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いまさら聞けないQRコード決済:現行サービスを種類別に分類してご紹介

先日、PayPayが大掛かりなキャンペーンを伴って登場しました。
また、LINEからもQRコードとバーコードのいずれかを使って支払いができるLINE Payが登場、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、政府もキャッシュレス決済化を後押ししています。
今回は、QRコード決済の種類と、現行のどのサービスがどういった種類に分類されるかについてご紹介したいと思います。

政府が推進するキャッシュレス決済化

政府は、まず2020年のオリンピック・パラリンピック開催までに観光地でのクレジットカード決済を充分に普及させ、2025年までにキャッシュレス決済(現金を使わない決済)を現状のおよそ2倍である40%までアップさせるとしています。

この動きは、国民の利便性だけのためではありません。訪日外国人によるインバウンド消費の増加を見越した上での見解です。
そもそも日本は現金支払いの文化が根づいており、海外と比較するとキャッシュレス化は遅れているともいえる状況。これは、

  • 日本の貨幣制度が安定していること
  • 現金のやりとりをしても釣り銭のミスや不正が少ない
  • 治安がよく現金を店舗に置いていてもリスクが少ない

といったことが関係しています。

ですが、スマホの普及や訪日観光客の増加により、国内でもキャッシュレス決済の動きが急激に高まっています。
キャッシュレス決済のうち、もっとも身近な存在であるといえるのが今回紹介するQRコード決済です。

QRコード決済には2つの種類がある

QRコードは、1994年にデンソー(現デンソーウェーブ)が開発した二次元コードです。名前の由来はQuick Responseで、その名称の通り高速で情報の読み取りができることが魅力でした。当初は自動車の部品工場、配送センターなどで使用されていましたが、次第に携帯電話やスマートにも活用の幅が広がり、現在では世界中で用いられています。

QRコードを使って支払いをおこなう「QRコード決済」は、大きく2つの種類に分けることができます。

店舗提示型のQRコード決済

店舗提示型のQRコード決済(読み取り支払い)とは、

  • 店舗側が固有のQRコードを提示
  • 消費者が店舗のQRコードをアプリで読み取り支払う

という方法のことです。
店舗が読み取り端末を用意する必要がないために低コストですぐに導入できるというメリットがあり、主に中国やインドなどで広く利用されています。国内の該当サービスについて後述します。

顧客提示型のQRコード決済

顧客提示型のQRコード決済(コード支払い)は、

  • 消費者が所持しているアプリにQRコードを表示
  • 店舗側がPOS端末で読み取り支払いをおこなう

という方法です。
QRコードを読み取れるようにPOS端末を改修させる必要がありますが、クレジットカードによる決済と似ているため、利用しやすいというメリットがあります。
これは「消費者提示型」を紹介されることもありますが、本記事では顧客提示型に統一します。

2つの種類はさらに動的/静的にカテゴライズできる

店舗提示型、顧客提示型のQRコード決済は、それぞれさらに動的/静的QRコードにカテゴライズすることができます。

動的なQRコード

動的コードは、作成されたコードがスキャンされることでデータベースに保存されます。データは指示があるとサーバーにリダイレクト(任意のWebページへの自動転送)されるようになっているため、「動的」と定義されています。

静的なQRコード

対して静的コードはテキスト形式で情報を保存するため、データを保存しても書き換えたり追跡したりすることはできないようになっています。

QRコード決済においては、次のように区別することもできるでしょう。

  • 動的サービス:スマホやタブレットに表示されるQRコードを読み取る
  • 静的サービス:紙媒体に印刷されたQRコードを読み取る

QRコード決済は、店舗と顧客それぞれに動的、静的があるため次の4つのタイプに分類されます。

  1. 店舗提示型(静的)
  2. 店舗提示型(動的)
  3. 顧客提示型(静的)
  4. 顧客提示型(動的)

では、現行の主要QRコード決済サービスがどのような分類に当てはまるのか、実際に見ていきましょう。

カテゴリ別:2018年12月現在で実施されているQRコード決済一覧

現在、国内で運用されている主なQRコード決済サービスは、10あります。

動的顧客提示型&静的店舗提示型:LINE Pay

LINE株式会社によるLINE Payは、友だち登録されているユーザー同士で送金や割り勘ができるところも強みです。
店を訪れた消費者が、店舗のアカウントと友だちになってもらうことで、支払いだけでなくマーケティング面でもメリットがあるといえるでしょう。

通常2.45%の加盟店決済手数料は、2018年8月から3年間限定で無料になっています。
LINEのアカウントを土台としていることもあり、典型的な動的顧客提示型サービスといえそうです。

また、店舗側が印刷したQRコードを提示する「静的店舗型」の決済方法も可能。QRコードのポップをレジに立てておけばよいので、今までカード決済などを導入していなかった店舗でも利用しやすいといえそうです。

画像出典:LINE pay
https://line.me/ja/pay

動的顧客提示&静的/動的店舗提示型:楽天ペイ

楽天株式会社による楽天ペイは、楽天会員IDを使ってQRコード決済をします。
実店舗とオンラインの両方で使うことができ、顧客提示、店舗提示どちらも対応可能です。
読み取りは、旧型の電子マネー決済と楽天ペイの読み取り機能をそなえた電子マネー専用リーダー端末「Rakuten NFC Reader Piu」でおこないます。
また、印刷したQRコードを消費者に読み取ってもらう静的な店舗提示型サービスにも対応しており、さまざまな方法での決済ができることが強みといえるでしょう。
加盟店手数料は、3.24~3.72%で条件によって違いがあります。

画像出典:楽天ペイ
https://pay.rakuten.co.jp/index_pc.html

動的顧客提示型&静的店舗提示型PayPay

ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社、2社によって設立されたPayPay株式会社が提供するQR決済がPayPayです。
「100億円あげちゃうキャンペーン」など、大掛かりな宣伝で一躍認知度が高まりました。

このPayPayにより、ヤフーの「Yahoo!ウォレット」機能の一つであった従来の「スマホ支払い」はサービスを終了しています。
PayPayの特徴は、中国のキャッシュレス決済の主流派であるアリペイ(支付宝)にも対応可能なこと。店舗側でアリペイ用のQRコードを記載したポップを立てておけば、インバウンド消費にも対応可能としています。

画像出典:PayPay
https://paypay.ne.jp/

動的顧客展示型&動的/静的店舗提示型:Origami Pay

Origami Payは、日本経済新聞が決定した日経優秀製品・サービス賞2017において最優秀賞を獲得したスマホ決済サービスです。
事前にアプリと任意の銀行口座やクレジットカードを紐づけしておき、店頭ではQRコードを使って決済します。

スマホのQRコードを提示する方法、店頭に提示されたQRコードを読み取る方法、どちらにも対応しています。
印刷QRコードの読み取り(静的な店舗提示型)については、Origamiが発行する「ステッカーQRコード」で対応しています。
導入にかかるコストは、初期費用と維持費用0円、決済手数料は最大3.25%です。

画像出典:Origami Pay
http://origami.com/origami-pay/

動的顧客提示型:d払い

d払いは、ドコモが提供しているサービスですが、「dアカウント」に登録すればドコモユーザーでなくても使うことができます。
決済はQRコードかバーコードを提示する形式で、月々の電話料金と合算か、クレジットカード支払いかを選択できるのが特徴です。
支払いに応じて「dポイント」が貯まるため、ポイントを支払いに充てることも可能。実店舗とECサイトの両方で使うことができます。

画像出典:d払いhttps://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/

動的顧客提示型&静的/動的店舗提示型:pixiv PAY

同人即売会を中心としたイベント会場におけるキャッシュレス決済サービスが、ピクシブ株式会社によるpixiv PAYです。
現金での支払いも計上可能なレジ機能や、サークル複数人でレジ情報を共有できるアシスタント機能など、イラストコミュニケーションサービスを運営するpixivならではの機能が特徴です。
印刷QRコード用に、組み立てるだけの卓上ポップ素材が提供されています。

画像出典:pixiv PAY
https://pay.pixiv.net/

動的顧客提示型:paymo biz

paymo biz(ペイモ・ビズ)は、AnyPay株式会社によるサービスで、小規模事業者に向けたシンプルなスタイルを特徴としています。
QRコードの読み取りに使う専用端末を使わないため、スタジオレッスンや写真撮影など、形の残らないサービスの集金や支払いにも対応可能。

なお、同社がリリースしていた割り勘アプリ「paymo」は2019年5月30日で終了予定で、こちらの新規登録はすでに終了しています。paymo bizは引き続き運用されます。

画像出典:paymobiz
https://paymo.life/biz

動的顧客提示型&動的店舗提示型:pring

pring(プリン)は、「お金コミュニケーションアプリ」をテーマにした決済サービスです。
業界最安値の0.95%という手数料を設定し、導入しやすさを特徴のひとつとしています。
また、ユーザー同士がアプリ内で送受金できるなど、割り勘や後払いといった作業を消費者間でおこなえるのも特徴です。

画像出典:pring
https://www.pring.jp/shop/

静的/動的店舗提示型:PAY.JP

PAY.JPでは、PAY IDを登録することでQRコード決済が可能です。
アカウントに発行される「店舗QRコード」と商品ごとに発行される「プロダクトQRコード」があり、購入する顧客がアプリでそれらのQRコードを読み取って決済します。
PAY.JPでは、QRコード決済とは別にクレジット決済も用意されており、使いやすい方を選択することができます。またこのサービスは、Apple Payにも対応しています。
サービスを提供するPAY株式会社は、個人や小規模事業者向けネットショップ開設サービスを提供するBASE株式会社の子会社です。PAY IDに登録すると、BASE内でもクレジットカード情報の登録なしに買い物をすることができます。

画像出典:PAY.JP
https://pay.jp/

番外編:2019年2月に登場予定「ゆうちょPay」

2019年2月をめどにリリース予定とされているのが、ゆうちょ銀行によるゆうちょPayです。
ゆうちょの総合口座があれば審査不要、年齢制限なしに利用できることをメリットのひとつとして掲げています。
使用のイメージは、利用者が表示したQRコードを読み取る動的な顧客提示型とされていますが、今後、新たな情報が加わったり、仕様が変更される可能性があります。

画像出典:ゆうちょPay
https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/sokin/yuchopay/kj_sk_yp_index.html

政府による国内QRコードの規格化は実現するか

これらのサービスを一覧表にしてみました。

上記のように、国内のQRコード決済サービスは一種の乱立状態にあります。
そのため、政府は何らかの形でQRコードの規格を統一すべきではないかと考えているといわれています。現状では店舗側にQRコードを提示させる場合、10種類に対応しようとすれば10種すべてのQRコードを準備しなければなりません。

このことから、日本キャッシュレス化協会は、もし規格統一が実現するならば残るのは動的かつ顧客提示型のQRコードだろうという見解を示しています。こうした動きは確定的なものではありませんが、店舗に導入する際はこうした動向もふまえてサービスを検討する必要があるでしょう。

静的顧客提示型サービスは現在なし、その理由は?

こうしてみると、顧客提示型サービスとして静的コードを活用しているところは一社もありません。
紙に印刷したQRコードは、プリントの質によってスキャンができなかったり、不正な方法で用いられたりするおそれがあります。
顧客にとってもQRコードを印刷して持ち歩くよりも、スマホを使った動的コードの方が利便性は高いでしょう。これは、チラシなどのクーポンが徐々にスマホを活用したオンラインクーポンに移行していることからも明らか。現代社会のあり方そのものが、顧客向けの静的コードを必要としていないと思われます。
静的コードを整備しても汎用性がないので各社とも開発しない、というのが実際のところではないでしょうか。

まとめ

今回ご紹介したQRコード決済サービスの概要は、2018年12月時点のものです。
進化サイクルの早いサービスなので、これからどんどん新たなサービスや廃止されるサービスが出てくる可能性があります。
決済サービスの導入を検討する際は、自店舗の使い勝手だけでなく市場の動向をチェックすることが不可欠といえるでしょう。

※「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。

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