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「自販機コンビニ」は成功なるか?マイクロマーケットを狙うコンビニ業界

缶コーヒーのように自販機でお弁当やパンを販売する…コンビニ業界では、そんな「自販機コンビニ」の導入が進んでいます。

自販機コンビニはオフィスや病院に設置されているケースが多かったのですが、今では「コンビニ店舗内」への試験導入が始まりました。

24時間営業のあり方や人出不足など、コンビニは転換期を迎えています。この記事では、最近始まった実店舗内への自販機コンビニに期待できる効果や「マイクロマーケット」の概要、コンビニ業界が抱える課題について解説いたします。

目次:

  • 大手コンビニ3社がコンビニ自販機始動
  • マイクロマーケットで「狭く深い」マーケティングを行う
  • 24時間営業に人出不足…苦戦するコンビニ業界
  • コンビニ自販機はコンビニの救世主になるか

大手コンビニ3社がコンビニ自販機始動

セブンイ-レブン・ローソン・ファミリーマートが、ついに実店舗以外でのコンビニ営業を開始しました。各社で特徴はありますが、どこも省人化の動きがみられます。

コンビニ自販機とは

コンビニといえば、店内で商品を選びレジスタッフにお会計をしてもらう…という流れが一般的です。しかし最近では、コンビニ内に自販機を設置して無人化運営する取り組みが始まっています。

コンビニの無人化運営を実現するツールは、「自販機コンビニ」。自販機と言ってもラインナップは缶コーヒーなど飲料に限りません。お弁当やパン、おむすびなどコンビニで売れ筋の商品が並びます。

自販機で食品を販売する形式といえば、サービスエリアに並んでいるイメージが強いのではないでしょうか。24時間営業しているサービスエリアでも、食品自販機を導入することで省人化を実現しました。

しかし自販機コンビニの場合は、通常営業しているコンビニの中に設置されます。0時から6時など深夜の営業時間を、自販機コンビニのみで運営する実証実験が始まったのです。

実は数年前から、オフィスや病院内にコンビニ自販機を設置する動きは進んでいました。「すでに社内にある」というビジネスマンもいることでしょう。

しかし転換期を迎えるコンビニ業界ではさらに省人化を目指し、コンビニの実店舗でも自販機を導入しようとしているのです。

セブン-イレブンのコンビニ自販機

2020年3月、セブン-イレブンでは「夜間自販機営業」として、練馬区の直営店でコンビニ自販機の実証実験をスタートさせました。0時~6時の深夜のみ、コンビニ自販機をメインとして営業を行っています。

コンビニ自販機がメインではありますが、自販機には商品の補充が欠かせません。そこでセブン-イレブンは、自販機の商品補充やトラブル対応の目的で店舗に従業員も配置しています。

2017年から導入している「セブン自販機」は、商品によって20℃、12℃~20℃、10℃以下と3種類の温度管理ができる点が特徴です。お菓子やドリンクに限らず、サンドイッチやカップラーメンといった食品も販売しています。

コンビニ自販機の実証実験では、以下6台を配置。改装して自販機専用スペースを配置し、本格導入を目指しています。

  • セブン自販機(温度設定できるものと、常温販売の2台)
  • 冷凍食品専用自販機
  • 飲料自販機
  • たばこ自販機
  • セブンカフェ自販機

実は他社がコンビニ自販機を導入し始めた2017年、セブンイ-レブンは静観の姿勢を見せていました。しかし今ではコンビニ自販機の試験導入を開始したため、ついに大手コンビニ3社が出そろった状態となります。

ファミリーマートのコンビニ自販機

セブンイ-レブンと同じく2020年3月、ファミリーマートも実店舗での自販機コンビニによる無人店舗の実証実験をスタートしたと発表しました。

0時~6時の深夜に限って無人売り場となり、深夜営業中はレジスタッフも配置しません。利用者は顔認証で入店し、セルフレジでお会計をする仕組みです。商品の補充は、複数メーカーの飲料自販機を取り扱うメーカーが担当します。

ファミリーマートが設置する自販機コンビニは、以下の2種類です。

  • 標準機…最大60アイテム陳列でき、パンやおむすび、サラダやサンドイッチを販売
  • 弁当機…最大41アイテム陳列でき、お菓子やおむすび、カップラーメンやスープを販売

ファミリーマートは、買収したam/pmが2005年から取り組んでいた自販機コンビニの開発を進め、2010年から本格的に展開しています。2020年1月末時点でおよそ1900か所・2400台もの自販機コンビニを設置しています。

ローソンのコンビニ自販機

ローソンも「プチローソン」というオフィス内コンビニを導入していますが、上記2社と違い自販機タイプではありません。お菓子やドリンクが中心で、商品セレクトはローソン側が行います。

しかしお会計はローソンアプリの「ローソンスマホレジ」で決済するため無人化で運営できる仕様です。

https://www.lawson.co.jp/lab/app/art/1387738_8411.html

マイクロマーケットで「狭く深い」マーケティングを行う

自販機コンビニの導入をはじめ、コンビニは物流センターや工場、学校といった閉鎖的なエリアを狙ったマーケットにも力を入れています。

マイクロマーケットは「小さな商圏


マイクロとは「微小」や「非常に小さい」という意味であり、マイクロマーケットは「小さな商圏」となります。マイクロマーケットの具体的な商圏としては、病院や物流センター、小売店が非常に少ない田舎や学校などが挙げられます。

上記のようなごく限られた商圏で自販機コンビニを出せば、商圏内の消費者は他店と競合することなく購入してくれます。

また、最近では人口減少や高齢化に伴い、今まで通りのマーケティング戦略では頭打ちになってしまいました。全国に5万店以上出店が進んだコンビニ業界では、生き残るために新たな戦略が必要です。

限られた商圏の消費データが分析できれば、狭く深く消費者に刺さるマーケティングができます。

自販機コンビニも購入履歴をすべてデータ化できますから、「0時~6時の間で、特にこの時間帯が売れる」「この商品が売れている」といったデータが取得できれば、さらにラインナップが充実するでしょう。

人出不足の解消効果もある自販機コンビニは、これからもっと競争が激化するかもしれません。

市場の縮小で成功した「オフィスグリコ」

国内でマイクロマーケットの事例として有名なのは、オフィスグリコです。オフィスグリコは「リフレッシュボックス」という箱にお菓子が収納されており、付属の貯金箱にお金を入れて取り出します。

どの商品もほぼ100円(例外あり)という手軽さで人気の置き菓子ビジネスで、「自社にも設置している」という企業も多いのではないでしょうか。

「残業の合間に気軽にリフレッシュしたい」「コンビニに行く暇がないほど忙しいが、小腹を満たしたい」というビジネスパーソンのニーズを満たす、画期的なサービスといえます。

実はオフィスグリコは「置き菓子」という名前で商標登録を取得していますし、2007年にはそのビジネスモデルで特許を取得しています。お菓子業界がコンビニ業界で競合している間に、グリコはいち早く「マイクロマーケット」に目を付けてマーケティングを行っていたのです。

2000年初頭からオフィスグリコを展開したグリコは、これまでに13万台を超えるリフレッシュボックスを設置して成功しています。

参照:IT media ビジネス 売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1606/23/news020.html

オフィスグリコ以外にも、多くの企業がオフィス内へコンビニサービスを導入し始めています。評判のよいオフィスコンビニについては、オフィスコンビニとは?評判のよいオフィスコンビニ9社を比較【最新情報】でも詳しくご紹介しています。

米国ではヘルシー商品で利益が上がる

健康志向が高まっている米国では、人工添加物などを含まない「お菓子」へも関心が高まっています。コンビニ商品よりヘルシーな商品を求める層にも「マイクロマーケット」が存在するため、その市場を開拓することで成功した企業も存在します。

たとえばThe Better Chipという米国の企業は、健康に配慮した「スマートスナック」の販売で利益を上げています。

 
 
 
 
 
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スマートスナックとは、脂質や塩分などを押さえた健康志向の高いお菓子のことです。The Better Chipでは遺伝子操作ではないトウモロコシといった新鮮な野菜を原料としており、グルテンフリー・塩分カロリーカットなどヘルシーなお菓子を作っています。1袋当たりの価格は約3ドルと高めの設定ですが、健康志向が高いユーザーに支持されているのです。

国内でも各社が自販機コンビニを導入しはじめているため、これからは米国のように「特定のニーズ」に向けたマイクロマーケット戦略が始まるかもしれません。

日本でも運動不足解消や健康に配慮する消費者が増え、フィットネスブームが到来しています。ごく普通のビジネスパーソンがパーソナルトレーナーをつけるケースも少なくありません。

上記のような健康志向が高い消費者が集まるエリアなら、「スマートスナック」といったマイクロマーケットにも勝機があるでしょう。

24時間営業に人出不足…苦戦するコンビニ業界

競うように店舗数を増やしたコンビニ各社ですが、最近ではコンビニの運営方法を巡って本社とフランチャイズでトラブルに発展した事例もありました。

人口が減少している今の日本では、24時間営業するコンビニの運営方法自体が疑問視されています。働き方改革による深夜残業の減少なども考慮すると、やはりコンビニは転換期を迎えているといわざるを得ません。

では、なぜコンビニ本社は24時間営業にこだわるのでしょうか。

なぜコンビニは24時間営業なのか

2019年では24時間営業を中止したフランチャイズに2000万円近い違約金と契約解除を求めるなど、コンビニ本社側は24時間営業体制を崩さない姿勢を見せていました。

しかし、深夜のコンビニというものは利用者数が大幅に減少します。始業時間前やランチタイムには長蛇の列ができるレジも、深夜は1台で十分足りている状態です。

それでもなぜコンビニが24時間営業にこだわるかというと、コンビニでは「24時間営業をすると昼間の売上が大幅に増える」といわれているからなのです。

因果関係は明らかになっていませんが、コンビニが24時間営業することで、消費者が「いつでも営業している」という安心感を抱くためではないかといわれています。

参照:コンビニが「24時間営業」にこだわる意外な理由
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60274

つまりコンビニが24時間営業を中止すると、以下の2つで収益の減少が危惧されるのです。

  • 深夜利用客の取りこぼし(営業時間外となるため)
  • 昼間の収益減

上記2つを合わせると、深夜営業を中止することで収益が「3割減」になるという見込みがあります。全国にある何千もの店舗で3割の収入源となれば、コンビニ本社もダメージを避けきれません。

このような理由から、コンビニ本社は24時間営業にこだわる姿勢を見せていたのです。

時短営業を希望するフランチャイズは多数

コンビニ本社は24時間営業を希望する一方で、昨今の報道でもあるようにフランチャイズ店の多くは「時短営業」の容認を求めています。

ある編集部の取材では、大手コンビニフランチャイズ店にアンケートを取ったところ、全体の「15%」もの加盟店が時短営業を希望しているという結果も出ています。時短営業を希望している店舗はオーナーが1人で運営しているケースが目立っているため、やはりコンビニ業界の人手不足が影響しているのでしょう。

参照:セブン、時短営業を希望する加盟店15% 従来の説明上回るアンケート結果
https://diamond.jp/articles/-/213967

コンビニ各社は徐々に時短営業をスタート

上記のように時短を希望する加盟店が多いことから、ついにコンビニ本社側も時短営業の導入を始めました。大手3社では、以下のようになっています。

  • ファミリーマート:2020年3月1日から時短営業希望を募集し、最短で6月1日から時短営業を実施する見込み
  • ローソン:2020年2月1日時点で176店舗が時短営業を実施
  • セブンイ-レブン:2020年2月から132店舗が時短営業を実施
    (希望加盟店は最低で3か月の実験を行い、その後時短にするか決定する)

セブンは2019年3月から、直営店舗10店で16時間の短縮営業を実施。売上や客単価などを分析し、どの程度影響があるのかを調査しています。

コンビニ自販機はコンビニの救世主になるか

加盟店側の要請もあり、コンビニ各社は時短営業を導入し始めました。もちろん店舗スタッフや加盟店オーナーの「働きやすさ」が大事ですが、加盟店・本社ともに利益の追求も疎かにはできません。

そこで期待度が高まっているのが「自販機コンビニ」の活躍です。

コンビニでは、アパレルなどのように店舗スタッフに商品説明を求めることがほぼありません。だからこそ、自販機などで「省人化」を図ることで新たな活路を見いだせるのではないでしょうか。

人手不足が深刻なコンビニ店舗でもコンビニ自販機の導入が進めば、収益が減ることを覚悟して時短営業を導入する必要もありません。それと同時に、消費者は「いつでもコンビニを利用できる」という安心感があります。

もちろん自販機の商品ラインナップも影響するでしょうが、消費者・店舗双方にとって使いやすいコンビニ運営が実現することを願っています。

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