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ロボットが「一人一台」になる未来がやってくる。新協創時代に求められる対人ロボットと人の関係

2035年にロボット市場は10兆円規模になると予想されています。
サービスロボット、産業ロボット、RPAなど、様々な種類のロボットが活躍する未来がやってくるでしょう。

スマホ・携帯電話が一人一台の時代になったように、やがてロボットも一人一台の時代が来るかもしれません。

本記事ではサービスロボットの中でも接客ロボットや対人ロボットに焦点を当て、店舗活用の可能性と未来について考えてみます。

【目次】

過去のロボットと未来のロボットの違い

過去のロボットと未来のロボットの違いはどこにあるでしょうか。ロボット技術の複合的な進化によって、命令したことをこなすだけの機械から、人間とインタラクティブな関係性を築くロボットも開発が始まっています。

とはいえ、実用化まではまだ時間がかかりそうです。理想的なユースケースであればまだしも、どんなシチュエーションでもスムースに会話できるようなシステムは構築されていません。

AIスピーカーは「〇〇して」といった命令に従ったアクションをすることはできても、より最適な提案をしたり、日常会話を人間同士のように楽しむことは様々なハードルを超えなくては成立しません。

限定的シチュエーションであれば、現段階の技術でも対人や接客活用もできると思いますが、トータルで考えるとドラえもんのような立ち位置にはまだまだなり得ないのではないかと考えます。

これから対人ロボットはどのように活用されるのか

高価格の法人向けロボットであれば、正直いろいろなソリューションとモデルがあり得ると思います。既に店舗や施設で活用されているケースを挙げてみましょう。

ケーススタディ1:病院で警護と看護補助をするロボット

病院内を深夜警備するロボットはどうでしょう。ナースコールが入ればまずはじめに急行し、温度センサーで入院患者の体温を測り、心拍数などのデータを読んでナースコールの情報を補完するなども、ありそうですよね。

ケーススタディ2:店舗案内と棚卸しをするロボット

2018年、パルコではAIスピーカーの技術を活用して、来店客の希望を聞き、該当の場所に自走して案内する接客ロボットの実証実験を行いました。

また、閉店後に店内を巡回しながら商品に付けられたRFIDタグを読み取って棚卸しを行うなど、店舗業務の一部を代替するとして注目されました。

ロボットのメリットとして、電源さえ確保できれば24時間稼働が可能なことです。
開店中は接客ロボット、閉店後は警備や棚卸しといったバックエンド業務を任せられれば、人的リソースの軽減に繋がるでしょう。

https://www.parco.co.jp/pdf/jp/cname_20180511132741.pdf

ケーススタディ3:駅で利用者からのお問い合わせに対応するロボット

デジタルサイネージの横にSotaやロボホンなどのミドルサイズのロボットを配置する例もあります。小型で子供が飛びつきやすく、大人がその横でサイネージなどから情報を得る、というシチュエーションも想像しやすい例です。

トランスコスモスが日本オラクルと共に進める「案内AIみんなで育てようプロジェクト」では、駅構内や駅周辺の案内、お土産案内といった情報をロボホンが提供しています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000828.000000183.html

https://robohon.com/

ロボットがリストラされている!?

前項で挙げた事例はケーススタディや実証実験中で、どれも完全に実用化されているとはいえない段階です。

ロボットホテルとして脚光を浴びた「変なホテル」では、オープン時に導入していたロボットの半数をリストラしました。宿泊客の質問や要望にきちんと対応できない、就寝中のいびきに反応して眠りを妨げられた、といった「ロボットに期待された役割をまっとうできない」ことに対するリストラだったようです。

また、ソフトバンクが法人向けに展開している「Pepper for Biz」の契約更改を行わない企業が15%に留まるなど、ロボット活用の場が狭まっているようなニュースも見受けられます。

ロボットリストラ時代は世代交代のあらわれ

しかし、元々「変わり続けること」がコンセプトの変なホテルは、新たにロボホンをコンシェルジュとして採用しました。
pepperは「必ずしもpepperである必要がない」という判断が下され、他のアプリで代替運用されるケースもあるようです。

ロボットが使われなくなっているというよりも、日々技術革新が進むロボット業界では、世代交代の波が訪れるのがどんどん早くなっているのかもしれません。

ロボット市場が拡大するためのポイント

これから拡大する、本当にロボットの時代が来るのかどうかは、家庭向けの市場が明暗を分けてくると考えています。
一般の人にも触れる機会のあるロボットとしてPepperやASIMOが思い浮かびますが、個人的に注目するべきシチュエーションは、家庭向けの低価格レイヤだと思います。
入手しやすい、パーソナライズが簡単なロボットがどれだけ普及するかが鍵になってくるでしょう。

センサー技術の向上

ロボットには何らかのセンサーが搭載されており、センシングによって収集したデータを元にプログラム制御されて動作します。決まった動きしかしない機械と違い、周囲の環境を数値化して分析し、自立的に作業を行うのがロボットといえます。

家庭向けであれば、スマートホームなどのIoTプラットフォームが普及すれば、情報収集はおのずとしやすくなるでしょう。

センサー技術の精度向上や、AIや機械学習を活用した分析プログラムの進化が進めば、あらかじめプログラムされた会話以外での自発的なコミュニケーションが取れるようになるかもしれません。

ロボットに接客されるのは「怖い」?「話しかけやすい?」

ロボットに接客された時の感想として、「怖い」「冷たい」といったネガティブなものから、「威圧感がなくて良い」「人間のスタッフよりも気軽に接することができる」といったポジティブなものが見受けられます。

さらに、どの程度のスキルを持っているのか、話しかけてきちんと応対してくれるのか、といった「期待値」が心理的ハードルとして加わるため、接客ロボットとして成立させるためにはある程度接客される側の人間にも心構えや慣れが必要になってくるでしょう。

「不気味の谷」を超えるか、デフォルメするか

見た目や動きによっても、親しみやすさは変化しそうです。
ロボットにどれだけ親近感を覚えるかは個人的な感覚によるものの、中途半端に人間と同じようなフォルムにしてしまうと余計違和感を覚えてしまいます。これを「不気味の谷」と言い、人物や人間的なものをデザインする上で非常に重要なマイルストーンとなっています。超えてはいけないポイントですね。

ある程度人間に似せていく程度であれば、「人間っぽい」「かわいい」「綺麗」などと評価されるのですが、似せすぎると途端に不気味に感じます。これは、ある程度のところまでは「作り物として見て、人間に似ていることを評価」するらしいのですが、一定のレベルを超えると、「人間として見て、人間ぽくない場所が目につき始める」ためにこのように感じるのだと言われています。

反して極端にデフォルメしても人間は3つの点だけで顔と認識することができます。2つの目らしき点と一つの口らしき点があれば、人はそれを顔と感じるわけです。車を見て顔のように思う人がいますが(私もその一人ですが)、基本的にはこの理屈ですね。ヘッドライトが目で、たいていの場合フロントグリルが口です。これはシミュラクラ現象といわれるもので、顔をデザインする上で最低限度のデザイン要素を示しているといえます。

しかし、後ほど紹介する「PLEN Cube」のように、適切な動きをしていれば、目も口もない単なる四角でもかわいい、と感じることもできるのですから、人間とは不思議なものですね。

ロボットはいつか「友達」に

少し話が変わりますが、日本人は宇宙人を隣にいるかもしれない友達として描いていることが多いようです。海外だとH.G.ウェルズの宇宙戦争のように、あるいはインディペンデンスデイのように宇宙人は悪者として描かれていたりします。

日本の宇宙人観はどちらかというと友達と言うケースが多いように思います。遠い星からやってきた友達、というキーワードだけでいろいろと思い浮かぶキャラクターがあったりする一方、海外では恐ろしい征服者だったりもします。もちろん「ガニメデの優しい巨人」のような例もありますので、あくまでもざっくりとしたイメージですが、海外と日本での宇宙人観は違っているように思います。

ところが、スターウォーズのR2-D2でもC3POでも、スタートレックのデータでも、とにかく、ロボットやアンドロイドは海外でも友達だったり、友達に近い何かだったりします。日本でもドラえもんのようにロボットは友達として描かれ、場合によってはスマホだって擬人化されることもありますね。

このように、ロボットはどこの国でも友達的なニュアンスが強いようです。
アイザック・アシモフのロボット三原則が、そう言った創作の後押しをしているようにも思います。

友達になってくれるロボットの登場が待たれる

仕様面以外でロボット市場が拡大するための一番のポイントは、そのロボットが「友達になってくれること」以外のなにものでもないと考えます。

そばにいて不自然ではなく、的確に日常生活をアシストしてくれるようになれば、スマホのように一人一台ロボットを持つ時代がやってくるのではないでしょうか。

親しみやすい対人ロボットの事例

社会生活をサポートしてくれる機能や親しみやすいデザインを備えたロボットをいくつかあげてみます。

ユカイ工学 BOCCO

「家族を繋げる」ことを目的としているBOCCOは、スマホアプリを通じて伝言を伝えるコミュニケーションロボットです。
振動センサーや鍵センサー、人感センサーなどの各種センサーを組み合わせて、遠隔で家族の様子を知ることができます。
見た目はぽってりとした玩具のロボットのようで、小さな子供でもシンプルな操作で使うことができます。

また、ユカイ工学では次世代版コミュニケーションロボットとして「BOCCO emo」を開発中で、これまで「〇〇して」という命令形で一方向だった会話を、双方向にするということです。(ただし、日本語で返答するのではなくロボット言語「BOCCO語」を使うとか。)

ヴイストン Sota

普及型社会的対話ロボットとして展開中の「Sota(ソータ)」は、カメラ、マイク、スピーカー、ネットワーク機能などを搭載したテーブルに置けるサイズのコミュニケーションロボットです。
用途や目的に応じて以下のプランが用意されています。

  • ロボコネクト版Sota…対話制御や介護レクなどの機能を持つ。一般向け
  • プレゼンSota…Microsoft power pointと連動してプレゼンテーションを行う。オフィス用途
  • Sotaデベロッパー版…アプリケーション開発が可能なロボットプラットフォーム。

Sotaデベロッパー版を活用して法人利用ができるため、ソフトウェア開発を行って店頭接客や多言語案内などもユースケースとして考えられます。

https://sota.vstone.co.jp/home/

店舗活用で普及を目指す接客ロボットの事例

次は、主に店舗などで接客をするロボットたちをご紹介しましょう。

富士通 ロボピン

富士通が開発した「ロボピン」は、見た目はクリオネのような、人間型とは少し違うデザインのコミュニケーションロボットです。
ネットワークカメラ、AIスピーカーなどが搭載され、店頭での実演販売や、企業の受付業務、観光案内など、人間とのコミュニケーションが必要なケースでの実証実験が行われています。

PLEN Robotics PLEN CUBE

PLEN Roboticsが開発した「PLEN Cube」は「パーソナル・アシスタント・ロボット」。
カメラ、スピーカー、マイクの機能を内蔵し、また、フェイストラッキング、音声認識、などの最新テクノロジーが活用できる小さなロボットです。
これまで、「変なバー」でのキャッシュレス決済や、カフェのサブスクリプションサービスの自動受付、見守りサービスなどの生活支援、学童保育施設の入退出管理といった活用がされています。

http://www.plenrobotics.com/

さいごに

どこまでインタラクティブな関係を人間と築くことができるのかは、まだまだ未知数だと感じながらも、やはり未来は少しずつ近づいてきているように思います。

音声コミュニケーションで対話ができる、指示を理解してくれるということは非常に強い興味を与えてくれますし、やはり未来観としては抜群です。
正直、これからどのようにビジネス化がはかられていくのか、どこまでが可能なのかはまだまだ未知数だらけだと思いますが、究極の答えを一瞬で返してくれるロボットは、やはり楽しいなと感じます。

ご相談いただいたプロジェクトにロボット活用を含めた提案も可能ですので、店舗の未来を考える時にはぜひエスキュービズムを思い出していただければ幸いです。

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この記事を書いた人

岩井 源太
株式会社エスキュービズム デジタルコンサルティング室 室長
大学生時にITベンチャーを起業後、Webインテグレーションを提供する株式会社デジタル・マジック・ラボ、アンカーテクノロジー株式会社を経て、エスキュービズムに参画。地域振興プロジェクトのプロデューサーや域内IT普及推進を行政とともに実施するなど、幅の広い業務を経験。東証一部上場企業のWebサイトおよび、Webを用いたコマーシャルプランニング、コンテンツ戦略、SNS戦略等の企画立案に携わり、数多くの”日本初のアプローチ”を生み出す。近年は、事業計画等まで延伸したリアル/デジタルの垣根を問わないPoCの企画・立案・実行に携わり、新たなビジネスモデルの提案をし続けている。

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