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「Rakuten Pasha」は単なるO2O広告に留まらない。次世代型デジタルマーケティング手段

2019年6月19日(水)~21日(金)、東京ビッグサイトにて開催された「第11回販促・マーケティング総合展」の講演プログラムから、楽天株式会社の「デジタルマーケティングが切り拓く新しいオフライン購買」を聴講しました。講演者は楽天株式会社の執行役員、紺野俊介氏です。

実店舗での購買行動を、どのようにデジタル化しオンラインへと情報還元するか。デジタルマーケティングを活用したい実店舗にとって、一つのケーススタディとなる事例であると感じました。

【目次】

今後のインターネット広告は個人IDベースが主流に

紺野氏「同業に近いAmazon、アリババが広告ビジネスに名乗りをあげているタイミングです。アメリカではgoogle、Facebookに続く第三のプラットフォームとして、Amazonが取り上げられています。

これまで「Cookie」を元にした広告配信ビジネスがインターネットの特徴の一つでした。広く告げると書く「広告」に対して、パーソナライズによる「狭告」、1to1マーケティングを可能にしてきたのです。

EUのGDPR(General Data Protection Regulation=EU一般データ保護規則)の施行にみられるように、Cookieの使用が難しくなってきているなか、これからは個人が持つ「ID」を使ったインターネット広告、IDを使うことを利用者本人の許諾を得た広告が主流になっていくでしょう。」

メモ:cookieベースマーケティングからの脱却

Cookieを使った分析が行えなくなると、MAやDMPツールで多用されてきたターゲティング広告が配信できなくなります。ユーザーの行動がトラッキングできず、広告の効果測定もできなくなるからです。
日本では、cookie単体では個人情報に当たらないが、複合的な要素で特定可能なため、現時点では微妙なラインと判断されています。

しかし、今後Cookieが規制されることも見据え、新しいデジタルマーケティング手法を確立していく必要が出てくるのです。

オンラインとオフライン、広告と購買をつなげる

紺野氏「広告主や事業者側が自社で抱えているデータだけでは限界があります。プラットフォームであるgoogleやFacebookと連携はするが、本当の意味での1to1マーケティングが出来るわけではなく、ユーザーの行動証明も取れません。
仮説の上のA/Bテストによる改善がこれまでのマーケティングトレンドでした。そうしたマーケティング領域では「クリック」が重視され、クリック率が高い方が良い施策であるという幻想が生まれていたのです。

これまで広告主が販促活動を行う際に、どういったユーザーが購入していたのか、競合他社の商品も含めた購買データなどは取れておらず、流通サイドやメーカーサイドと結びつけることは非常に困難で、最適化できていませんでした。
これからの顧客理解はIDをキーにし、一人一人のパーソナライズが適切に行われると考えられます。」

メモ:Cookieによる不確実なターゲティング

実際はロボットがクリックしていたり、クリックされなかった方がユーザーに刺さっていたり、その場合コンテンツの評価はどうなるのか、そもそもの前提が崩れてしまいかねません。
クリック重視のマーケティングが主流ですが、Cookieによる不確実なターゲティング配信が起こるのはこうした背景がありました。

オフラインコマース領域へのアプローチ手段「ID」

紺野氏「オンライン上では、購買する、決済するといった時にIDや入力された個人情報を元に様々なデータを構築しています。

対してオフラインサイド、たとえばPOSデータはお客様の属性を仮説に基づいて入力するフローでした。曖昧なデータであり、場合によっては間違っていることもあったでしょう。小売店では長らくその曖昧なデータに基づいて分析をし、PDCAを回してきたという状況でした。

オンラインと同じように、オフラインでも「Rakuten Pasha」というサービスを通じてデータ取得を実現できるようになってきました。
「Rakuten Pasha」は楽天IDを持ったユーザーが、店舗で買い物をし、レシートを「パシャッ」と撮影して送信すると、楽天ポイントが付与される仕組みです。これは実店舗側の店頭負荷なしに、迅速かつ柔軟に利用できる成果報酬型APIです。

https://pasha.rakuten.co.jp/

2018年に「ONE」というレシート情報買取アプリがローンチされ、一時期話題になりましたが、レシート情報を取得しただけでは価値のあるデータにはならないという状況です。

楽天IDには、顧客情報、オンラインでの買い物情報やクーポン利用情報、ユーザーから許諾を得た上でロケーションデータを取得、行動情報なども含まれています。「Rakuten Pasha」を通じてレシート情報を取得することで、購買行動をオフラインサイドでも明確にしていくことが可能になっています。」

メモ:ユーザーの許諾を得た明確な情報を活用

重要なのが、個人情報の取り扱いにおいて「ユーザーから許諾を得た上で行う広告行動」ということです。
これまでのように曖昧で主観的なデータから、ユーザーの許諾を得た明確な情報を活用していく方向へと移行する、過渡期にきているのではないでしょうか。

決済データではない「オフライン購買情報」が計測できる

紺野氏「決済データはユーザーの情報を細かく持つことできないため、マーケティング活用の難しいデータです。それに対し、「Rakuten Pasha」ではユーザーの許諾を得て購買データを預かりますので、IDと結びつけて様々なデータとして活用ができます。

ユーザーに対してリテンションをかけていくためにも、ポイントを切り口にしてユーザーとオンライン・オフラインをつなぐことが重要な点であるといえます。

リアルなエリアマーケティングで行っている価格調査と、「Rakuten Pasha」で取得した購買データとを掛け合わせたダイナミックプライシングや、適切な商品在庫管理などが可能になってきます。

ユーザーIDと紐づいたオフラインの購買情報によって、併買傾向や時系列の追跡もできます。これまで見えていなかった生活に基づいた情報を見ることができるようになってきます。

楽天というオンライン企業がオフライン情報の利活用を行うことで、ユーザーのペルソナやバックグラウンドにある情報に紐づいて提供されるということです。」

購買データ+楽天IDで見える新しいデジタルマーケティングの世界

紺野氏「様々なメディアがデジタル化し、IDに基づいた効果を計測してPDCAを回していくことになるでしょう。テレビは現在世帯という単位で分析しているため難しい分野ではありますが、『このユーザーにはこのテレビCMが最適である』というように、今後はIDに基づいたパーソナライズ化が進むと考えられます。

また、販促プロモーションでよくあるサンプリング手法に関しても、ただバラまくのではなくターゲットのみに配布するなどの効率化が期待できます。IDを持っていれば効果測定もきちんとできます。

IDによるコマース全体での理解が進み、シングルソースからクロスチャネルへと広がっていくでしょう」

さいごに

これまで実店舗では難しかったオフライン購買情報とロケーションマーケティングの連動や、セグメント・インセンティブの自動最適化が進むと期待されます。

IDを連携させることで単なるO2O施策を超え、デジタルマーケティングの新しい領域へ踏み込む一歩になるのではないでしょうか。

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