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事例からみるサービスロボット:店舗の課題を解決するソリューション

「ロボットに仕事をさせる」というと、オートメーションの機械が並ぶ工場など製造業での活用を思い浮かべる人は多いと思います。
しかし、現在のロボット活用最前線においては製造業とそれ以外の産業とを線引きすることなく、ロボットの使われ方を広い視野で模索するべきという考え方が主流になりつつあります。
これにより、今まで製造業で実績を出しているロボット技術をサービス業などで活用する動きがみられるようになりました。

ロボットは、店舗や小売業の課題を解決するキーとなるのでしょうか。

ここではサービスロボットが店舗で活用するためにはどうしたらよいのか、実際にどのような導入がなされているのかについて紹介しています。

【目次】

サービスロボットとは:店舗におけるロボット活用

工場に導入されているロボットは、産業用ロボットといい、それ以外のロボットはサービスロボットと総称されます。
災害や医療の現場で活動するレスキューロボットや医療用ロボット、清掃ロボット、警備ロボットなども、カテゴリとしてはサービスロボットの一種です。
現在の店舗向けロボットビジネスにおけるもっともポピュラーな存在のひとつといえるのが、人とコミュニケーションをとることに特化しているコミュニケーションロボット。
ソフトバンクによる感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper(ペッパー)」、2017年からBtoBモデルの販売がスタートしたシャープ株式会社の「RoBoHoN(ロボホン)」、台湾のファミリーマートで活躍している富士通研究所のコミュニケーションロボット「ロボピン」などがその代表です。

こうしたロボットは、コミュニケーション能力もさることながら、造形の親しみやすさもポイントのひとつ。
実際、台湾のファミリーマートでは、SNSを通じての事前プロモーションによってフォルムがかわいいと話題になり、写真撮影をするために多くの人が訪れるなど集客に大きく貢献しました。サービスロボットは、このように店舗のキャラクターとしても活躍できる可能性があります。

サービスロボットの店舗活用事例

日本ロボット工業会では、さまざまなロボットの活用事例を公表しており、そのなかに店舗におけるサービスロボットの事例も挙げられています。

・一般社団法人 日本ロボット工業会(JARA)
http://www.robo-navi.com/

とんかつ肉の仕込み作業:井筒まい泉(株)

井筒まい泉では、職人が手作業でおこなっていたとんかつ用肉の仕込みにロボットを活用しています。
まい泉は「箸で切れる柔らかなとんかつ」を提供するために肉質や部位ごとに適切な下処理をおこなっていました。しかし、職人の高齢化や人材確保が困難になっていることを鑑みて、工程の一部をロボットで自動化。肉の叩き、寄せ、密度調整、成形といった工程を自動化することで、品質の確保と生産性の向上を実現しました。
ロボットシステムの導入により、肉の仕込みに必要な人数を10人から3人へ、労働時間を8時間から3.5時間に減らすことができ、結果として労働生産性は従来の7.5倍に高まったというデータが公表されています。

・職人技が必要なとんかつ肉の仕込み作業にロボット導入
http://www.robo-navi.com/cases/detail?case_id=179

外食における食器洗浄

業務用コンベア型洗浄器と協働ロボットを組み合わせて、食器の洗浄を自動化するシステムも、飲食店における代表的なロボット活用のひとつです。
飲食店の食器洗浄は、長時間水仕事をすることでおこる手荒れや食器を割ってしまった時の怪我などを心配しなければならない業務です。これをロボットが担えば、人的コストをより安全で負担の少ない業務にかけることができるようになります。

食器洗浄は、食器の形状が多様であることから自動化が難しいとされてきましたが、技術革新と協働ロボットの導入により、現在では導入が可能になってきています。

・外食における食器洗浄のロボット化
http://www.robo-navi.com/cases/detail?case_id=186

生産性向上とエンタメ性の確保:ハウステンボス

ロボットの働く姿は、未来を連想させます。まるでSFの世界のようだと感じる人もいるでしょう。ロボットのこうしたエンタメ性に着目したのがハウステンボスの「変なレストラン」です。
「変なレストラン」は、ハウステンボスがおこなっている実証実験の第二弾として登場しました。
効率化とエンターテインメント性の向上により生産性を伸ばすことを目標に掲げる「変なレストラン」では、調理と食器回収、インフォメーションの3つが自動化されています。

オープンキッチン形式で双腕ロボットが調理をおこなっている場面を見せたり、自動追尾型のロボットが食器回収をおこなったりするなど、ロボットによる自動化自体を呼び物にしているのがエンターテインメント的活用の特徴です。

・ハウステンボス「変なレストラン」
https://www.huistenbosch.co.jp/gourmet/192

インバウンド対策:商業施設

インバウンド対策においても、ロボットが活躍している事例があります。
アミューズメント施設やモール型店舗などでは、オペレーター(人)とロボットが協働しながら案内をおこなうことで、訪日観光客の満足感を得られやすくなるとしています。
ロボットが案内するというユニークな接客でまず顧客接点を作り、次に柔軟な対応ができるオペレーターに代わるという仕組みは、国内の消費者にとっても興味深いものといえるでしょう。

・商業施設におけるインバウンド観光客案内にロボットを導入
http://www.robo-navi.com/cases/detail?case_id=190

ロボットサイネージ

店舗のロボット活用におけるメリットは生産性の向上だけではありません。
プロモーションやレコメンドに一役買ってくれる存在でもあります。
富士通は、ロボットと動画を融合した新しいメディアの形として「ロボットサイネージ」を提案しています。
これは対話型インタラクションで、いわばロボット版の実演販売です。ロボットが商品を紹介したり雑談をすることによって消費者を惹きつけ、来店や売上増につなげる試みで、2台のロボットを掛け合いさせたりダンスさせたりすることもできます。

OPOSにサービスロボットやIoTデバイスが連動

OPOSは、OpenPOSの略称です。WindowsOSに基づくPOSシステムに、自動釣銭機やモーションセンサといったさまざまな周辺機器を統合できるオープンデバイスアーキテクチャを提供するものです。
2017年に、このOPOSにサービスロボットやIoTを連動させるRCSD分科会が発足しました。RCSDはリテール・コミュニケーション・デバイス(Retail Communication Service Device)のことで、ヒューマノイド型のサービスロボットやユーザーとコミュニケーションできるロボットをさします。
ビデオキャプチャーや個体認識、音声認識、音声合成、ジェスチャーコントロール、デバイスモニター、グラフィックディスプレイなどが新規仕様として「OPOS1.16」に追加されており、デバイス(ロボット)は必要な仕様を組み込まれて活用されることになります。

ロボットと協働する:店舗における課題の解決策として

店舗を取り巻く課題には、慢性的な人手不足、2020年オリンピックが迫る中で必要となるインバウンド対策、消費税増税対策、そして政府が推進しているもののセキュリティトラブルや課題の多いキャッシュレスへの対応など、さまざまなものがあります。
さらに、ECと実店舗の在庫管理を共有したり、売上データを一括管理したりといったECと実店舗の融合も、きたる第四次産業革命のウェーブに乗るために必要な施策です。
これら諸処の問題を解決するのが、RFIDやセルフレジとそれに連動する管理システムの構築といった新しい技術、ソリューションの数々。サービスロボットにもこうした便利な技術と同様、店舗経営にまつわるさまざまな課題を解決する能力と可能性があります。

ロボットが働くための環境づくり

店舗でロボットと協働する、このことにおいて重要なのは、店舗におけるロボットに置き換え可能なサービスや工程すべてを「ロボットに丸投げ」しても、コスト削減や生産性の向上にはつながらないという点です。
ロボットが働くためには、整備された環境が必要です。
ここでいう整備された環境に求められるのは、人目線の働きやすさではなく機械としての稼働しやすさ。つまり、一般的に考えれば工場に近ければ近いほどロボットは動きやすくなります。

実際、工場などの製造業以外でロボットの導入が活発におこなわれているのは、物流業界です。物流倉庫などは作業する人員が限定的で、環境を工場に近づけることはさほど難しくありません。ロボットが活動しやすい環境を整えやすいため、ほかの業界と比較すると積極的にロボット導入がおこなわれているのです。

店頭でのロボット活用

一方、店舗は働く人だけでなく、顧客がひんぱんに出入りする環境です。そのために環境を機械優先で整備することは難しく、導入可能なロボットはある程度限定されます。
一方で、顧客が立ち入ることのないスペースであるバックヤード、閉店後の清掃などにおいては、消費者を考慮する必要がないため、ロボットを導入しやすいといえます。
ゆえに、食器洗浄や清掃といった作業においては店舗でも比較的容易にロボットとの協働スタイルを整えることができます。

なお、接客におけるコミュニケーションは不確定要素が多く、AIをもってしても対応しきれない場面も少なくありませんが、ハウステンボスやモール型店舗のようにロボット自体をエンターテインメントとして演出し、集客につなげられるケースもあります。

サービスロボット導入のメリット・デメリット

サービスロボットにかかわらず、新技術を導入するにはコストがかかります。導入にあたって、店舗は費用回収や生産性の向上といったさまざまな要素を考慮しなければならないでしょう。
運用環境によって違いはありますが、一般的にBtoBのサービスロボット導入に関しては、次のようなメリットとデメリットが挙げられます。

【メリット】

  • 作業効率が良い=生産性向上が見込める
  • 危険な環境での作業を自動化できる
  • 作業精度が高く、ミスを減らせる
  • 単純作業を長時間こなすことができる
  • 管理しやすい

【デメリット】

  • 誤作動や故障により業務に支障をきたす可能性がある
  • コストがかかる
  • 問題なく活用するにはプログラミングやメンテナンスが必須
  • 作動環境を整備する必要がある

このようにメリットとデメリットを挙げてみると、両者のポイントは概ね表裏一体であることが分かります。
サービスロボットは一度プログラミングすれば高い完成度を維持して長時間作業することができますが、そのプログラミング自体は専門家におこなってもらわなければなりません。また誤作動したり故障したりといったトラブルが現場で発生すると、その都度外部の技術者を呼ばなければならないケースもあります。
また、人を雇用するコストとサービスロボットの導入コスト、どちらをかければより生産性を高めることができるのかという問題については、かんたんに結論が出せるものでもないでしょう。

こうしたジレンマを解決できる導入方法が、「協働」の概念です。人とサービスロボットが互いのメリットを活かしながら店舗を回していくのだというコンセプトをもち、もっとも理想的な活用方法を模索するのが最善策といえるのではないでしょうか。

まとめ

人と協働するサービスロボットは、技術革新とともに夢物語から現実へと変わりつつあります。
協働というアイデアが中心にあれば、工程の自動化は人から仕事を奪うものではなく、新たな働き方や店舗経営のあり方を創出する救世主にさえなれる可能性があるでしょう。

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