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アメリカの小売業低迷の理由は本当にAmazonだけ? 相次ぐ米・小売業の大量閉店の原因とは

    目次

  • アメリカで小売業が廃業に追い込まれている理由
  • Eコマースは本当にアメリカの小売業を脅かしているのか?
  • 国外のスーパー参入で脅かされるアメリカのスーパー
  • 敵は国内にもいる:Amazon FreshとAmazon Go
  • まとめ

アメリカの小売業では閉店が相次いでいます。
以下のBusiness Insiderの記事では、2017年に閉鎖される小売業について報じています。記事の中では、Macy’s, BCBG、Abercrombie & Fitchといった衣料品を扱う企業の廃業が取り上げられており、がらんどうになったショッピングモールの写真が多く掲載されています。まるでゴーストタウンのようです。

参考:Business Insider アメリカにあふれる「墓場」のようなショッピングモール
https://www.businessinsider.jp/post-1440

アパレル業界だけではありません。アメリカの大手スーパーマーケットKmartは事業縮小の一途をたどっており、近年は従業員のレイオフや実店舗の閉店を進めています。Kmartを傘下に入れている百貨店のSEARSも同じく事業縮小を行っています。このことから、非常に厳しい経営状態であることが伺えます。

2017年に入ってからアメリカの小売業で閉店した数は3,000店舗以上と言われています。アメリカの小売業では一体何が起こっているのでしょうか?

アメリカで小売業が廃業に追い込まれている理由

Bloombergの記事では、2017年に入ってから急速に小売店が閉店している点について論じています。以下のグラフを見てもわかるとおり、2017年は推定値ですが閉店するであろう店舗の数は突出しています。

(出典:Bloomberg America’s Retailers Are Closing Stores Faster Than Ever)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-04-07/stores-are-closing-at-a-record-pace-as-amazon-chews-up-retailers

2017年は推定値ですが、アメリカで8,600以上の小売店の店舗が閉店すると見られています。

ここで槍玉に上げられるのがオンラインショッピング、Eコマースの存在です。Amazonはまさにその典型とも言われており、膨大な商品数の中から最安値を比較することができたり、ニーズに合わせた配達サービスを利用できるため、このような理由が原因で実店舗の小売業が廃業に陥っているのではないかという見方もあります。

アパレル販売を行っているUrban Outfittersの最高経営責任者であるリチャード・へイン氏は、見解をこう述べています。
「アパレルが住宅業界のようにバブルを生み出し、そして今そのバブルがはじけようとしている。店舗のドアが閉まり、地価は下がっていくという結果を私たちは見ている。このトレンドは近い将来続くどころか、さらに加速するかもしれない。」

“This created a bubble, and like housing, that bubble has now burst,” he said. “We are seeing the results: Doors shuttering and rents retreating. This trend will continue for the foreseeable future and may even accelerate.”
(出典:Bloomberg
America’s Retailers Are Closing Stores Faster Than Ever)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-04-07/stores-are-closing-at-a-record-pace-as-amazon-chews-up-retailers

上記の発言でリチャード氏はAmazonなどEコマースのことには触れておらず「バブルがはじけた」という見解を示しています。

では、Eコマースが小売業に及ぼした影響はどうなのでしょうか?

Eコマースは本当にアメリカの小売業を脅かしているのか?

Business Insiderの記事では、小売業が廃業に陥っている原因はAmazonをはじめとしたEコマースの隆盛だけが原因ではないと論じています。

しかし、eコマースの売上高は、金額にして小売業全体の8.5%に過ぎない。残りの91.5%は、未だ実店舗での買い物だとアメリカ国勢調査局のデータが示している。
だとすれば、モールや店舗の客はどこに流出しているのだろうか?
(出典:Business Insider アマゾンではなかった…… アメリカの小売業を低迷させた2つの元凶)
https://www.businessinsider.jp/post-100448

Eコマースでの売上高が大幅に伸びているのかと思いきや、小売業では全体の売上高の1割にも満たないという衝撃の事実です。もちろんEコマースも実店舗型小売業の売上高減少に歯止めをかける原因として挙げられるかもしれませんが、それだけが原因というには裏付けが乏しく、現存している小売業で売上高が相対的に落ちていることになります。

同記事の中では、不況でアメリカ人の消費が落ち込んでいるにも関わらず、小売業者の過剰出店により小売業の販売面積が一人の必要な小売面積が2倍も3倍もあること、また消費が物ではなく体験にシフトしてきたという点にも触れ、従来の小売業の経営が危うくなった原因について分析しています。

国外のスーパー参入で脅かされるアメリカのスーパー

小売業には国内だけの競争だけではありません。外国からの競合もアメリカに参入してきます。

今年に入りドイツの大手スーパーマーケットLidl(リドル)がアメリカに参入しました。Lidlはドイツをはじめとしてヨーロッパ諸国に店舗を広げるスーパー。

以下の記事によると、Lidlは2017年にアメリカ東海岸で10店舗がオープンし、来年の中旬には80店舗が新たにオープンする予定と報じられています。またLidlの全体的な価格はアメリカ大手スーパーマーケットであるWalmart(ウォルマート)より9%も価格が低いとされています。なぜここまで安い価格設定ができるのでしょうか?理由は商品の仕入れ方法や店舗経営にあります。

Lidlの特徴:

・プライベート商品が多くある
・商品の選択肢が限られている
・売れ筋商品を多く仕入れている
・店舗の広さが大きくない
・店員の数が少ないこと(人件費がかからない)
・入荷時の箱のまま陳列する
・外光を取り入れることで照明を減らす
・広告費をかけすぎない

(参照:Business Insider A German grocery chain that's coming to America is already dominating Walmart on prices — here's why it's so cheap)
http://www.businessinsider.de/how-lidl-keeps-its-prices-down-2017-6?r=US&IR=T

筆者は現在ドイツに在住していますが、Lidlはドイツ国内の都市に多く点在しています。Lidlは品質の高い商品が多い割に価格は安めです。ドイツには他にもRewe(レーヴェ)、Aldi(アルディ)といった商品の質が高く価格も高めな大手スーパーマーケットが存在しますが、それに比べるとLidlは若干価格が低いように感じます。
Lidlのようなスーパーマーケットの経営方法は、実はドイツでは当たり前のことであり、どこも上記の価格を低くする理由で挙げた方法をとっています。一見顧客にとっては不便に思えるこの仕組みは、結果的に価格の低下を実現しているため、当たり前のこととして受け入れられています。

このようなドイツ式の小売業にどう立ち向かっていくのかが、アメリカの小売スーパーマーケットの新たな悩みと言えるでしょう。

Vytautas Kielaitis / Shutterstock.com

敵は国内にもいる:Amazon FreshとAmazon Go

近年ではAmazonがWhole Foods(ホールフーズ)を買収したことが大きく取り上げられ、この買収はAmazon Freshの拡大を狙ったものであると言われています。

Amazon FreshはAmazon独自の食品倉庫から注文先へ配達が行われる仕組み。生鮮品は誰もが日常的に買うものであるので、Amazonがここに目をつけたのでしょう。Amazonはその他にもAmazon Goというレジを通さずに商品の会計ができる新技術を開発しており、これが実現化されればスーパーのみならずコンビニエンスストアなどがAmazon Goが広がることによりその煽りを食うのではないかと言われています。これはスーパーやコンビニを営んでいる経営者の新たな悩みの種にもなっていることでしょう。

まとめ

2017年に入り、アメリカの小売業で閉店や廃業が相次いでいる理由については、はっきりとしたことは判明していません。もちろんAmazonを始めとしたEコマースも、実店舗型の小売業になんらかの影響は及ぼしていると思われていますが、それだけとは言い切れません。

消費者の消費の対象が明らかに変わってきていること、また小売業を営む店舗数が多すぎることはアメリカの小売業が行ってきた従来の経営方法では太刀打ちができないことを意味しています。これからアメリカの小売業では、生き残りをかけた店舗縮小と人員削減がしばらく続くことでしょう。

国内の消費の低迷に加え、アメリカ国外からの小売業が参入し、Amazonの「何でも屋」が成功していけばまさに泣きっ面に蜂という状況です。小売業界においては、これからは経営の方法を抜本的に変えるなどの工夫が必要になることでしょう。アメリカの小売業の今後に注目が集まります。

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