校~大学の女性がほとんどですが、カップルで楽しむケースもあるそうです。インスタ映えする体験をデートでも! というのが若者世代の志向かもしれません。

手軽にスイーツ作りを体験できる「Whip」

家族で楽しめるショッピング空間

ジュンヌの改装はまだ進行中で、9月にオープンしたのは全72テナント中の60店です。グランドオープンは18年3月を予定しています。女性ファッションの横に卓球を楽しめるスペースもオープンするそうです。渋谷などで人気の卓球バーのエッセンスを導入するそうです。女性同士で、または家族が百貨店で卓球を楽しむようになるとは・・・。時代の流れは読めないものです。

テナントの7割近くが刷新され、売上構成比はファッション系が50%、雑貨が35%、サービスが15%を計画します。
子供の一時預かり所もそごう・西武では初導入です。また、千葉県で初めてレゴ・スクールを開設しました。いずれも子供を預けてお母さんが気兼ねなくショッピングを楽しめることを可能にします。

レゴ・スクールでは、教材としてレゴを提供しますが、レゴそのものは販売しません。レゴの組み立て方を教わったら、家でも作りたがるのではと思いますが、レゴ売場はジュンヌにはないものの、隣接する本館にはちゃんとあります。ジュンヌではコト体験、本館は物販を中心という役割分担になっています。
コスメなども同様で、カウンセリング化粧品などは本館で、ジュンヌにはセルフ商品の一部があるだけです。本館とジュンヌは、4階と地下1階の連絡通路でつながっています。コト体験と物販で、両館の回遊を高めるねらいがあります。
ジュンヌはかつて、20~30代女性のファッションを深掘りした専門館として本館との補完関係にありました。今はより幅広いターゲットのさまざまなライフスタイルに対応した補完関係を構築しています。

子供の一時預かり施設「ママズスマイル」を導入

自由な売場動線で顧客の発見を促す

ジュンヌで取り組んだ挑戦の1つが、テナントのゾーニングです。ジュンヌ館は六角形の外観が特徴で、店内もエスカレーターの昇降口を中心に六角形になっています。以前はショップごとに仕切った構成でしたが、改装によってエスカレーターから放射状に什器を配置するスタイルに一新されました。

ショップごとの仕切りがない放射状に広がる売場には、顧客の流れを変えるねらいがあります。ブランドごとの世界観を表現するには閉じられたショップ形式の方が作りやすいのですが、閉じられた世界観はかえって顧客を呼び込みづらいものにしているという課題もありました。自由に行き来しやすくすることで、顧客に新しい発見を促します。
こうした売場編集は、これまでの店舗にもなかったわけではありません。ただ、百貨店の自主編集というスタイルで取り組むことが多く、商品も百貨店が仕入れて販売していました。ジュンヌの新しさは、テナントの専門店がそれぞれ従来にない売場スタイルに取り組んでいている点です。百貨店とテナントの協業で、壁面を使わない売場(これを平場といいます)を改革しました。

1~3階がこのような売場になっており、放射状の平場を取り囲むように壁面を使ったショップも配置しています。
グランドオープンとなる18年度は、ジュンヌ単独で年商90億円、16年度対比で25%増を計画しています。

六角形が印象的な売場レイアウト

まとめ:女性が心地よく買物を楽しむには? を追求

ジュンヌ改装による、そごう千葉店のリニューアルポイントをまとめます。

  • 女性ファッション特化から、より幅広いライフスタイルへの対応
  • 物販だけでなく、体験型のコト提案を強化
  • コト提案のポイントは、フォトジェニックであること
  • ジュンヌのコト提案と本館の物販による相互補完
  • 平場の動線を自由に、ドリンク片手に楽しむスタイル提案

商品を探して購入するだけならネットでもできますが、リアル店舗の空間を活かした楽しみ方で来店動機を作り出そうとしています。女性を中心とした顧客がショッピングを楽しむにはどういった機能が必要かを考え、より心地よい空間をかたちにしたのが新生ジュンヌです。with ドリンクで買物を楽しむ空間では、接客のあり方にも新しい変化が生まれるかもしれません。

この記事を書いた人
宮川耕平

流通業界紙で12年にわたり記者として勤務。スーパーやコンビニなどの小売業のほか、食品、酒類、流通に関連するIT分野を幅広く取材。キャッシュレスやペーパーレス、働き方改革をテーマに活動中。

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